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【工務店の本音】第一種換気と第三種の二択の前に知るべき”たった一つ”の条件

家づくりで換気システムを検討し始めると、必ず突き当たるのが「第一種と第三種、どちらにすべきか」という問いではないでしょうか。

コスト、快適性、メンテナンス性…様々な情報がある中で、ご自身の家に最適な選択をするのは簡単ではありませんよね。

この記事ではまず、その疑問に家づくりのプロとして真っ直ぐお答えします。両者のメリット・デメリットを様々な角度から徹底比較し、あなたの家にとっての最適解を分かりやすく解説。

その上で、岐阜の気候を知り尽くした私たちエムズアソシエイツとしての見解もお伝えします。

しかし、本当の後悔しない選択のためには、もう一歩踏み込む必要があります。

実は、どんな換気システムを選ぶか以上に、その性能を100%引き出すための「家の土台」が重要であり、その土台がどうなっているかによって、第一種・第三種の選択の意味合いそのものが、がらりと変わってくるのです。

この記事を読めば、こんな疑問がスッキリ解決します!
  • 第一種(全熱交換)・第三種換気、仕組みとメリット・デメリットの違いは?
  • 光熱費や手入れまで考えた、本当のコストパフォーマンスは?
  • 岐阜の気候(高温多湿・冬の乾燥)に最適なのはどっち?
  • 換気扇選びの前に絶対に知るべき「C値」って何?
  • 「こんなはずじゃなかった…」を防ぐためのチェックポイントは?

読み終える頃には、換気システム選びの迷いがスッキリ解消し、あなたに最適な選択ができるようになっているはずです。

この記事を書いた人
松原 保嗣

プロフィール:
岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。
保有資格:
日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員

目次

そもそも24時間換気システムとは?第一種(全熱交換)・第三種の違いを知ろう

まずは、多くの方が一番知りたい「第一種換気と第三種換気の違い」から見ていきましょう。

それぞれの仕組みと、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。

24時間換気はなぜ必要?第一種・第三種の基本的な仕組み

2003年の法改正以降、新築住宅には24時間換気システムの設置が義務付けられています。

これは、建材などから発生する化学物質(シックハウス症候群の原因)や湿気を排出し、新鮮な空気を取り入れるためです。

法律では「2時間で家中の空気がすべて入れ替わる」ように換気量が定められており、スイッチを切ることは、汚れた空気や湿気が排出されにくく、カビの原因にもなることから推奨されてません。

この24時間換気には、大きく分けて「第一種」と「第三種」の2つの方式があります。(※第二種換気は病院のクリーンルームなどで使われる特殊な方式で、一般住宅ではほとんど採用されません)

  • 第一種換気: 外から空気を取り入れる「給気」と、中の空気を外に出す「排気」の両方を、機械(ファン)の力で行います。
  • 第三種換気: 「排気」だけを機械で行い、「給気」は壁に設けた給気口から自然に空気を取り込む方式です。

 

 

この給排気の仕組みの違いが、それぞれのメリット・デメリットに繋がっていきます。

【第一種換気のメリット】熱交換式を使えば、年中快適&省エネな暮らし

第一種換気の最大の特長は、「熱交換」という機能があることです。

これは、排気する室内の空気から熱(冬は暖かさ、夏は涼しさ)や湿度を回収し、新しく取り込む外の空気にその熱や湿度を移してから室内に届ける仕組みです。

そんなことできるの?と思われる方もいるかもしれませんので、下図で解説します。

「熱」を「交換」する。

読んで字のごとく、空気の入れ替えをする換気の際に、

  • 冬には室内の熱と湿気を回収(部屋へ戻し)
  • 夏には逆にエアコンした室内の冷気を室内に回収(部屋へ戻す)

という仕組みです。

画像引用:ダクトレス熱交換換気システム「せせらぎ」 | PEJ

上の図を見ると、「熱交換をしない換気」と「熱交換率93%の換気」とでは、室内に入ってくる空気の温度が大きく違うことが分かります。

特に「全熱交換式」の換気は、熱交換率が90%以上と非常に高いのが特徴です。

そのため、冬も夏も換気による熱のロスを最小限に抑えることができます。

その結果、常に新鮮な外の空気を取り入れながらも、室内の温度を快適に保ちやすくなるのです。

ちなみに、この「熱交換式の第一種換気」には、家じゅうに配管を通す「ダクト式」と、配管が不要な「ダクトレス式」の2種類があります。

この違いについては、記事の後半で詳しく解説します。

 

総じて熱交換型第一種換気には、次のようなメリットが生まれます。

第一種換気のメリット
  • 熱交換で室内の温度・湿度が安定し、一年を通して快適に過ごしやすい(※全熱交換式の場合)
  • 冷暖房の負担が軽くなり、光熱費の削減につながる
  • 給気フィルターで花粉やPM2.5などを取りのぞき、きれいな空気を保てる

家の熱が逃げる原因のうち、窓に次いで大きいのが「換気」で、全体の約3割にもなると言われています。

熱交換率の高い第一種換気なら、この大きな熱のロスを大きく抑えられるため、冷暖房の効率が上がり、省エネにつながります。

また、温度が安定する点はよく知られていますが、実は「湿度」をコントロールできる点(全熱交換式の場合)も、見逃せない大きなメリットです。

夏は、外のジメジメした空気に含まれる湿気を室内に取り込みにくくするため、エアコンの除湿にかかる負担が軽くなり、カラッとした快適な状態を保ちやすくなります。

逆に冬は、室内の適度な潤いを保ったまま換気できるため、暖房による過乾燥を和らげる効果があります。

特に、夏は高温多湿で暑さが厳しく、冬は乾燥する岐阜のような気候のエリアでは、この機能が効いてきます。

【第一種換気のデメリット】初期費用と日々のメンテナンス

一方、第一種換気で考えておきたいのが、コストとメンテナンスの面です。

第一種換気のデメリット
  • 第三種換気に比べ、ユニット本体やダクト工事などの初期費用が高い
  • フィルター交換やダクト清掃など、定期的な手入れの手間がかかる
  • 給排気の両方でファンを動かすため、第三種換気より日々の電気代がかかる

第一種換気のコストが高くなる主な理由は、熱交換を行うユニット本体のほかに、各部屋へ計画的に空気を送るための「ダクト(配管)」の設置工事があるためです。

家の中にダクトを巡らせるため、設計の段階でその通り道を確保しておかなければなりません。

さらに、ダクト式の場合には、将来的にダクト内の清掃のメンテナンスも発生することも覚えておいてください。

その点、ダクトレスはダクトを施工しない分、ダクトのメンテナンスを考えなくてもよいのですが、電子制御の換気機械自体の価格が高くなるので、ダクトレスと初期費用の格差はそれほどありません。

また、性能を保つために欠かせないのが、給気フィルターの定期的な掃除や交換です。

もし手入れをしないままだと、熱交換の効率が落ちるだけでなく、フィルターに溜まったホコリや汚れが家中に循環してしまうことにもなりかねません。

この点は、ダクト式もダクトレスも同じで、定期的な点検や清掃も必要になってきます。

【第三種換気のメリット】導入コストの安さと手軽さが魅力

第三種換気の魅力は、なんといってもそのシンプルさにあります。

構造が単純なため、次のようなメリットがあります。

第三種換気のメリット
  • 構造がシンプルなため、初期費用を安く抑えられる
  • ファンが排気用のみなので、日々の電気代が非常に安い
  • 手入れが必要な箇所が少なく、メンテナンスが簡単で故障のリスクも低い

第三種換気は、壁に設けた給気口から自然に空気を取り込み、排気ファンで外に出すという、とてもシンプルな仕組みです。

機械が少なく、複雑なダクト工事も基本的にはいらないため、初期費用を抑えられます。

また、動いている機械が排気ファンだけなので、消費電力がごくわずかで、ランニングコストが安いのも大きな魅力です。

構造がシンプルな分、故障のリスクが低く、手入れも給気口のフィルターと排気ファンの掃除が中心になるため、手間がかからないのも嬉しいポイントです。

【第三種換気のデメリット】外気の影響を受けやすく、光熱費増の可能性も

第三種換気の最大のデメリットは、熱交換機能がないため、外の空気がそのままの温度と湿度で入ってくることです。

このため、次のような問題が起こり得ます。

第三種換気のメリット
  • 外の暑さ・寒さ・湿気が直接室内に入り、快適性が損なわれやすい
  • 冷暖房の効率が下がり、結果的に光熱費が増える可能性がある
  • 給気口の簡易フィルターでは、花粉やPM2.5などを防ぎきれるものが少ない

外の空気がそのまま入ってくるため、特に冬場は給気口の近くで「コールドドラフト」と呼ばれるひんやりした空気の流れを感じやすく、足元が冷える原因になります。

夏はその逆で、熱く湿った空気が入り込むため、エアコンは冷やすだけでなく除湿にも余計な力を使うことになり、光熱費がかさむ原因にもなります。

また、空気のきれいさという面では、給気口に高性能なフィルターを取り付けてもある程度の効果は期待できますが、給気も排気も機械でしっかり管理する第一種換気に比べると、どうしても性能には限界があります。

せっかく快適に保った室内の空気が外気の影響を受けやすい、というのが第三種換気の構造上の弱点と言えます。

 

ただ、両方のお住まいを提供している経験者としての感想は、第一種(熱交換式)と第三種換気による体感的な温度差はごくわずか

冬の外気が0°~5°くらいの場合には、2℃前後の体感の違い。

夏の場合には、第三種のほうがやはり若干湿度が高くなる傾向にあるかなくらいで、第三種換気のお住まいでも快適な室内環境です。

(エムズアソシエイツの事務所は第三種換気を採用してますが、スタッフ全員、冬も夏も快適に仕事ができています)

【結論】岐阜のような高温多湿な気候なら、第一種換気がおすすめ

さて、ここまでの情報をまとめると、一般的な選び方は以下のようになります。

  • 快適性や省エネ性を重視するなら → 第一種換気
  • 初期コストや手軽さを重視するなら → 第三種換気

私たちエムズアソシエイツが拠点を置く岐阜の気候をふまえると、第一種換気をおすすめします。

岐阜は、夏は盆地特有の厳しい暑さと湿気に見舞われ、エリアによっては底冷えする寒さと乾燥にさらされる、寒暖差の激しい地域です。

このような地域では、外気の影響を最小限に抑え、一年を通して室内の温度・湿度を快適に保つ「第一種換気(特に熱交換型)」が非常に大きなメリットを発揮します。

実際に「家の中の温度差をなくしたい」という理由から、第一種換気を選択する施主様も多いです。

もし予算に余裕があるのなら、第一種換気をおすすめします。

【本質】どんな換気システムも「家の気密性」が低ければ意味がない!

…と、ここまでが換気システム単体で見た場合の一般的な結論です。 

ただ、家づくりのプロとしては、これだけでは不十分だとお伝えしなければなりません

なぜなら、どんなに高性能な換気システムを選んでも、家の”気密性”が低いと、まったく意味がなくなってしまうからです。

むしろ、それが原因で「第一種換気を選んだのに、なんだか寒い…」「計画通りに換気できていない気がする」といった後悔に繋がってしまうのです。

「隙間だらけの家」では、換気計画は成り立たない

24時間換気システムの目的は、家全体の空気を計画的に入れ替える「計画換気」を実現することです。

設計段階で「ここから給気して、ここから排気する」という空気の流れを緻密に計算しています。

しかし、もし家にたくさんの「隙間」があったらどうなるでしょうか。

例えば、穴の空いたストローでジュースを吸おうとしても、うまく吸えないのと同じです。

意図しない隙間から空気が入ったり出たりしてしまい、設計通りの空気の流れが生まれません。

特に第三種換気の場合、排気ファンの近くの隙間から空気を吸ってしまい、部屋の隅々まで新鮮な空気が届かない「ショートサイクル」という現象も起こりやすくなります。

これでは、高性能な換気システムも宝の持ち腐れです。

換気の性能は「C値」で決まる。家の気密性能を表す指標

この家の隙間の多さ少なさを示す指標が「C値(相当隙間面積)」です。

C値とは、家全体にある隙間の面積(㎠)を、延床面積(㎡)で割った数値です。

この数値が小さければ小さいほど「隙間が少なく、気密性が高い家」ということになります。

C値は、換気計画の成否を決定づける、いわば「通信簿」のようなものです。

この数値が悪いと、第一種だろうが第三種だろうが、換気システムはその性能を十分に発揮できません。

理想は0.5以下。「超」高気密と呼ばれるレベルです。

もしあなたが今、工務店やハウスメーカーと打ち合わせをしているなら、ぜひ以下の二つを質問してみてください。

「全棟で気密測定(C値を測る検査)をしていますか?」

「おたくの会社の実測C値の基準は、いくつですか?」「C値の保証数値はありますか?」

この質問への答えが、後悔しない換気システム選び、そして快適な家づくりにおいて、非常に重要なポイントになります。

C値0.4以下が標準。だからエムズは”超”高気密住宅にこだわる

ここからは、なぜ私たちがこれほどまでに「C値」を重要視するのか、そしてその先にあるエムズアソシエイツの家づくりについてお話しします。

『超』高気密でなければ、第一種換気でも熱は逃げてしまう

「隙間が多いと計画通りに換気できない」というのは、第一種・第三種どちらにも言えることです。

しかし、特に第一種換気については、その恩恵を最大限に受けるため、より高い気密性能が求められます。

なぜなら、せっかく熱交換した快適な温度の空気を室内に送り込んでも、家のあちこちに隙間があれば、そこから熱が逃げたり、外の暑さ寒さが直接侵入したりしてしまうからです。

C値が低い「超」高気密な家であって初めて、第一種換気はカタログ通りの性能を発揮し、快適性と省エネ性という最大のメリットをもたらしてくれるのです。

 

もちろん、第三種においても気密はとっても重要です。

第三種換気は、排気ファンが空気を外に出す力だけで動いています。

このとき、もし給気口以外の場所にたくさんの隙間があると、ファンは一番吸いやすい近くの隙間から空気を吸い込んでしまいます。

その結果、部屋の隅々まで新鮮な空気が届かなくなり、計画通りの空気量を給気口から取り込めなくなってしまうのです。

エムズはC値0.4以下を基準とし、全棟で気密測定を実施

このような理由から、私たちエムズアソシエイツは「C値0.4以下」を自社の絶対基準としています。

平均C値は約0.25前後と、全国的に見てもトップクラスの性能を維持しています。

気密性能 (C値)

一般的な高気密住宅の基準(1.0㎠/㎡)や超高気密といわれる基準(0.5㎠/㎡)を大幅に下回る数値を追求。最近ではC値0.06という驚異的な実測値も達成しました。

  • 過去50棟平均実績:実測C値0.245 
  • 過去150棟平均実績:実測C値0.323
  • 過去最高実測C値=0.06 
  • 過去最高UA値=0.22

 

さらに、私たちはその約束を確実に守るため、お引き渡しするすべての住宅で、専門のスタッフが気密測定を実施し、その結果(気密測定報告書)をお客様に提出しています。

自社で測定器を持ち、一棟一棟の性能に責任を持つ。

モデルハウスの参考値ではなく、お客様にお引き渡しする家で一棟一棟かならず測定すること。

これこそが、換気システムの性能を100%引き出し、本当に快適な暮らしをお届けするための、私たちの譲れないこだわりです。

【最終結論】”超”高気密 × 第一種換気が最強の組み合わせ

この「C値0.5以下の”超”高気密住宅」という揺るぎない土台があるからこそ、私たちは自信を持って「第一種換気」をおすすめします。

“超”高気密な家と第一種換気システム

この2つが組み合わさることで、初めて「家中の温度差がほとんどない、魔法瓶のような快適空間」と「冷暖房のエネルギーロスを最小限に抑えた、優れた省エネ性能」を両立できるのです。

実際に、エムズの家に住まわれている施主様からは、「家の中の気温差をなくしたかった」「アレルギーの原因になるダニやカビを発生させないために換気は大事」といった想いから第一種換気を選ばれ、その住み心地に満足されています。

もし第三種換気を選ぶなら?快適性を高める工夫

お客様のご予算や暮らしの考え方によっては、第三種換気が最適な選択となることもあります。

その場合でも、大前提として「家のC値が低いこと」は必須条件になります。

その上で、第三種換気のデメリットである『給気口からの冷気』を和らげるため、給気口の配置に工夫を凝らした設計をご提案します。

例えば、

  • ベッドの枕元や、机の足元など、人が長時間過ごす場所の近くを避ける。
  • エアコンの風が当たる場所の近くに設置し、入ってきた空気をすぐに暖めたり冷やしたりできるようにする。

といった設計上の配慮で、快適性を少しでも高めることはできます。

【施主様の声】実際の住み心地、どうですか?

ここまで、性能や理屈の話をしてきましたが、最後に「実際に住んでみてどうなの?」という、施主様のリアルな声をご紹介します。

第一種、第三種、それぞれを選ばれた理由や住み心地をご覧ください。

【第一種換気を選んだ方の声】

 K様:「澄家」で匂いも音も気にならない快適さ

熱効率の良さに加え、健康面への配慮から第一種換気「澄家」を選ばれた、K様。床面から排気するというユニークなシステムで、その効果を実感されています。

「トイレなどでは、臭気が顔の近くを通ることなく吸引されるため、全く匂いを感じません。音も全く気にならず、本当に動いてる??と心配になるくらいです。『ダイアトーマス(塗り壁材)』×『澄家』のおかげなのか、匂いが気になったことは1度もありません!」

アレルギーの原因物質が溜まりやすい床から排気してくれる点も、小さなお子様がいるご家庭にとって大きな安心材料になっているようです。 

参考ブログ:「健康」「自然素材」の目線で選んだもの

 G様:温度差のない家と、アレルギー対策への期待

「家の中の温度差をなくしたかった」という想いから、熱交換ができる第一種換気を選ばれたG様。アレルギー対策も重要なポイントでした。

「岐阜市内は、夏暑くて冬寒い地域ですから、きっと第一種換気装置が活躍してくれることでしょう。アレルギーの原因になるダニやカビを発生させないよう、換気は大事ですので、工務店選びの際の重要事項ではないでしょうか。」

エムズアソシエイツから換気量計算書や圧損計算書が提示されたことも、安心につながったと語られています。 

参考ブログ:第一種換気装置

【第三種換気を選んだ方の声】

 S様:「第一種だったらもっと凄かったかも」という実感

高気密な家で、第三種換気でも冬を快適に過ごされているS様。その上で、こんなリアルな感想も。

「(C値が良いおかげで)家自体は冬も快適。でも、給気口からの直接の冷気はやっぱり感じる。『熱交換型の第一種だったらもっと凄かったのかも』と思います。」

家の基本性能が高いからこそ、換気システムによる「もう一段階上の快適性」を実感されている、非常に参考になるご意見です。 

参考ブログ:パッシブハウスの光熱費について

 Y様:性能とコストを両立させた、納得の選択

Y様は、性能、メンテナンス性、コストパフォーマンスを総合的に判断し、「第三種ダクト式換気システム」を選ばれました。

  • 確実な換気: 排気を1ヶ所に集約し、ハイパワーモーターで強制排気。
  • 手入れのしやすさ: 第一種に比べてカビのリスクが低い。
  • フィルター選択: 高性能フィルターで花粉やPM2.5を対策。
  • トータルコスト: 設置費用、電気代、冷暖房費のバランスが良い。

第三種換気の中でも、性能とコストのバランスを重視して選ばれた、良い例です。

参考ブログ:第3種ダクト式換気システム「ルフロ400」

 

どちらの方式を選んでも、「高気密」という土台があれば家の基本的な快適性は保たれること、そして第一種換気がもたらす「もう一段階上の快適さ」への期待感が、皆様の声から伝わってきます。

ダクト式?ダクトレス?「配管方式」で何が変わるの?

換気システムの話になると、もう一つ「ダクト式」「ダクトレス」という言葉が出てきて、混乱される方も多いかもしれません。

これは、第一種・第三種とは別の、構造上の違いです。

「ダクト」は家中に空気を送るための管

「ダクト」とは、簡単に言うと、家中に計画的に空気を送ったり排出したりするための配管(空気の通り道)のことです。

このダクトを使うかどうかで、換気システムの構造やコスト、メンテナンス性が変わってきます。

「ダクト式」「ダクトレス」とは、この空気の通り道(ダクト)を使うかどうかの話です。

  • ダクト有り(ダクト式):天井裏などにパイプ(ダクト)張り巡らせ、換気ユニットから各部屋へ空気を送る方式
  • ダクト無し(ダクトレス式):壁や窓に直接換気口をつけて空気を出し入れ

特に第一種換気の場合、このダクトの有無によって熱交換の仕組みが少し異なります。

ダクト式

ダクト式の第一種換気は、天井裏や床下に設置した大きな熱交換ユニットが心臓部となります。

そして、その中で熱をやりとりするのが「エレメント」と呼ばれる部品です。

画像引用:環境省|ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)

上図がエレメントと呼ばれるもので、冷たい(暑い)外気と暖かい(冷やされた)室内空気が、この何層にもなったエレメントの中をすれ違う際に、仕切りを介して熱だけが効率よく移動します。

家全体の換気を一括して行う、パワフルで高効率な仕組みです。

これ考えた人って本当にすばらしいと思います。笑

ただし、ダクト式の場合には、将来的にダクト内の清掃のメンテナンスも発生することも覚えておいてください。

その点、ダクトレスはダクトを施工しない分、ダクトのメンテナンスを考えなくてもよくなります。

その分、電子制御の換気機械自体の価格が高くなるので、ダクトレス式と初期費用の格差はそれほどありません。

ダクトレス方式

一方、ダクトレス方式は少し仕組みが違っていて、天井裏や床下にダクトを設置することなく、壁に設置した個別の換気装置が熱交換を行います。

そのキーとなるのが「蓄熱エレメント」です。

画像引用:ダクトレス熱交換換気システム「せせらぎ」 | PEJ

これは、ファンが一定時間ごとに回転方向を変え、給気と排気をリレーのように繰り返す仕組みです。

動作の流れは以下のようになります。

画像引用:ダクトレス熱交換換気システム「せせらぎ」 | PEJ

  1. 排気(熱をエレメントに蓄える)
    • まず約60秒間、ファンが排気方向に回転します。
    • 室内の空気(冬は暖かい空気、夏は冷たい空気)が蓄熱エレメントを通過する際に、その「熱」だけがエレメント内に蓄えられます(滞留します)。
  2. 給気(エレメントから熱を室内に戻す)
    • 次にファンが逆回転し、約60秒間、給気を行います。
    • 外の新鮮な空気がエレメントを通過する際に、先ほど蓄えた熱を受け取って室内に供給されます。

要するに、排気する際に熱だけをエレメントにとどめておいて、給気(吸気)する際にその熱が新鮮な空気と一緒に室内に戻ってくる、という理屈です。

この「排気」と「給気」のサイクルを交互に繰り返すことで、熱のロスを抑えながら換気を行います。

ちなみにダクトレス方式は、ダクトを利用しない点はメリットですが、デメリットとして、壁に5〜6箇所の換気装置を設置するための穴を開ける必要があります

そのため、給気と排気の2箇所の穴で済むダクト式に比べて、その穴からの熱損失が大きくなりがちです。

4つの方式(第一種・第三種とダクトの有無)、メリット・デメリットは?

つまり、換気システムは「第一種・第三種」と「ダクト式・ダクトレス式」の組み合わせで、大きく4つのタイプに分けられます。

 

 ① 第一種 × ダクト式

家全体の換気を一台で集中管理でき、熱交換効率も高い方式です。

ただし、ダクト工事のコストがかかるだけでなく、ダクトを設置するためのスペースを確保する必要があったり、その通り道が梁などの構造体と干渉して、天井の高さや間取りに影響を及ぼすこともあります。

さらに、将来的にダクト内部の清掃も課題となります。

  • 〇:もっとも断熱性能が高い。家中の空気をコントロールできる。
  • 〇:熱交換もできて、省エネ。
  • ✕:設備コストが高い。
  • ✕:ダクトのためのスペースが必要で、梁と干渉して設計に制約が出やすい。
  • ✕:定期的なメンテナンスが必要。

 ② 第一種 × ダクトレス式

ダクトを使わず、壁に設置した個別の換気扇で直接空気をやりとりする方式です。

ダクトがないため工事が比較的簡単で、ダクト汚染の心配もありません。

実は珍しい方式です。

一般的な製品ではコストがかさみ、家全体の換気バランスを取るのが難しいという課題もあります。

  • 実は珍しい
  • 〇:ダクト工事が不要で、施工が比較的簡単。
  • 〇:ダクトがないため、清掃の手間や心配がない。
  • ✕:製品によってはユニット数が多くなり、コストがかさむことがある。
  • ✕:家全体の換気バランスを精密に調整するのが難しい場合がある。

そこで私たちエムズアソシエイツが標準採用しているのが、「エアセーブ」という製品です。

このシステムは、少ないユニットで家全体を効率よく換気できるため、コストを抑えつつ、換気バランスの課題もクリアしています。

ダクトレスの「手入れのしやすさ」というメリットを活かした、非常にバランスの取れた方式です。

ただし、やはり断熱性能に関しては、ダクト式に軍配が上がります。

 ③ 第三種 × ダクト式

各部屋の排気を一箇所に集約するため、静音性が高く、比較的均一な換気がしやすい方式です。

三種の中では性能とコストのバランスが良い選択肢です。

  • 排気を1か所のファンでまとめてダクトで引っ張る
  • 各部屋に給気口(穴)があって、自然に空気が入る
  • 〇:コスパよし、そこそこの性能
  • ✕:自然給気なので外気の温度や音の影響を受けやすい

 ④ 第三種 × ダクトレス式

トイレの換気扇のように、各所に独立したファンを設置する方式。

構造はもっともシンプルで安いですが、家全体の空気の流れを計画的に作るのは難しくなります。

  • 一番シンプル。各部屋に給気口と排気ファンをつけるだけ。
  • 〇:安い・簡単
  • ✕:自然給気なので外気の温度や音の影響を受けやすい。
  • ✕:部屋ごとの温度ムラ、換気ムラが出やすい

エムズアソシエイツでは「ダクトレス式」をおすすめします

私たちエムズアソシエイツは、「第一種 × ダクトレス式」を標準としておすすめしています。

これは、ダクトがないことによるメンテナンス性の良さと、第一種熱交換がもたらす快適性・省エネ性を両立できる、もっともバランスの取れた方式だと考えているからです。

もちろん、お客様のご予算や間取り、考え方に応じて、第三種ダクト式など他の最適なプランをご提案することもあります。

大切なのは、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、ご自身の家づくりに何が最適かを見極めることです。

まとめ:換気システムの最適解は、家の性能とセットで考える時代へ

ここまで、第一種換気と第三種換気の違いから、その性能を最大限に引き出すための「C値」の重要性まで、詳しく解説してきました。

「どの換気扇を選ぶか」という問いへの答えは、もはや「どんな性能の家を建てるか」という問いと切り離せないことを、ご理解いただけたのではないでしょうか。

この記事の要点を、改めて振り返ってみましょう。

  • 快適性・省エネ性なら「第一種」、初期コスト・手軽さなら「第三種」。
  • 家の気密性(C値)が低ければ、どんな換気システムも性能を発揮できない。
  • 計画的な換気のためには、C値1.0以下、理想は0.5以下の「超」高気密住宅が必須。
  • 「C値0.5以下の超高気密」という土台があるからこそ、「第一種換気」が最高のパフォーマンスを発揮する。
 

結局のところ、後悔しない換気システム選びとは、その性能を100%引き出せる技術力の高い会社を選ぶことに他なりません。

私たちエムズアソシエイツは、岐阜という厳しい気候の中でご家族が一年中快適に暮らせるよう、「C値0.5以下」を絶対基準としています。

実際、直近50棟の平均C値は0.25を下回るなど、基準を大幅に上回る性能を標準としており*その約束を果たすために全棟で気密測定を行っています。

もし、私たちが大切にしている「性能と、その先にある暮らし」に少しでも共感していただけましたら、ぜひ一度、モデルハウスでその空気感を肌で感じてみてください。

画面の情報だけでは伝えきれない、本物の快適さがそこにあります。

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