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自然素材のリノベーションはどう変わる?素材別の特徴と失敗しない選び方

「床を無垢材にしたい」

「壁を塗り壁にしたい」

せっかくリノベーションするなら、健康や心地よさのことも考えて自然素材を使ってみたいと思う方も多いのではないでしょうか。

ただ、いざイメージを膨らませても、「うちの古い家でも本当にできるのかな?」と不安になることはありませんか。

ただ、新築と違って既存の家をリノベーションする場合、単純に好きな床板や壁材を上から張ればいいというわけにはいきません。

建物の状態によっては、「下地が傷んでいて無垢材を張れない」「壁の中の断熱材を入れ直さないと、せっかくの自然素材が結露で傷んでしまう」といったことが起こるからです。

「見た目はきれいになったけれど、冬の寒さは前のままだった」とならないよう、床や壁を新しくするタイミングで、壁の中や床下の状態まで一緒に確認しておく必要があります。

この記事では、「床が冷たい」「壁の傷が気になる」といった今の家の悩みを解決するために、無垢材や珪藻土などの自然素材をリノベーションでどう取り入れればいいのか、具体的な選び方と注意点を解説します。

この記事でわかること
  • 自然素材が合う場所と、それぞれの特徴・注意点
  • 採用する前に確認すべき「下地」と「断熱」
  • 無垢材・珪藻土・板張りの選び方のコツ
  • 相談前に整理しておきたい3つのポイント
この記事を書いた人
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松原 保嗣

岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。 保有資格: 日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員

自然素材をリノベーションで取り入れるなら、まず何から決める?

高気密高断熱リノベーションで快適性を高めた岐阜県加茂郡八百津町の住まい

自然素材のリノベーションでは、「せっかくなら床を無垢材にしたい」「壁は珪藻土にしたい」と、取り入れたいもののイメージから検討を始めることもあるかもしれません。

ただ、見た目の好みだけで決めてしまうと、「本当に今の家の悩みが解決するの?」という、本来いちばん大切な目的が後回しになってしまいます。

「何を使うか」を決める前に、まずは「床の冷たさ」や「壁の傷」など、今の暮らしで解消したい不満から考えてみるのがおすすめです。

それぞれの悩みごとに、どんな自然素材がぴったり合うのかを見ていきましょう。

床のめくれや傷がストレスなら、削って直せる無垢材もあり

「フローリングの表面がめくれて、ささくれ立ってきた」

「ペットや子どものつけた傷が目立って、みすぼらしく見える」

一般的な合板フローリングは、表面に貼られた薄い木が剥がれたり傷がついたりすると、そこから下地が見えて一気に劣化が目立ってしまいます。

そんな日々のストレスを感じているなら、無垢材への張り替えを検討する良いきっかけかもしれません。

無垢材は中まで本物の木でできているため、そもそも「表面がめくれる」ということがありません。

もちろん木なので傷はつきますが、合板のように「ただ劣化していく」のではなく、傷そのものが木目と馴染んで「味」に変わっていくのが大きな違いです。

気になるときは、自分で少し削ってオイルを塗ればきれいに自分で直すこともできます。

 

実際、エムズアソシエイツでお手伝いしたI様邸でも、床や扉の表面のめくれがきっかけで自然素材へのリノベーションをスタートされました。

合板の劣化や傷にストレスを感じているなら、無垢材へシフトする良い機会です。

樹種ごとの違いや先輩施主様のリアルな声は、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

部屋のジメジメやにおいを防ぎたいなら珪藻土、ぬくもりを足すなら板張り

「ペットが壁紙をガリガリ傷つけてしまう」

「化学物質の少ない壁材で、部屋の空気をきれいにしたい」

そんなときは、壁紙を張り替えるだけでなく、思い切って「珪藻土」や「木の板張り」に変えてみるのもひとつの手です。

室内のジメジメや乾燥を防ぐ「調湿性」を重視するなら、「しっくい」ではなく断然「珪藻土系」がおすすめです。

空気環境(調湿・消臭)を良くしたいなら珪藻土、木のぬくもりやリラックス感をプラスしたいなら板張り、というように使い分けるのがポイントです。

内装を剥がすタイミングで、間取りや動線の不満も一緒に改善する

「床を無垢材にしたい」「壁を珪藻土にしたい」と考えている方の多くは、同時に「キッチンの使い勝手が悪い」「リビングの収納が足りない」といった間取りへの不満も抱えています。

実は、自然素材を取り入れるタイミングは、そうした「間取りや動線の不満」を一気に解消する絶好のチャンスでもあります。

なぜなら、床や壁を自然素材にするには、今の内装を一度剥がす大掛かりな工事になるからです。

せっかく壁や床を解体するなら、ただ表面をきれいにするだけでなく、「キッチンの向きを変えて動線を良くしよう」「収納を増やそう」と、LDK全体の使い勝手から見直したほうが無駄がありません。

実際、先ほどご紹介したI様邸も自然素材の導入と合わせて、LDK全体の動線を根本から改善するプランをご提案しました。

リノベーションは「内装の張り替え」ではなく、「今の暮らしの不満を解決する機会」でQOL(生活の質)も大きく向上させることができます。

自然素材を入れる前に、下地や劣化状況、断熱状況を確認しよう

解消したい「今の暮らしの不満」が整理できたら、次に大切なのが「今の家の健康状態」を知ることです。

下地の傷みや断熱不足をそのままにして表面の内装だけ新しくしても、「冬の寒さ」や「壁の結露」といった根本的な不満は解決しません

表面だけきれいにしても、壁の中の断熱材を入れ直さないと冬の寒さは変わらない

壁紙やフローリングを選ぶ前に、必ずプロの目で確認しておきたいのが、建物の構造や下地の劣化状況です。

内装リノベーションでよくある失敗が「きれいに仕上がったけれど、冬の寒さは相変わらず…」という場合。

壁の断熱材を入れ直すには、壁を一度壊す必要があります。

せっかく無垢材や珪藻土で心地よい空間を作るなら、後からやり直さなくて済むように、壁の中まで一緒に整えておきたいですよね。

 

「まずは家の基本性能(断熱・下地)を見直してから、内装を仕上げる」。

 

この順番を守ることが、後悔しないリノベーションの鉄則です。

断熱や気密が低いままだと、自然素材の調湿性や心地よさを十分に引き出せない

日本の既存住宅の約9割は、現在の基準(断熱等性能等級4)を満たしていないと言われています(国土交通省調査)。

つまり、内装材をどれだけ良いものに変えても、家の温熱環境は良くならないのです。

デザインの目新しさは時間が経てば慣れてしまいますが、「夏の暑さ・冬の寒さ」のストレスは住むほどに蓄積されていきます。

自然素材が持つ本来の調湿性や心地よさを存分に引き出すためにも、リノベーションの際は断熱改修もセットで検討しましょう。

下地が傷んでいる場所は一気に直し、問題ない場所は表面の張り替えだけに絞る

リノベーションといっても、「家全体をやり直すか、何もしないか」という極端な二択ではありません。

下地の状態に合わせて「一番効果を感じやすい場所に絞って手を入れる」こともできますし、「使っていない2階はそのままにして、普段過ごす1階だけに絞る(1階だけリノベ)」など、実際の暮らし方に合わせて選ぶこともできます。

  • 下地・断熱が問題ない場所:表面の仕上げ(床材や壁紙)を変えるだけでOK
  • 下地傷み・断熱不足・結露がある場所:内装の変更に合わせて、下地補修や断熱改修まで一気にやるほうが無駄を省ける
  • 使っていない2階がある場合:普段過ごす1階やLDKだけに絞る(ゾーン断熱)

「どこから手をつければいい?」と迷ったら、まずは現地調査をご依頼ください。

今の家の状態をプロが見れば、「本当に必要な工事はどこまでか」がはっきりと分かります。

床や壁、天井に自然素材を使いたい!どう選ぶ?

ここからは、床・壁・天井ごとに、おすすめの内装材とその選び方(注意点)をご紹介します。

無垢材の床は足触りの良さと、傷のつきやすさや季節による隙間を理解する

住み始めてから気になりやすいのが傷や隙間の問題です。

無垢材は、冬ヒヤッとせず夏サラサラな足触りが魅力ですが、以下のような特性(デメリット)もあります。

  • 樹種による違い:硬い木(オークなど)は傷に強い反面、冬は少し冷たく感じます。一方、柔らかい木(杉やパインなど)は足触りがあたたかい反面、物を落とすと簡単に凹みます。
  • 季節による変化:乾燥する冬は木が縮んで隙間ができ、夏は膨らむ。
  • 傷のメンテナンス:物を落とすと凹むが、自分で削ってオイルを塗れば補修できる。

余談ですが、最近は、傷のつきやすさを承知のうえで、あたたかさを優先して杉や松(パイン)などの針葉樹を選ばれる方も増えています。

「傷がつくのは絶対に嫌!」という方には向きませんが、「それも家族の思い出」とおおらかに楽しめる方なら、何十年も長く付き合える床材です。

壁は調湿・消臭を優先するなら珪藻土、耐火・抗菌を優先するなら漆喰

自然素材の壁と言われてよく出てくるのは「漆喰」と「珪藻土」。

室内のジメジメや乾燥を防ぐ「調湿性」を重視するなら、おすすめは珪藻土です。

珪藻土の表面には目に見えない無数の穴があり、湿度が高いときは水分を吸い、乾燥時は吐き出してくれます。

消臭効果も高いので、リビングや寝室、ペットのいる部屋など「空気をきれいに保ちたい場所」にぴったりです。

一方の漆喰は、耐火性や抗菌性には優れていますが、実は珪藻土ほど高い調湿効果はありません。

  • 調湿・消臭を優先 → 珪藻土
  • 耐火・抗菌を優先 → 漆喰

このように、お部屋の目的に合わせて使い分けるのがポイントです。

また、塗り壁は職人の腕で仕上がりや持ちが変わるため、自然素材の施工実績が豊富な会社を選ぶことも大切になります。

漆喰と珪藻土の性能の比較については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

毎日使う「水回り」は、無理に無垢材にこだわらなくてもOK

「自然素材の家なら、洗面所やトイレなどの水回りも無垢材にした方がいいのかな?」と迷う方もいらっしゃいます。

エムズでも、以前は水回りに自然素材の「籐(とう)タイル」を使うこともありましたが、近年は材料が高騰しているため、採用されることは減っています。

水回りの床については、以下の2つから暮らし方に合わせて選ぶのがいいと思います。

  • 手入れをすれば問題ない無垢フローリング:水はねをすぐに拭き取れるマメな方なら、リビングからそのまま無垢材を続けてもOKです。
  • 水に強い通常のタイル:水回りの掃除やメンテナンスの手間を減らしたい場合は、無理に木を使わず、タイルや水回りに適した床材を選ぶのがおすすめです。
  • 水に強い天板(メラミン化粧板など):長期的に水はねや水染みを気にされる場合は、木目の化粧板を選ぶことも可能です。

費用や手入れが心配なら、LDKの天井や壁の一面だけに板張りを取り入れる

「木の雰囲気は好きだけど、床も壁も全部木にすると費用や手入れが心配」。

そんな方におすすめなのが、LDKの天井の一部や、壁の一面(アクセント壁)だけに「木の板張り」を取り入れる方法です。

天然木の板張りを少しプラスするだけで、本物の木が持つ香りが加わり、たった一面を変えるだけで、落ち着いた空間に生まれ変わります。

自然素材は「家全体にたっぷり使わなければならない」というルールはありません。

ポイントを絞って上手に取り入れるだけでも、毎日の暮らしの満足度は大きく上がります。

自然素材でリノベーションを検討するなら、相談前に整理しておきたいこと

「自然素材を取り入れたいけれど、どう相談すればいいか分からない」。

そんなときは、事前にノートやスマホのメモに以下を書き出しておくと、打ち合わせがスムーズに進みます。

  • どこが、どう不満か(例:1階リビングの床の傷みがひどい)
  • 直したい範囲(例:床だけでいいのか、壁紙も変えたいのか)
  • 今の暮らし方(例:犬がいる、子どもが床で遊ぶ、掃除はラクな方がいい)
  • 使いたい材料への希望と予算(例:本当は無垢材にしたいけれど予算が心配)

予算が心配な場合でも、まずは希望を伝えてみるのがおすすめです。

「家族が集まるLDKだけ無垢材にする」といった、メリハリのあるプランが作れるからです。

間取りの希望だけでなく、「今の暮らしの何が不便か」という素直な思いを伝えていただくことが、良い家づくりの一番の近道です。

まとめ:今の家の状態を確認してから、自然素材リノベーションを相談しよう

リノベーションで自然素材を取り入れるなら、まずは「今の家の不満」を整理するところから始めましょう。

そうすることで、直すべき場所や自分たちの暮らしに合った床や壁がはっきりと分かってきます。

この記事のポイント
  • まずは「今の家の困りごと」を整理する
  • 内装を変える前に「下地と断熱」を見直すことが重要
  • 床の不満には「無垢材」、壁の空気環境には「珪藻土」
  • 「1階だけリノベ」や「天井の板張り」など部分的な活用も可能
  • 相談時は「直したい場所」と「日々の暮らし方」を伝える

どんなに良い自然素材を使っても、家そのものの断熱性や気密性が低ければ快適にはなりません。

エムズアソシエイツでは、建物の状態を確認する現地調査をもとに、自然素材のベストな使い方をご提案します。

まだイメージがぼんやりしている段階でも大歓迎ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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