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パッシブデザインとは?エアコンに頼らない家は、設計の力で実現できる

家づくりで「高気密高断熱」が大切だということは、もはや常識になりつつあります。

「夏は涼しくて、冬は暖かい。しかも、光熱費はできるだけ抑えたい…」

そう考えて情報を集めていると、必ずと言っていいほど「高気密高断熱」というキーワードに行き当たりますよね。

快適な室温を保ち、光熱費を抑えるために、家の性能を高めることは欠かせません。

私たちも、その考えには100%同意します。

ただ、その上で考えてみてほしいのです。

もし、コストをかけることなく、高気密高断熱の性能をさらに引き上げ、お金では買えない“最高の心地よさ”まで手に入れる方法があるとしたら?

その鍵を握るのが、自然の力を味方につける『パッシブデザイン』という設計です。

断熱性や気密性といった技術だけでは実現できない、自然の恵みを設計の力で最大限に引き出す考え方です。

この記事では、「パッシブデザインとは何か?」という基本から、なぜそれがあなたの家づくりを“最高”のものに変えるのか、その本質を、岐阜で高性能住宅を手がける私たちエムズアソシエイツが、どこよりも分かりやすく解説します。

この記事を読めば、こんな疑問がスッキリ解決します!
  • そもそも「パッシブデザイン」って、どんな考え方なの?
  • よく言われるデメリットは、実はデメリットではない?
  • 高気密高断熱「だけ」では実現できない、パッシブデザインの力とは?
  • パッシブデザインを実現するための、具体的な設計の工夫とは?
  • 信頼できる工務店をどうやって見極めたらいい?

創業以来、私たちは岐阜の厳しい気候の中で、数多くのご家族に“本当に快適な暮らし”をお届けしてきました。

(先月のお引き渡し済みのお客様アンケート(N=156)では、「非常に満足「満足」とのご回答率は、96.8%でした。「やや不満」「不満」はゼロでした。)

その経験から得た、本質的な家づくりの考え方をお伝えします。

この記事を書いた人
松原 保嗣

プロフィール:
岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。
保有資格:
日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員

目次

そもそもパッシブデザインとは?自然の力を活用する設計

まず、パッシブデザインがどのようなものなのか、その基本的な考え方から見ていきましょう。

言葉の定義だけでなく、なぜこの考え方が大切なのか、そして家づくりのトレンドである「高気密高断熱」とどう関係するのかを知ることで、その本質がより深く理解できるはずです。

パッシブデザインの基本的な考え方

パッシブデザインの「パッシブ(Passive)」とは、「受動的な」という意味の言葉です。

これは、エアコンや床暖房といった機械設備(アクティブなもの)に極力頼るのではなく、太陽の光や熱、そして心地よい風といった「自然の力」をそのまま受け入れ、最大限に活用する設計(パッシブ設計)の考え方のことです。

もっと簡単に言えば、「自然のエネルギーを上手に利用して、快適な住まいを創り出す設計手法」であり、具体的には次のような工夫を指します。

  • 冬の太陽光(熱)エネルギーにる暖房効果を最大限発揮するために、日差しを部屋の奥まで取り込むように窓を配置する
  • 逆に、夏の太陽光を部屋の中に入れないように、夏の高い太陽高度(70~80°)に対して、窓上に最適な軒や庇を配置する
  • 地域の風向きの特性を読み解き、家の中に気持ちのいい風の通り道をつくる窓の配置をする

こうした工夫を、設計段階で建物そのものに組み込みます。

うまく設計さえできれば、住む人が特別に何かをしなくても、まるで家が自動的に呼吸するように、自然の恵みを受け身(パッシブ)の姿勢で享受し続けられる。

それがパッシブ設計の基本的な考え方というわけです。

なぜ、パッシブデザインの考え方が大切なのか?

この「自然の力を借りる」という考え方は、昔からある日本の家の知恵でもありますが、現代の家づくりにおいて、改めてその価値が見直されています。

その背景には、私たちの暮らしに直結する2つの大きな社会の変化があります。

 

一つは、エネルギー問題です。

電気代をはじめとする光熱費の高騰は、家計にとって大きな課題ではないでしょうか。

一般的なご家庭の年間エネルギー消費の内訳を見ると、夏の冷房が約2%なのに対し、冬の暖房は約20%も占めています。

つまり、省エネを真剣に考えるなら、冬の暖房エネルギーをいかに抑えるかがとても効果的なのです。

パッシブ設計は、まさにこの課題に対する一つの答えになります。

 

もう一つは、環境への意識の高まりです。

2025年4月からは、すべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務化されるなど、国全体でより少ないエネルギーで暮らせる社会を目指す動きが加速しています。

パッシブデザインは、化石燃料に頼らず、太陽や風といったクリーンなエネルギーを活用するため、地球環境にも優しい、これからの時代にふさわしい家づくりのあり方だと言えるでしょう。

トレンドの「高気密高断熱ブーム」だけでは辿り着けない、本当の快適さ

「省エネで快適な家」と聞いて、多くの方が思い浮かべるのは「高気密高断熱住宅」でしょう。

確かに、優れた断熱性と気密性は、現代の家づくりに欠かせない要素です。

私たちは、まだ業界内ですら「高気密高断熱」がほとんど知られていなかったころから、このテーマに取り組んできました。

そして今でも力を注いでいます。

ただ、私たちはそれだけでは十分ではないと考えています。

 

「優れた設計思想(パッシブデザイン)」と、それを活かすための「高性能な躯体(高気密高断熱)」。

この2つをきちんと掛け合わせることで、本当の意味で快適な家が生まれるのです。

 

いくら性能の高い魔法瓶でも、中にお湯を入れなければ温かくなりませんよね。

家も同じです。

高気密高断熱という「高性能な器」を用意した上で、パッシブ設計によって太陽の熱という「自然のお湯」を注ぎ込む。

そうすることで初めて、家全体がじんわりと暖かさに満たされ、その心地よさがずっと続くのです。

UA値やC値といった性能数値だけを追い求めるだけでは、辿り着けない領域があります。

手段であったはずの高気密高断熱が、いつしか目的になっていませんか?

パッシブデザインは、その先にある「本当の快適さ」へと導いてくれる、家づくりの本質的な考え方なのです。

高気密高断熱住宅で後悔しないために
【9割が知らない】高気密高断熱のデメリットは設計・施工力で決まる!

高気密高断熱住宅について情報を集めていると、たくさんのメリットが紹介されている一方で、 「ハウスダストは大丈夫?」 「実は結露しやすいって本当?」 「初期費用が高くつくのでは?」 といった、デメリットに関する様々な声も耳にします。 しかし、実はこれらのデメリットは、「本物の高気密高断熱住宅

パッシブデザインがもたらす2つの価値「豊かな暮らし」と「高い住宅性能」

パッシブ設計の素晴らしさは、単なる省エネにとどまりません。

私たちの暮らしに「情緒的な豊かさ」と「理にかなった性能」という、2つの大きな価値をもたらしてくれます。

この2つの価値を知ることで、なぜ私たちがパッシブデザインを大切にしているのか、ご理解いただけるはずです。

価値①:暮らしを「豊か」にする、自然とつながる心地よさ

皆さんも、こんな経験はありませんか?

  • 冬の寒い日、窓から差し込む日だまりの、あの何とも言えない暖かさ。
  • 春の昼下がり、窓を開けると部屋を通り抜けていく、そよ風の心地よさ。

こうした、理屈ではなく、心が「気持ちいい」と感じる瞬間。

パッシブデザインは、この数値では測れない「心地よさ」を、設計の力で毎日の暮らしの中に届けることを目指します。

特別な機械がなくても、冬の晴れた日にはリビングが自然と暖かくなり、家族が集う。

春や秋には、窓から入る気持ちのいい風を感じながら読書を楽しむ。

照明をつけなくても、自然の光だけで部屋の隅々まで明るく、開放的な気持ちになれる。

これは、日々の暮らしの質を高め、心を豊かにしてくれる、何物にも代えがたい価値だと私たちは考えています。

価値②:性能をさらに向上させ、光熱費もさらに抑えられる

「実は、この心地よさは、光熱費を大きく削減する、非常に理にかなった仕組みでもあるのです」

パッシブ設計の大きな魅力は、太陽の光(熱)という、誰もが無料で使える、また永久不変の自然エネルギーを暖房として活用できる点にあります。

実際に私たちが建てたお住まいで、冬の寒い時期(1〜3月)に室温を測ってみたところ、次のような結果が出ています。

【エムズアソシエイツの実棟 無暖房計測データ】

  • 朝7時: 外の気温が氷点下-1.0℃まで冷え込んでも、室内の温度は17℃を維持。
  • 午後3時: 外の気温が2℃の日中、室内の温度はなんと23℃まで上昇。

これは、暖房を使っていない状態での計測結果です。

晴れた日には太陽の熱だけで、日中は暖房いらずの暖かさになります。

このように、パッシブ設計を取り入れることで、「無料で永久的な暖房」により、冬でも快適な室温を保ちやすくなります。

パッシブデザインでよくある“デメリットの誤解”

パッシブデザインの価値を知ると、次に気になるのはデメリットではないでしょうか。

しかし、よく言われるデメリットの多くは、実は“誤解”されている部分も多いです。

よく言われるパッシブデザインのデメリットは以下の3つですが、これについて見解をお話したいと思います。

誤解①「建築コストが高くなる」は本当?

「パッシブデザイン=コストアップ」というイメージがあるかもしれませんが、これは少し違います。

コストが上がるのは、主に高性能な窓や断熱材を採用する「高気密高断熱」の部分であり、パッシブ設計そのものが、直接的な追加費用を生むわけではありません

パッシブデザインの本質は、高価な機械に頼らず、太陽の向きや風の通り道などを計算し尽くした「設計の工夫」で快適さを生み出すことにあります。

私たちエムズアソシエイツでは、高性能な高気密高断熱を標準仕様とした上で、その効果を最大限に引き出すためにパッシブ設計の考え方を組み込んでいます。

そのため、パッシブデザインを採用するからといって、特別な追加費用はほとんど発生しません

むしろ、設計の工夫によって不要な設備を減らせる可能性や、将来の光熱費を大きく削減できることを考えれば、トータルで見て非常に経済的だと言えます。

誤解②「土地によっては性能を発揮できない」は本当?

「日当たりの悪い土地や、住宅が密集している場所では、パッシブデザインは無理なのでは?」という声もよく聞かれます。

確かに、土地の条件が理想的でないケースはあります。

しかし、これも設計力次第で、そうした不利な条件を克服することも可能です。

例えば、

  • 日当たりが期待できない1階ではなく、2階にリビングを設ける
  • 吹き抜けや高窓(ハイサイドライト)を効果的に使い、上から光を取り込む
  • 隣家の窓の位置を計算し、視線をずらしながら光と風を取り入れる
  • 真南に対して角度がついた敷地の場合でも、真南をきちんと割り出し、真南に向けた建物と窓の配置を設計する

など、解決策は一つではありません。

私たちは、土地の個性を読み解き、そのポテンシャルを最大限に引き出す設計を考え抜きます。

むしろ、そうした厳しい条件下でこそ、設計者の腕の見せ所だと考えています。

実際に、そうした土地が理想ではない状況で、パッシブ設計を取り入れた事例をいくつかご紹介します。

CASE01

岐阜市|日当たりバッチリの2Fリビング企画住宅(S様邸)

標準仕様のままでも、UA値0.39・C値0.35 の高性能を実現。

リビングを2階へ上げて南面からの採光を確保し、サンルーム+バルコニーデッキで物干しや玄関庇も一体化。

2Fリビングとすることで日当たりのよい広々としたリビングを設計しています。

CASE02

愛知県一宮市|駅前狭小地に建つ3階建て高気密高断熱の家(K様邸)

間口が限られる駅前狭小地でしたが、2FにLDKを持っていき道路側に開く間取りにし、開放感を確保。光・風・視線を立体的に取り込ました。

「土地条件が悪いとパッシブは効かない」という誤解②を覆す代表例です。

誤解③「間取りやデザインに制約がある」は本当?

「性能を優先するあまり、窓が小さくなったり、好きな間取りにできなかったりするのでは?」という不安も、よくある誤解の一つです。

残念ながら、工務店やハウスメーカーによっては、性能を確保するために設計上の制約を設けているケースも少なくありません。

しかし、エムズアソシエイツでは、性能とデザインのどちらも諦めません。

私たちは、高い躯体性能を担保した上で、お客様が望む開放的な吹き抜けや大開口の窓、自由な間取りを実現してきました。

こちらも、設計の制約をすることなく、パッシブ設計を取り入れた事例をいくつかご紹介します。

CASE03

岐阜市|大きな吹抜けのある家④(T様邸)

大開口の吹抜けでも、UA値0.37・C値0.30 を維持。

南の大きな吹抜けからは、採光を確保し、開放感も演出しています。

ハウスメーカーや工務店によっては、高気密高断熱、パッシブデザインにすると、間取りが制約されることが多いですが、「吹抜けは寒い」「間取りが制限される」という誤解③を解いた事例です。

CASE04

愛知県一宮市|大きな吹抜けの家(G様邸)

LDK中央にダイナミックな吹抜けと1本引き込み木製サッシを配置し、開放感を演出する計画。

将来は1階だけで暮らせる動線も確保し、デザイン自由度と将来性の両方を得たことで誤解③を解消

UA値0.35・C値0.25 の性能が快適性を裏付けています。

 

このように、「性能のために、理想の暮らしを諦める」のではなく、

理想の暮らしを、最高の性能で実現する」。

それが、私たちの家づくりです。

もし他社で「できない」と言われた間取りがあれば、ぜひ一度私たちにご相談ください。

唯一のデメリットは「設計・施工できる会社が限られる」こと

ここまでご説明した通り、よく言われるデメリットの多くは、設計の工夫で解決できます。

だからこそ、「誰にでもできる設計ではない」という点が、唯一の、そして最大のデメリットと言えるかもしれません。

パッシブ設計には、

  • その土地の気候風土を深く理解する知識
  • 太陽や風の動きを正確に計算する科学的知見
  • それらを具体的な設計図に落とし込む設計技術
  • そして、その繊細な設計を形にする、高い施工能力

といった、高度な専門性が求められます。

これらを設計・施工できる会社は、残念ながら限られているのが実情です。

このデメリットがあるからこそ、「次の“工務店選び”が何よりも重要になる」のです。

“本物の快適さ”をかたちにする、エムズアソシエイツの5つのパッシブ設計要素

では、私たちエムズアソシエイツは、具体的にどのような設計で“本物の快適さ”をかたちにしているのでしょうか。

その核となる5つの要素と、長年の経験で培った私たちのこだわりをご紹介します。

1. 日射熱利用と【最重要】日射遮蔽|太陽を“操る”設計

パッシブ設計には様々な要素がありますが、私たちがもっとも重要だと考えているのが、この『日射』のコントロール、特に夏の『日射遮蔽』です

冬は、太陽の熱を室内に取り込むことで「無料の暖房」として活用します。

しかし、同じくらいに重要なのが、夏の厳しい日差しをいかにして家の中に入れないか、という点です。

日本の夏の暑さの大きな原因は、湿度だけでなく、窓から侵入する強烈な日差しそのものにあります。

これをコントロールするために、私たちは岐阜エリアの正確な太陽の動き(夏至の高度約78°、冬至の高度約31°)を読み解き、夏の日差しはカットし、冬の暖かい日差しだけを部屋の奥まで招き入れる、最適な長さの庇や軒を設計します。

この「太陽を操る」設計こそが、一年を通して快適な室温を保つための鍵なのです。

補足:UA値とηA値(イータ・エーち)

家の性能でよく聞く「UA値」は、建物の“断熱性能”を示す大切な指標です。しかし、それだけでは本当の快適さは分かりません。

もう一つ重要なのが、太陽の光を巧みに操る「ηA値(イータ・エーち)」、つまり「日射コントロール性能」です。

太陽の日差しは、季節によって役割が大きく変わります。

  • 冬(暖房期):取得したい

    日差しは「無料の暖房」。積極的に取り入れて室内を暖めたい。

    (指標:ηAH値 → 大きい方が良い)

  • 夏(冷房期):取得したくない

    日差しは「暑さの原因」。しっかりカットして涼しく過ごしたい。

    (指標:ηAC値 → 小さい方が良い)

この「冬は取り入れ、夏は遮る」という理想的な状態を、太陽高度を計算しながら、東西南北のそれぞれの窓やガラスの性能、日射遮蔽のための軒(のき)の長さなどを工夫して実現するのが、パッシブ設計の腕の見せ所です。

だから、たとえ断熱材が同じでUA値が同じ家でも、この日射コントロール(ηA値)の設計次第で、実際の住み心地や光熱費は大きく変わってくるのです。

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「日射遮蔽・日射取得」って何?無料の太陽を活かす、夏涼しく冬暖かい家の設計術

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2. 自然風利用|効果的な“通風”の考え方と注意点

心地よい風が家の中を通り抜ける暮らしは、誰もが憧れますよね。

設計段階で風の通り道を計画することで、春や秋は、心地よい自然な風を採り入れることだできます。

ただし、太陽と違って風は気まぐれで、常に計算通りに吹いてくれるわけではありません

そのため、重視したいのはやはり『日射遮蔽』です。

 

さらに、特に注意が必要なのが、夏の湿気が多い時期の通風です。

日本の夏の暑さの大きな原因は『湿度』です。

湿度の高い日に窓を開けると、たとえ風が入ってきても、湿気も一緒に入ってくるため、かえって不快指数が上がってしまいます。

そのような場合は、無理に通風に頼るより、窓を閉めてエアコンの除湿機能を使った方がはるかに快適です

通風は万能ではありません。

そのメリットを理解しつつ、状況に応じて賢く使い分けることが大切です。

3. 昼光利用|自然の光で「明るく開放的」な空間に

日中の多くの時間を過ごすリビングが、電気をつけなくても明るい。

それだけで、気持ちが明るくなり、豊かで経済的になります。

パッシブデザインでは、太陽の光を「無料の照明」としても活用します。

しかし、ただ大きな窓を付ければ良いというわけではありません。プライバシーへの配慮も欠かせません。

そこで私たちは、

  • 高窓・地窓の活用:
    外からの視線が気にならない壁の高い位置や低い位置に窓を設けることで、プライバシーを守りながら、安定した光を部屋の奥まで届けます。
  • 庇や軒の活用:
    夏の強い直射日光を和らげ、一年を通して心地よい明るさを保ちます。

こうした工夫で、明るさとプライバシーを両立した、開放的な空間を創り出します。

4. 断熱・気密|設計の効果を活かすための“器”

さて、ここまでご紹介した光や風、熱をコントロールする繊細な設計も、それを活かす“器”となる家の断熱・気密性能が低ければ、その効果は半減してしまいます

せっかくパッシブ設計で冬に太陽の熱を取り込んでも、家の隙間が多ければ(気密性が低ければ)、その熱はすぐに逃げてしまいます。

これでは、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。

だからこそ、私たちは「パッシブ設計+高気密高断熱=最強!」だと考えています。

エムズアソシエイツの家は、岐阜の基準値をはるかに超える「北海道レベル」の性能を誇ります。

この圧倒的な性能を持つ“器”があるからこそ、パッシブデザインという繊細な設計の恩恵を最大限に引き出し、魔法瓶のように快適な室温を一日中キープできるのです。

パッシブデザイン設計による蓄熱効果についての余談

ちなみに、パッシブ設計ではコンクリートなどで熱を蓄える『蓄熱』という考え方もあります。

理論上は合理的ですが、私たちの経験上、岐阜の気候ではその効果は限定的です

それよりも、得た熱を逃がさない『高断熱・高気密』の性能を徹底的に高める方が、はるかに効果的で確実だと考えています。

5. 土地のポテンシャルを最大限に引き出す設計力

土地の条件が、パッシブデザイン的には理想的でない場合もあります。

パッシブデザインの真価は、そうした土地ごとの制約を、設計の力で克服できる点にもあります。

私たちは設計を始める前に、必ずその土地を徹底的に「読み解く」ことから始めます。

  • 近隣の状況: 今は空き地でも、将来建物が建つ可能性はないか?
  • 太陽のみち: 敷地に対して太陽はどの角度から当たり、どう動くのか?
  • 道路との関係: 車の出し入れはしやすいか?通行人の視線は気にならないか?

さらに、私たちは「岐阜は東京よりも夏は暑く、冬は寒い」という厳しい気候特性も熟知しています。

画一的な設計プランを当てはめるのではなく、その土地、その地域に最適な、たった一つの答えを導き出す。

それが私たちの設計哲学です。

また、岐阜市の一年間の日照時間は全国でもトップクラス。

全国47都道府県庁所在地では、3位(2,196時間/2019年度)となり、太陽エネルギーを利用する上では、岐阜はとても有利な立地となり、それを利用しない手はありません。

本物のパッシブ設計を託せる工務店の見極め方

ここまでお話ししたように、パッシブ設計は、パートナーとなるハウスメーカーや工務店の力量にかかっていると言っても過言ではありません。

では、本当に信頼できる会社をどう見極めればよいのでしょうか。

なぜ「パッシブ設計ができる会社」は限られるのか?

先ほど、「唯一のデメリットは、設計・施工できる会社が限られること」とお伝えしました。

それは、本物のパッシブ設計には、カタログスペックだけでは実現できない、深い知識と経験が求められるからです。

経験や実績のない設計者が、いきなりパッシブ設計をすることは困難です。

土地の特性を読み解き、太陽の動きを計算し、風の流れを予測し、それを寸分の狂いなく形にする。

こうした一連の作業を高いレベルで実行できる会社は、残念ながらそう多くはありません。

だからこそ、慎重な会社選びが何よりも重要になるのです。

パッシブ設計を実現できる工務店を見極める、3つのチェックポイント

では、本当に信頼できる会社をどう見極めればよいのでしょうか。

ここでは、後悔しないための3つのチェックポイントをご紹介します。

①:土地を読む力と提案力を確認する(設計力があるか?)

まず確認したいのが、その会社が「土地を読む力」を持っているかです。

これは、契約前の打ち合わせ段階でも見極めることができます。

1. 施工事例に対する、設計の「根拠」を質問する

気になった施工事例を取り上げ、「なぜこの窓の配置なのですか?」など、設計の意図を尋ねてみましょう

「デザインです」といった曖昧な答えではなく、「この土地は冬の西日が暖かいため、あえて西側に窓を設けています」というように、日当たりや風向き、周辺環境まで踏まえた明確な「根拠」を説明できる会社は、高い設計力を持つ証拠です。

2. 自分たちの土地や要望に対するヒアリングの深さを見る

相談の際、自分たちの土地(敷地図など)とその周辺情報を見せてみましょう。

ただ要望を聞くだけでなく、「この土地だと、午前中はこちら側が明るくなりそうですね」「南にある隣家の影の影響はどうでしょう?」など、土地のポテンシャルや懸念点を具体的に読み解こうとする質問が返ってくるかどうかが重要です。

このように、具体的なプランを作成する前でも、過去の実績から見極ることができます。

▼設計力を具体的に確かめたい方へ

ちなみにエムズアソシエイツでは、契約前でも詳細な設計プランとお見積りをご確認いただける「ファーストプラン」をご用意しています。

私たちの設計力が本当に自分たちに合っているか、具体的に確かめたい方はぜひご活用ください。

②:「デザイン」と「性能」を両立した施工事例が豊富にあるか?

次に、その会社のウェブサイトなどで施工事例を見てみましょう。

デザインが素敵なのはもちろんですが、その背景にある「なぜ、このような設計になったのか」というコンセプトや設計の背景まで語られているかに注目してください。

デザインと性能、その両方を本気で追求している会社かどうかが見えてくるはずです。

③:設計を支える「躯体性能」を全棟で保証しているか?

そして最後に、パッシブ設計の土台となる「躯体性能」を客観的な数値で示し、それを全棟で保証しているかは非常に重要なポイントです。

UA値(断熱性能)やC値(気密性能)といった数値を公表しているか、そして全棟で気密測定を実施しているかを確認しましょう。

これは、自社の技術力に自信と責任を持っている証拠です。

エムズアソシエイツの実績
  • 過去50棟平均実績値 UA値=0.335 実測C値=0.245
  • 過去150棟平均実績値 UA値=0.339 実測C値=0.323

(全て実際の引き渡し物件での統計)

直近では、実測C値=0.06という数値も出すことができ、年々実測C値の数値は向上し続けています

【施主様の声】パッシブ設計で実現した、高性能で心地よい暮らし

理論や数値も大切ですが、何よりも説得力があるのは、実際にその家に暮らしている方々の「生の声」ではないでしょうか。

これまで私たちがお手伝いさせていただいたオーナー様からは、こんな嬉しいお言葉をたくさんいただいています。

「冬はエアコンを夜10時半から朝7時までしか使わないんですが、それでも夜に洗濯したものが朝には乾いているんです。日中も日差しが入るとポカポカで、子どもはお風呂上がりに裸で走り回ることもあります(笑)。」
(一年中、薄着で快適生活エムズハウスは温かすぎる!? |施主座談会|株式会社エムズアソシエイツ)

「床下エアコンを使っていますが、24時間はつけていませんよ。それでも20度設定で運転しておけば、どんなに寒い日でもずっと同じ温度を保てます。」
(一年中、薄着で快適生活エムズハウスは温かすぎる!? |施主座談会|株式会社エムズアソシエイツ)

「外では厚手コートが必要な気温でも、家の中では日中エアコンを切って生活できるのってすごいです!」
(この冬の暖房器具の稼働状況 | エムズアソシエイツ施主様ブログ)

「見学時に『暖かい家』と聞いて半信半疑でしたが、実際に暮らしてみると、噂通り家全体が本当に暖かいです。時には暖房を入れなくても十分に快適で、寒い冬でも家の中ではほとんど暖房が必要ないほどです。」
(引用元:施主様アメブロ

パッシブデザインに関するよくあるご質問(Q&A)

最後に、パッシブデザインに関してよくいただくご質問にお答えします。

Q. パッシブデザインとパッシブハウスの違いは何ですか?

A. よく似た言葉ですが、意味は異なります。

  • パッシブデザイン:
    ここまでご説明してきた通り、自然エネルギーを活用する「設計の考え方・思想」そのものを指します。
  • パッシブハウス:
    ドイツのパッシブハウス研究所が定める、世界で最も厳しい省エネ基準をクリアした住宅に与えられる「認証(ブランド名)」です。

パッシブデザインという思想のもとに設計され、パッシブハウスは一定の基準を満たした家、という関係になります。

Q. ZEH(ゼッチ)とはどう違うのですか?

A. 目指すゴールが少し異なります。

  • ZEH(ゼッチ):
    太陽光発電などの「創エネ」設備でエネルギーをつくり、使うエネルギーと合わせて年間のエネルギー収支をゼロにすることを目指します。
  • パッシブデザイン:
    まずは設計の工夫によって、そもそも使うエネルギー(特に冷暖房エネルギー)を極限まで「減らす(省エネ)」ことを突き詰める考え方です。

私たちは、まずパッシブデザインと高気密高断熱で「省エネ」を徹底した上で、必要に応じて太陽光発電などを組み合わせることが、より本質的だと考えています。

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Q. リフォームやリノベーションでもパッシブデザインは可能ですか?

A. はい、可能です。

新築ほど自由度は高くありませんが、リフォームでもパッシブデザインの考え方を取り入れることはできます。

例えば、

  • 光の取り入れ方を再設計する

  • 風の通り道をつくる

  • 日差しのコントロールを見直す

など、効果的な方法はたくさんあります。

私たちエムズアソシエイツは、こうした断熱改修と設計提案を組み合わせたリフォームやリノベーションも得意としておりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ:性能の先にある“本当の豊かさ”を目指す家づくりを

ここまで、パッシブデザインの本質について解説してきました。

多くの人が目指す「高気密高断熱」は、快適な家づくりの素晴らしい“土台”です。

しかし、家づくりの本質は、その土台の上でどのような暮らしを実現するかにあります。

太陽や風といった自然の恵みを最大限に味わい、心から豊かさを感じられる暮らし。

性能数値を追求するその先にこそ、本当の快適さがあると言えるのではないでしょうか。

パッシブデザインで後悔しないためのポイント
  • パッシブデザインとは、光や風など自然の恵みを活かす「設計の知恵」。
  • 高性能な家(高気密高断熱)と組み合わせることで、本当の快適さが生まれる。
  • コストや土地の制約は、多くの場合「設計力」で解決できる。
  • 最大の課題は、これを実現できる優れた会社が限られること。
  • 後悔しない鍵は、その「本物の設計力」を持つパートナーを見極めることにある。

もしあなたが、岐阜市を中心とした岐阜愛知で、単なる高性能住宅で終わらない、“本質的に快適で、経済的な家”を本気で目指したいとお考えなら、ぜひ一度、私たちエムズアソシエイツにご相談ください。

 

30年、50年後も「この家にして良かった」と心から思える家づくりを、一緒に考えていきましょう。

お客様一人ひとりの理想の暮らしに寄り添い、岐阜の気候風土を知り尽くした専門家として、最適なご提案をさせていただきます。

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