2025.05.21
ヒートショック予防に暖房が不要?「温度差」を生む日本の家の“弱点”とは

投稿日:2025.01.29 最終更新日:2025.05.14
住宅の断熱性能を高めることは、快適な住環境を実現し、光熱費を削減する上で非常に重要です。
しかし、「断熱」と一言で言っても、その工法は様々です。
中でも主要なのが、壁の中に断熱材を充填する「充填断熱」と、建物の外側から断熱材を張り付ける「外張り断熱」です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらが優れていると、一概には言えません。
この記事では、充填断熱と外張り断熱の違いを、メリット・デメリット、コスト、結露やシロアリのリスクといった観点から徹底比較します。
さらに、両者を組み合わせた「付加断熱(ダブル断熱)」についても解説。
最適な断熱工法を選び、理想の住まいを実現するための、本当に価値のある情報をお届けします。
断熱性能に興味がある方は、こちらの記事でUA値や断熱性能等級について詳しく解説しています。
最近、『高気密高断熱』を謳う住宅会社が増えましたね。 でも実は、エムズアソシエイツが12年前に高気密高断熱の家づくりを始めた頃は、業界内でさえ、ほとんど知られていませんでした。 そんな状況でしたから、家づくりを検討されている方で、「UA値って何?」「自分の地域ではどのくらいの基準が必要なの?」と
「断熱性能等級」という言葉、最近よく耳にするけど、実際どういうものかよくわからない…という方も多いのではないでしょうか。 新築を計画中の方や、今の住まいをより快適にしたい方にとって、断熱性能は見逃せないポイントです。 特に2025年以降は、断熱性能等級4以上が義務化される流れで、住宅の省エネ基準
プロフィール:
岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。
保有資格:
日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員
目次
住宅の断熱性能を高める主な工法として、まず知っておきたいのが「充填断熱」と「外張り断熱」の2種類です。
どちらも断熱性能を高めるための工法ですが、その仕組みや特徴、得意・不得意が異なります。
主な違いを簡単にまとめると、以下のようになります。
比較ポイント | 充填断熱(内断熱) | 外張り断熱(外断熱) |
---|---|---|
①断熱材の切れ目(断熱欠損リスク) | △ 柱・梁で途切れやすい(熱が逃げやすい箇所ができる) | ◎ 建物全体を覆い、切れにくい(熱が逃げにくい) |
②隙間の塞ぎやすさ(気密性の確保) | △ 丁寧な施工が必須(シートの隙間等に注意) | 〇 比較的確保しやすい(ただし油断禁物) |
③初期コスト(工事費+材料費) | ◎ 比較的安価(一般的な材料・工法) | △ 高価になりやすい(高性能材・下地施工) |
④外観への影響(壁厚・デザイン) | 〇 影響少ない(壁厚ほぼ変わらず) | △ 壁が厚くなる(デザインや敷地に制約も) |
⑤リフォームでの採用しやすさ | 〇 内側から可能(既存外壁を活かせる場合も) | △ 外壁工事が伴う(大掛かりになりやすい) |
また、これらの応用として、両者を組み合わせた「付加断熱(ダブル断熱)」や、建物の基礎部分を断熱する「基礎断熱」といった工法もあります。
ここではまず、充填断熱と外張り断熱の2つの工法について、工法の仕組みと詳細なメリット・デメリットを見ていきましょう。
「充填断熱」は、柱や梁、間柱といった、家の骨組みとなる構造材の間の空間に、断熱材を隙間なく詰め込む工法です。「内断熱」とも呼ばれます。
よく使われる断熱材は、グラスウールやロックウールなどの「繊維系」と、発泡プラスチック系のものです。
繊維系の断熱材は、細かな繊維の間に空気を含むことで、熱の移動を抑えます。一方、発泡プラスチック系は、素材の中に小さな気泡をたくさん作ることで、断熱性能を高めています。
充填断熱は、壁の内側の空間を使うので、外壁を厚くせずに施工できるのが特徴です。
充填断熱の主なメリットは、コストパフォーマンスに優れている点です。
具体的には、以下のメリットがあります。
一方、充填断熱にはデメリットも存在します。
充填断熱で性能を確保するには、施工技術が特に重要になります。
これらのデメリットを最小限に抑えるためには、信頼できる施工業者に依頼することが重要です。
一方、「外張り断熱」は、家の骨組みの外側に、板状の断熱材を張り付けていく工法で、「外断熱」とも呼ばれます。
イメージとしては、家の構造体全体を、外側からすっぽりと断熱材で包み込むような形です。
よく使われるのは、ポリスチレンフォームやフェノールフォームといった、硬質の発泡プラスチック系断熱材です。これらは、薄くても高い断熱効果があり、水や湿気にも強いので、外張り断熱に適しています。
外張り断熱では、断熱材が構造体の外側にあるため、外気温の影響が構造体に伝わりにくく、家の中の温度が安定しやすいという特徴があります。
外張り断熱の最大のメリットは、まるで魔法瓶のように、家全体を断熱材で包み込むことです。
これにより、非常に高い断熱性・気密性を実現できます。
具体的には、以下のメリットがあります。
これらの特徴から、外張り断熱は、省エネルギー性の高い住宅を実現する上で、非常に有効な工法と言えます。
一方、外張り断熱にもデメリットが存在します。
特に、費用面では注意が必要です。
「付加断熱」とは、基本となる断熱工法に、さらに断熱材を付け加えて、断熱性能をより高める工法です。「ダブル断熱」とも呼ばれます。
つまり、「充填断熱」と「外張り断熱」の両方を組み合わせる工法です。
付加断熱(ダブル断熱)の最大のメリットは、充填断熱と外張り断熱の「良いとこ取り」ができる点です。
これにより、単独の工法では到達しにくい、極めて高い断熱性能を実現できます。
具体的には、以下のメリットがあります。
このように、付加断熱は最高レベルの断熱性能を追求できるため、特に断熱性にこだわりたい方や、厳しい気候条件下での快適な暮らし、そして高い省エネ性を求める場合に最適な工法と言えるでしょう。
一方、付加断熱(ダブル断熱)には、主にコスト面と施工面でのデメリットがあります。
このように、「付加断熱(ダブル断熱)」は、非常に高い断熱性能を持つ一方で、高い施工技術と専門知識が求められるため、対応できる工務店は多くありません。
エムズアソシエイツでは、他社ではなかなか真似できない、独自の施工ノウハウと、それを実現する確かな技術力を活かし、オプションとしてこの「付加断熱(ダブル断熱)」を提供しています。
断熱性能だけでなく、結露やシロアリといった住宅の寿命や健康に関わるリスクへの対策も、断熱工法選びの重要なポイントです。
結露は、断熱性能の低下だけでなく、カビの発生による健康被害や、柱や土台の腐食による住宅寿命の短縮に繋がります。
工法によって結露の発生しやすい箇所や対策のポイントが異なります。
当社の基本は、高性能グラスウールを用いた充填断熱です。
結露リスクを最小限に抑えるため、独自の壁層構造を採用しています。
これは、湿気の侵入を防ぐ「防湿気密シート(夏型結露対策として可変調湿タイプも採用)」と、壁内の湿気を外へ逃がす「透湿防水シート」・「通気層」を組み合わせたものです。
シミュレーションによる検証も行い、安全性を確認しています。
結露は、快適な住まいづくりにおいて避けて通れない永遠のテーマと言えるでしょう。 特に窓の高性能化を図っている高気密高断熱住宅は、その性能の高さから「結露しにくい」とされています。 しかし一方で、 「高気密高断熱でも結露は起こる」 「結露が原因で健康を害することもある」 そんな情報を目にして
シロアリ被害は、建物の構造強度を著しく低下させる恐れがあります。
断熱材そのものがシロアリのエサになることは少ないですが、侵入経路になったり、生息しやすい環境を作ってしまったりすることがあります。
どちらの工法でも、適切なシロアリ対策を実施しなくてはいけません。
施工会社にどのような対策を行っているか確認しましょう。
さらに快適で省エネルギーな住まいにするためには、壁の断熱工法だけでなく、他にも気を付けたいポイントがいくつかあります。
壁以外にも、特に以下の点の断熱性能や設計が、住まい全体の快適性と省エネ性に大きく関わってきます。
このように、住まい全体の性能向上には、壁以外の部位にも目を向けることが重要です。
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断熱性能を最大限に引き出し、快適な住環境を実現するためには、「断熱」だけでなく「気密」も非常に重要です。
どんなに高性能な断熱材を使用しても、家に隙間があれば、そこから熱が出入りしてしまい、断熱効果は半減してしまいます。
断熱は、家の外壁を高性能なダウンジャケットで包み込むようなイメージです。
気密は、そのダウンジャケットのファスナーをしっかり閉めるようなイメージです。
高気密高断熱住宅とは、断熱性能と気密性能の両方に優れた、「高性能なダウンジャケットを、ファスナーをしっかり閉めた状態で着ているような家」です。
「充填断熱」でも「外張り断熱」でも、あるいは「付加断熱」でも、断熱材の性能を最大限に引き出すためには、隙間をなくす丁寧な気密施工が不可欠です。
エムズアソシエイツでは、独自の技術で、高い気密性と断熱性を確保しています。
断熱工法を選ぶ際には、「住宅の種類」と「総合的な視点」の2つのポイントを確認することが大切です。
ここでは、それぞれのポイントについて、具体的に見ていきましょう。
木造住宅の断熱工法は、主に「充填断熱」と「外張り断熱」の2つです。
充填断熱は、新築だけでなく、既存住宅のリフォームにも適しています。
特に、外壁を解体せずに断熱改修を行いたい場合や、外観デザインを大きく変えたくない場合に有効です。
また、外張り断熱と比べて初期費用を抑えたい場合にも適しています。
ただし、断熱性能や気密性能を重視する場合は、外張り断熱や、エムズアソシエイツが提供するような、付加断熱などの、より高性能な工法も検討してみましょう。
これらの特徴から、外張り断熱は、以下のような、特に性能を重視する方におすすめです。
ただし、外張り断熱工法は、施工に高い技術が求められるため、信頼できる施工業者を選ぶことが大切です。
どちらの工法を選ぶかは、予算、求める性能、デザインの好みなどを総合的に判断しましょう。
マンションやRC住宅では、「外張り断熱」が採用されることが多いです。
これは、外壁を共有する構造上、外張り断熱の方が施工しやすいためです。
ただし、マンションの場合は管理規約で工法が制限されている場合もあるため、事前に確認が必要です。
また、「内断熱」を選ぶ場合は、部屋が狭くなる可能性があることを考慮しましょう。
断熱工法を選ぶ際には、断熱性能だけでなく、費用、耐久性、メンテナンス性、健康への影響なども考慮する必要があります。
これらの点を総合的に検討し、ご自身の状況に最適な断熱工法を選ぶことが、後悔しない家づくりのポイントです。
断熱工法には、充填断熱と外張り断熱の2つが主にあり、それぞれメリット・デメリットがあることを説明してきました。
どの工法が絶対的に優れているというわけではなく、断熱性能を高めるためには、「住宅の種類」「求める性能」「予算」、そして何より施工会社の技術力などを総合的に考慮して選ぶことが重要です。
また、断熱材の性能を活かすためには、隙間をなくす「気密施工」が不可欠であることも忘れてはいけません。
エムズアソシエイツでは、「打ち込み式基礎断熱」や「付加断熱(ダブル断熱)」、「壁層構造」など、長年の経験から培ってきた6つの独自技術で、高性能な高断熱・高気密住宅を実現しています。
特に、「夏型結露」対策など、岐阜県の気候特性を熟知した対策も実施しています。
高断熱・高気密な住まいづくりにご興味を持たれた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
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ファーストプランは「設計のお試しプラン」。
契約前から設計士が直接対応し、平面図(間取り図)、CGパース、1/100スケールの精密な模型をご提供します。さらに、外構工事や細かな備品まで含めた詳細な見積書を作成し、消費税を含めた最終的な引渡し価格を明確に把握できます。
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