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全館空調は後悔する?プロが教える本当のデメリットと、お金をかけるべき”たった一つのこと”

最近は、全館空調を採り入れた会社さんも多いですね。

「家中どこにいても快適」

確かに魅力的なシステムですよね。

とはいえ、その数百万円があれば、できることはたくさんあります。

「空調以外のことにお金をかけた方がいいのでは?」

そう考える方も、もちろんいらっしゃるでしょう。

結論からいうと、私たちとしては、全館空調を積極的にはおすすめしていません

高額な初期費用をかけて導入する前に、知っておいてほしい「本当のデメリット」があるからです。

この記事では、多くの人が見落としがちな全館空調の問題点と、快適な家づくりのために「本当に優先すべきこと」を、専門家の視点から正直にお伝えします。

この記事を読めば、こんな疑問が解決します!
  • 全館空調の本当のデメリットって何?
  • 空調設備を選ぶとき、一番大切な基準は?
  • 後悔しないために、家づくりで本当に投資すべきことは?

ネット上の情報に惑わされず、あなたにとって最適な暖房は何か、本質的な判断基準を手に入れてください。

この記事を書いた人
松原 保嗣

【プロフィール】
岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。
20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。
自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。
【保有資格】
日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員

目次

そもそも全館空調とは?基本的な仕組みを解説

本題に入る前に、まずは「全館空調」がどのようなものか、基本的な仕組みを簡単におさらいしておきましょう。

全館空調とは、一台の大型室内機から家中にダクト(管)を張り巡らせ、建物全体の温度や換気を一括で管理するシステムのことです。

本体の設置方法は、天井裏に大きな機械を置くタイプが一般的ですが、1〜2畳ほどの専用の空調室に設置するタイプもあります。

全館空調の仕組みを示す住宅断面図。空調機から各部屋へ均一に暖気や冷気を送り、上下階や床下まで空気を循環させる様子を矢印で表現。家全体を快適な温度に保つ省エネ住宅の空調システムイメージ。

この記事で特に問題とするのは、このような「ダクト式」のシステムが共通して抱える、メンテナンス性の課題です。

まずは確認!全館空調に期待される5つのメリット

では、なぜ全館空調がこれほど人気があるのか、まずは一般的にいわれている5つのメリットを確認していきましょう。

メリット1:家中の温度差がなくなりヒートショックを防ぐ

廊下や脱衣所、トイレを含め、家全体の温度がほぼムラなく保たれます

冬場の寒い脱衣所で凍えたり、夏場のトイレで汗だくになったりすることも少なくなるでしょう。

急激な温度変化によって起こるヒートショックのリスクを抑えられるのは、大きなメリットです。

メリット2:壁掛けエアコンがなくなり室内がスッキリする

各部屋に壁掛けエアコンを設置する必要がないため、壁や天井がスッキリします。

エアコン本体や配管が露出しないことで、インテリアの自由度が高まり、洗練された空間デザインになります。

メリット3:換気機能で常にきれいな空気を保てる

多くの全館空調システムは換気機能と一体になっており、高性能なフィルターを備えています。

そのため、花粉やハウスダスト、PM2.5などを除去した新鮮な空気を常に取り込むことができ、家中の空気質をクリーンに保ちます

メリット4:換気と空調の設備を一体化できる

住宅には24時間換気システムの設置が義務付けられていますが、全館空調は換気と冷暖房の設備を一つにまとめられる機種があります。

設備が一体化することで、設計や管理がシンプルになる場合があります。

メリット5:設置するエアコンの台数を1台に集約できる

本来であればリビングや寝室、子ども部屋など、各部屋に必要だった複数の壁掛けエアコンが、大型の室内機一台に集約されます。

室外機も一台で済むため、家の外観もスッキリさせることができます。

【本題】エムズが全館空調をおすすめしない5つのデメリットと2つの大きな理由

ここからが本題です。

多くのメリットがある一方で、将来の暮らしに大きく関わる、デメリットもあります。

まずは一般的に挙げられる5つのデメリットを、そして次に、私たちが導入をおすすめしない「特に大きな」2つの理由をくわしく解説します。

デメリット1:初期費用が200〜300万円と高額

全館空調の導入には、システム本体とダクト工事費用などを合わせて、一般的に200〜300万円ほどの初期費用がかかります

高性能な壁掛けエアコンを各部屋に設置する場合と比較して、かなり高額になるケースがほとんどです。

加えて複雑な仕組みです。

デメリット2:将来の間取り変更が難しい

将来、家族構成の変化などでリフォームやリノベーションを考えた際、天井裏や壁の中に張り巡らされたダクトが障害になる可能性があります。

壁を取り払ったり、移動させたりといった間取りの変更が、ダクトによって大きく制約されてしまうのです。

デメリット3:部屋ごとの細かい温度調整が苦手

家全体で一つの温度設定を基本とするため、「暑がりの夫と寒がりの妻」「日当たりの良い部屋と悪い部屋」といった、個人や部屋ごとの細かな温度調整の要望に応えるのが苦手です。

家族全員が快適と感じる温度を見つけるのが難しい場合もあります。

また、誰もいない時間が長い「子供部屋」や「寝室」まで空調を24時間するしかないということ。

デメリット4:家全体が乾燥しやすくなる

特に冬場は、家全体の空気を温めつづけるため、室内の空気が乾燥しやすくなる傾向があります。

「喉がイガイガする」「肌がカサカサする」といった悩みにつながりやすく、強力な加湿器が別途必須になるご家庭も少なくありません。

デメリット5:故障時に家全体の空調が停止する

すべての空調を一台の室外機と室内機でまかなっているため、その一台が故障すると、家中の冷暖房が完全に停止してしまいます。

真夏や真冬に故障した場合、修理が終わるまで非常に過酷な状況で過ごさなければならないリスクがあります。

しかも、複雑な設備ですから、復旧までに時間を要するのも心配事のひとつです。

【大きな理由1】ダクト内の清掃が困難でカビや汚れが溜まるリスク

ここからが、私たちが全館空調を推奨しない、より本質的な理由です。

一つ目は、ダクト内部の汚染リスクです。

換気用と空調用のダクトを分けるタイプは、基本的に外気が入らず室内循環だけなので比較的汚れにくいのですが、外気を取り込む「第一種換気」と空調ダクトを兼用するシステムの場合は、より注意が必要です。

外気には、目に見えない花粉やホコリ、排気ガスなどが含まれています。

これらがフィルターを通り抜けてダクト内部に少しずつ蓄積し、湿気と結びつくことで、カビや雑菌の温床となってしまうのです。

一度汚れてしまったダクトの内部を、隅々まで完璧に清掃することは非常に困難です。

そして、その汚れたダクトを通って、汚染された空気が家中に送り届けられることになります。

これは、家族の健康を考えると、決して無視できない問題です。

専門業者によるダクトクリーニングもありますが、10〜20年ごとに7〜8万円ほどの費用が継続的にかかる可能性も考えておく必要があります。

【大きな理由2】10〜15年後の交換費用が非常に高額

二つ目の大きな理由は、設備の寿命が来たときの交換(更新)コストです。

一般的な空調設備の寿命は、7〜15年といわれています。

つまり、家自体の寿命よりもずっと早く、交換の時期がやってくるのです。

壁掛けエアコンであれば、数万円で新しいものに交換できます。

しかし、全館空調は専用の大型設備のため、交換するとなると再び数十万~数百万円単位の費用がかかる可能性があります。

さらに、15年も経てば、導入したシステム自体が旧式になり、メーカーが部品の製造を終了しているかもしれません。

その場合、部分的な修理ができず、システム全体を入れ替えるしかなくなり、さらに高額な出費を強いられるリスクも考慮すべきです。

【注意点】空調選びで見るべきは「機能」より「構造のシンプルさ」

全館空調の大きなデメリットをご理解いただけたと思います。

しかし、問題はそれだけではありません。

多くの方が陥りがちな「空調設備選びの注意点」があります。

それは、「最新のハイテク設備=最良の選択」という思い込みです。

長期的な視点で見たとき、本当に後悔しない設備選びの基準とは何なのかを解説します。

複雑な設備ほど、将来の修理・交換リスクが高まる

高機能で複雑な設備は、魅力的に見えるかもしれません。

しかし、構造が複雑であるほど、たくさんの専用部品が使われています。

これは、故障した際の修理費用が高額になりやすいことを意味します。

さらに、メーカーの倒産や事業撤退、あるいは単純にモデルチェンジによって部品の製造が中止されれば、修理自体ができなくなるリスクも常に付きまといます
(基本的に通常のエアコンでさえ、メーカーの補修用の部品供給期間は7年程度だと言われています。)

「最新」という言葉に惹かれて高価な設備を導入した結果、10年後には高価すぎて修理もできず、ただの「機能しないお飾り」になってしまう可能性もゼロではないのです。

そもそも、一般的な壁掛けエアコンも、自動お掃除機能やAI機能といった多機能・高価格なモデルであるほど、構造が複雑になり、故障した際の修理費用が高くなりますよね。

本当に後悔しない設備選びの基準は「修理・交換・撤去」のしやすさ

では、何を基準に選ぶべきなのでしょうか。

答えは、「構造がシンプルであること」です。個人的にはこれに尽きると思います。

いつでも、誰でも、手頃な費用で修理・交換できること。

これこそが、30年、40年と長く安心して家に住みつづけるために、とても大切な判断基準だと私たちは考えています。

特殊な専用品ではなく、どこでも手に入る市販品で構成されている。

万が一壊れても、簡単に修理や交換ができる。

必要なくなれば、簡単に取り外して撤去できる。⇒新たな設備機器を導入できる。

そんな「シンプルさ」こそ、住宅設備における最大の長所なのです。

【結論】本当に予算をかけるべきは、高価な設備ではなく「家そのものの性能」

ここまでの話を踏まえ、私たちが考える家づくりでもっとも大切な「結論」をお話しします。

それは、後悔しないために、あなたの大切な予算をどこに投じるべきか、ということです。

お金をかける優先順位は「設備」より「断熱」

もし、空調設備に200万円、300万円といった大きな予算をかけるのであれば、その一部、例えば100万円を家の断熱・気密性能の躯体性能の向上に使う方が、はるかに高い効果と満足度を得られるんじゃないかなと思います。

どんなに高価な設備も、いつかは壊れます。(断熱材は壊れません)

もし、真夏にその設備が壊れてしまった時のことを考えたら、怖いですよね。

実際、我が家でも真夏に床下エアコンの故障で数日間は不自由な思いをしましたが、高気密高断熱で建てたことを、この時本当によかったと実感しました。

エアコンが壊れても、躯体が高性能なため、外気温の影響が極めて薄い=エアコンがなくても想像するよりも不快にならなかった!

これは夏でも冬でも言えることですが、災害時には躯体性能の高いお住まいでは、非常に有利になります。

インフラ(電気やガス)が途絶えても、相対的に室温が寒くならない・暑くなりません。

設備にかける費用を少し抑え、その分を家の断熱性や気密性を高めることに使う。

これこそが、長期的に見て、また災害時も含め、もっとも後悔のない判断だと思います。

極論、百万単位の設備機器を導入するのであれば、それを躯体性能の向上(気密断熱の向上)に使えば、高価な設備機器なしで快適に過ごすことが可能です。

いつか壊れることを想定してコストをかけるのか?壊れない躯体性能にコストをかけるのか?

どちらがよいのか、熟慮すれば答えは明らかです。

「高性能な家」がもたらす、お金だけではない本当の価値

家の躯体性能、特に断熱性と気密性を高めることには、たくさんのメリットがあります。

少ないエネルギーで、一年中春のように快適な室温

高性能な家は、まるで魔法瓶のように、外の暑さや寒さの影響を受けにくくなります。 そのため、小さなエネルギーで家全体を快適な温度に保つことができます。 結果として、月々の光熱費を大幅に抑えることにもつながります。

万が一の時も、室温が急変しない安心感

高性能な住宅は、万が一、停電やメインの暖房が故障して使えなくなった場合でも、室温の急激な低下を防いでくれます。

例えば、外の気温が5℃まで冷え込んでも、室内は18℃~20℃程度を維持できます。

暖房が全くない状態でも、凍えるような寒さにはなりません。

ちなみに、人の発する発熱量はおよそ100Wの電球と同じだとされています。

高性能な高気密高断熱のお住まいでは、家族が4人集まれば、その人的発熱量だけである程度の暖房効果が期待できます

実際、2011年の東日本大震災の際、まだ寒い時期でしが、インフラが途絶えた際に高気密高断熱のお住まいが近隣の避難所的な役割を果たしたとした報道も見られました。

太陽の光と熱を活かす「パッシブ設計」の心地よさ

さらに、冬の暖かい日差しを室内に取り込み、その熱を逃がさない「パッシブ設計」を取り入れることで、快適性はいっそう高まります。

冬の晴れた日には、暖房をつけなくても室内が22℃~24℃になることも。

そんな、自然のエネルギーを最大限に生かした、豊かで心地よい暮らしが手に入るのです。

【解決策】高性能な家だからできる、シンプルな「床下エアコン」

「家の性能に予算をかけることがもっとも大切だとわかった。では、空調はどうすればいいの?」

その答えの一つが、私たちがおすすめする「床下エアコン」です。

これは、特殊な専用設備ではなく、一般的な家庭用壁掛けエアコンを応用した、とてもシンプルな暖房方法です。

基礎断熱を施した床下空間にエアコンを設置し、そこから送り出された暖かい空気が、床のガラリ(通気口)から自然に上昇して、1階全体をじんわりと暖めます。

床下エアコンと床暖房の違いを比較したイラスト。左は基礎空間を暖め家全体を均一な温度に保つ床下エアコンの仕組み、右は床パネルを直接温め足元から熱を伝える床暖房の仕組みを模式的に説明。暖房方式の特徴比較図。

この方法は、ダクト式システムの全館空調が抱えるデメリットをうまく解決してくれます。

  • メンテナンス性
    ベースが一般的なエアコンなので、故障時の修理や交換が手頃な費用で容易にできます。
  • 清潔性
    全館空調のように複雑なダクトを使わないため、カビや汚れの心配がほとんどありません。
  • 更新コスト
    交換時期が来ても、新しい市販のエアコンに取り替えるだけで済みます。

家の性能を高めているからこそできる、シンプルで、ムダがなく、長期的に見てもっとも安心できる方法。

それが床下エアコンです。

よりくわしい仕組みやメリット・デメリットについては、こちらの記事でくわしく解説しています。

まとめ:後悔しない空調選びは「本質」を見抜くこと

今回は、全館空調が抱える本当のデメリットから、家づくりで本当に大切にすべきことまで解説してきました。

後悔しない家づくりのためには、目先の快適さや最新機能だけでなく、「この設備は、構造がシンプルで、長く安心して使い続けられるだろうか?」と、長期的な視点で考えることが大切です。

  • 全館空調は、ダクト清掃の難しさや将来の高額な更新コストが大きなリスク。
  • 設備は「修理・交換・撤去」のしやすさ、つまり「構造のシンプルさ」で選ぶ。
  • お金をかけるべきは、いつか壊れる設備ではなく、一生ものの資産となる「家の性能」。
  • 家の性能を高めれば、「床下エアコン」のような、よりシンプルで納得できる方法を取り入れられます。
 

私たちエムズアソシエイツは、岐阜の地で「高気密・高断熱」と自然素材にこだわった家づくりを追求しています。

それは、複雑な設備に頼らなくても、家の性能そのもので、ご家族がずっと快適に、そして安心して暮らせる家こそが、最高の住まいだと考えているからです。

「設備選びで、もう悩みたくない」「家の性能について、もっとくわしく知りたい」「床下エアコンを体感してみたい」

そう思われた方は、ぜひ一度、私たちのモデルハウスで本物の快適さを体感してみてください。

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