( Profile ) プロフィール
もともとはご実家でご両親と同居されていましたが、お子様の小学校進級を前に、少しずつ住まいの手狭さを感じるようになったそうです。さらに、お子様から「自分だけの部屋がほしい」という声があがったこともあり、家づくりを本格的に考え始められました。
住まいづくりにおいて、ご夫婦が大切にされたのは、「デザイン性」と「高気密・高断熱」の両立でした。そんな理想を叶えられる工務店として出会ったのが、エムズアソシエイツでした。
ご夫婦の思い描く暮らしや住まいのイメージにしっくりと重なったことが、家づくりを任せる決め手になったそうです。
お引き渡しは12月。冬の寒さが厳しい西濃地域にあって、外気温がマイナス1℃の日でも、無暖房の室内は約17℃を保っていたとのこと。実際に暮らし始めてから、その快適さを日々実感されているそうです。
今回は、そんなAさんご家族の住まいの物語をご紹介します。
( Interview ) インタビュー

やさしくて凛とした平屋のお住まい
今回私たちが訪ねたのは、岐阜県西濃地域。豊かな自然と住宅街が心地よく調和した街の一角に佇む、Aさんのお住まい。
桃の節句を数日後に控えた頃でしたが、遠くに連なる山々にはまだうっすらと雪が残り、頬に当たる風には冬の名残が感じられます。本格的な春の訪れは、もう少し先のようです。
冷たい風を受けながら歩いてきた私たちでしたが、Aさんのお住まいが視界に入った瞬間、思わず足を止めてしまいました。
そこにあったのは、思わず息をのむような美しい外観。
外壁には、シラス台地の火山灰を原料とした自然素材の外壁材「そとん壁」。そこに木製格子が調和し、和モダンの落ち着いた佇まいを生み出しています。やさしい雰囲気をまといながらも、どこか凛とした重厚感を感じさせる平屋のお住まいです。
インタビュアー一行がしばし見とれていると、
「こんにちは!」
玄関の扉がそっと開き、奥様が弾むような明るい声とともに、あたたかな笑顔で迎えてくださいました。

玄関に宿る、計算された美しさ
お住まいに足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのは、タフティングという織物の技術で描かれた模様が印象的なアートボード。天井からのやわらかな照明に照らされ、その佇まいはまるで美術館の展示のような雰囲気を感じさせます。
さらに、リビングへと続く木製格子の扉が空間に奥行きとリズムを生み出し、玄関全体をいっそう洗練された印象へと引き立てていました。

格子扉のすぐ隣には、帰宅してすぐに手を洗うことができる造作洗面も。素材や高さ、細部の納まりまで丁寧に考えられた設えからは、この住まいを形づくるために重ねられた細やかな設計の積み重ねが伝わってきます。
一つひとつの要素が美しく調和した空間に、インタビュアーの小森も思わず心が弾みます。
Aさんご夫妻の洗練されたセンスが光る玄関空間をしばし堪能した私たちでしたが、その余韻を胸に、Aさんのご案内でリビングへと足を進めました。

家族の距離が、ちょうどよくなる。
明るく出迎えてくださった奥様と、リビングで穏やかに着席を促してくださったご主人。お二人のやわらかな雰囲気から、この家で紡がれている温かな暮らしが自然と想像されます。
さっそく、Aさんご夫妻にお住まいづくりのきっかけについてお伺いしました。
「今までは実家で、両親と一緒に暮らしていたんですけど」
そう話し始めたご主人は、窓の向こうにちらりと見える、同じ敷地内に建つご実家の方へと目を向けながら続けられます。
「子どもが小学生に上がるタイミングで、“自分の部屋が欲しい”って言い出して。まだ部屋をつくれるような状況じゃなかったし、だんだん手狭にもなってきて…。やっぱり、お互いに干渉してしまう部分もあって、暮らしづらさを感じることもあったんです。それがきっかけで、家を建てようか、という話になりました」
ご夫婦がそう語る隣のソファでは、お子さまがのびのびと遊んでいます。その穏やかな光景からは、この決断が、ご家族それぞれにとって心地よい距離と居場所を生み出していることが静かに伝わってきました。
ご夫妻が笑顔で語られる理由が目の前の風景の中に確かに感じられ、インタビュアーの大橋は静かに微笑みをこぼしました。

寒い朝が、やさしい朝に変わった日。
『家族みんなの過ごしやすさ』を求めて、ご新居を建てられたAさん。
さっそく、実際の暮らし心地についてお話をお伺いしました。
「まずは、高気密高断熱の性能を実感していますね。」
そう語ってくださったのはご主人。新しい住まいで迎えた冬のことを、穏やかな笑顔で振り返られます。
「今年の冬は、外がマイナス1℃とか0℃まで下がっても、家の中は16℃とか17℃くらいで保たれていたんです。朝も起きやすくて。」
そして、ふと以前の暮らしを思い出すように続けられます。
「前の家は、寝室が0℃近くになることもあって…。寒くて、朝は震えながら起きていたんですけど(笑)。それが今は、起きやすい環境になって、すごく過ごしやすくなりましたね。」
以前のお住まいとのあまりの温度差に、話を聞いていたインタビュアーの大橋と小森からも、思わず驚きの笑顔がこぼれました。

寒さが消えると、笑顔が増えた。
「まだ冬しか越せていないんですけど、冬はすごく快適でしたね。」
そう話すご主人の言葉に、奥様が笑いながら続けられました。
「向こう(ご実家)は寒すぎて…扉が少しでも開いていると“早く閉めて!”って言ったりして(笑)。ほんの少し空いているだけでも、気になってしまっていましたね。」
やや寒がりの大橋と小森もそのような実体験をしたことがあり、共感のあまり心の中で大きくうなずく。
「でも今は、ちょっと開いていたとしても全然気にならなくなりましたね。」
そう話す奥様に対し、インタビュアーの大橋が尋ねます。
「少し開いていても、冷たい空気は入ってこないですか?」
「全然入ってきませんね。」
満足そうにうなずかれる奥様の横で、ご主人も思い出したように言葉を続けられました。
「夜、洗面でファンヒーターをつけて暖めていると、暖房をつけていないリビングもじんわり温まってくる。ちょっとの暖房で家中温まってしまうので、むしろ扉を開けておいた方が温かいくらいで。」
少しの暖房でも住まい全体がゆるやかに温まる、高い気密・断熱性能。
そして、かつて寒さから生まれていた小さなストレスが、いつの間にか消えていたこと。
そのお話を聞きながら、ご家族の暮らしやすさが確かに変わったことを感じ、大橋の口元にも思わず笑みがこぼれました。

住まいに、春を生ける。
寒さからくるイライラがすっと消え、まるで冬から春へと季節が移ろったかのような感覚。
春のようにやわらかな空気が満ちるこの住まいで、Aさんご家族はどのような日々を過ごされているのでしょうか。
ふと大橋の目に留まったのは、お住まいのあちこちに飾られているお花たちでした。
「お花、可愛いですね」と声をかけると、ご主人が少し照れくさそうに笑います。
「新しい趣味なんです。」
まだ住み始めたばかりで、どこか少し殺風景に感じたことから、空間に彩りを添えたいと思ったのだそうです。
「実家の庭に木もいろいろあるので、梅の花とかを切ってきたりして。」
その言葉に、奥様がくすっと笑いながら一言。
「私、何もやらないんですけどね(笑)」
どうやら、ご主人が一人で楽しんでいらっしゃるご趣味のようです。
「季節を感じられるものを取り入れたいなと思って。自分で切ってきて、こうやって生けたりしています。新しく住み始めて、ちょっとチャレンジしてみた感じですね(笑)」
テレビボードの上、キッチンの飾り棚、そして玄関。
住まいのさまざまな場所で、色とりどりのお花たちがやさしく空間を彩っています。
やわらかな暖かさに包まれたAさんのお住まいには、まるで春のような、ゆったりとした時間が流れていました。

自分だけの小さな居場所。
一方で、奥様にも、この住まいで楽しんでいらっしゃるご趣味があるといいます。
「私は、趣味部屋をつくってもらったんです。」
そう語る奥様に案内していただき、インタビュアー一行は“奥様自慢の秘密基地”へ。
扉の向こうに広がっていたのは、有孔ボードに色とりどりの糸や道具が並び、さまざまな裁縫道具が整然と並べられたお部屋でした。
「裁縫とか、ハンドメイド系のことを結構やるので、趣味部屋をつくってもらいました。」
そう話される奥様の表情からは、自分だけの居場所ができた喜びが、ふっとこぼれるように感じられました。
これまで、ご実家でご家族と一緒に暮らしていたAさんご夫妻。
その暮らしを振り返りながら、奥様は静かに言葉を続けられます。
「今までは実家で一緒に暮らしていたので、お互いに気を遣うところもあったんです。でも今は、適度な距離があるので、お互いの暮らしの様子も感じながら、ちゃんとプライベートも保てていて。」
少し言葉を選びながら、奥様は続けられます。
「暮らし方が変わったことで、気兼ねなく過ごしながら、自然にお互いを気遣えるような関係になったというか…。そういう暮らし方ができるようになって、よかったなあと思います。」
その穏やかな言葉からは、ご家族それぞれが自分の時間と居場所を大切にしながら、心地よい距離でつながっている今の暮らしの様子が、やさしく伝わってきました。

ロフトに広がる、兄妹の小さな秘密基地
奥様の秘密基地を見せていただいていたころ、ふと、階段の上のロフトから楽しげな声が聞こえてきます。
お子さまたちが、兄妹で遊んでいるようです。
インタビュアー一行は、その声に導かれるように、ご兄妹専用の“秘密基地”へ向かうべく階段を上りました。
階段をのぼると、そこにはお気に入りのおもちゃやぬいぐるみに囲まれながら、仲よく遊ぶお兄ちゃんと妹さんの姿。
妹さんがぬいぐるみを手にすると、お兄ちゃんもすかさず別のぬいぐるみを手に取り、小さくて可愛らしいバトルが始まります。
その様子は、思わず頬がゆるんでしまうほど微笑ましい光景です。
「ぬいぐるみで遊ぶのが好きなんだよね~」
後から階段を上ってみえた奥様が、お子さまたちの様子をやさしく見つめながら、そう教えてくださいます。
「どれが一番好きなの?」
インタビュアーの大橋がたずねると、妹さんは、たくさん並んだぬいぐるみの中から、「これ可愛いよ」と、ひとつを大切そうに手に取って見せてくれました。
「僕はこれ!ブラキオサウルスが好き」
恐竜が好きだというお兄ちゃんも、誇らしげにお気に入りを紹介してくれます。
インタビュアー一行が見守るなかでも、二人の遊びは止まらない。
笑い声と、小さなぬいぐるみたちのやり取りが、ロフトの空間いっぱいに広がっていきます。
その光景を見ていると、このロフトが、お子さまたちにとってただの遊び場ではなく、毎日の暮らしを豊かにしてくれる特別な場所なのだということが、じんわりと伝わってきました。

家の中に広がる、それぞれの世界
ご家族それぞれが、思い思いに心地よく過ごせる居場所のあるお住まい。ほかにもお気に入りの場所について、お話を伺ってみました。
「僕はリビングですかね。照明も、テレビの上の間接照明にこだわりました。ロフトで子どもが遊んでいても、声が下まで聞こえてくるんです。程よく様子が分かるのがいいですね」とご主人。
「私は、自分の趣味部屋も好きなんですけど、脱衣室の雰囲気も好きですね」と奥様もお気に入りを教えてくださいました。
「在宅の仕事が終わって、洗濯物を取り込みに脱衣室へ行くと、西日がバーッと入ってきて。なんかいいなあって(笑)。“ああ、今日も一日終わったなあ”っていう、ちょっとエモい感じになるんです。」
床に敷かれた藤タイルのさらりとした肌触りも心地よく、脱衣室全体が奥様のお気に入りの場所になっているのだそうです。
そこで、お子さまにもお気に入りの場所を聞いてみようと声をかけると、その頃ロフトでは、ご兄妹の楽しそうな遊びが繰り広げられていました。
「〇〇くん、こっち来て!お気に入りポイント教えて!」
奥様がロフトにいるお兄ちゃんへ声をかけます。
すると先に返事をしてくれたのは妹さん。
「わたしは、テレビがおっきいところ!」
ロフトから元気な声が届き、思わず一同に笑みがこぼれます。

そのあと、ロフトから降りてきてくれたお兄ちゃんは、あるものを見せてくれました。
「えっとね、ロフトがね、あったかくて気持ちいい。あとね、ぼく、マイクラで自分の家つくったの。」
ゲームの中で、このお住まいを再現してみたのだそう。
インタビュアー一行は想像がつかず、お兄ちゃんが差し出してくれたタブレットをのぞき込みました。
「え、すごい!!」
思わず大橋が感嘆の声を上げます。
画面には、Aさん邸が細部まで再現された世界が広がっていました。
「窓があって、格子窓もあるね。キッチンもある。スタディコーナーもあるね」と奥様。
するとお兄ちゃんが、少し照れながら解説をしてくれます。
「スタディコーナーはそんなにだけど、パソコンはこだわった。廊下はちょっと長くなっちゃったけどね。〇〇ちゃん(妹さん)のお部屋も作って、ぬいぐるみも置いといた。桜も見えるから、桜も作った。」
まるで小さな設計士のように語ってくれる姿に、一同はすっかり引き込まれてしまいました。
この住まいの中で遊び、感じたことが、子どもの想像力の中でもう一つの「家」として形になっていく。
その光景を前にして、大橋はあらためて実感します。
住まいが心地よいと、暮らしは豊かに広がっていく。
その豊かさは、大人だけでなく、子どもたちの世界にも確かに届いているのだと。

花も、手仕事も、遊びも生まれる家。
外に出ると、山の上にはまだ冬の雪が残っていました。
けれど、Aさんのお住まいの中には、確かに“春の気配”が満ちていました。
花を生けること。
布を縫うこと。
ぬいぐるみの遊びをかんがえること。
遊びの世界で、もう一つの家をつくること。
誰かが何かをつくるたびに、この家の中には小さな彩りが芽吹き、増えていく。
家族それぞれの手の中から生まれるものが、この住まいを少しずつ、あたたかな暮らしへと育てているのかもしれません。
西濃のやわらかな風景の中で、Aさんご家族の「らしい暮らし」は、これからもゆっくりと形になっていく―
インタビュアー一行は、Aさんご家族のこれからの豊かな暮らしを想像しながら、4人それぞれの創造が宿る住まいを暖かな気持ちであとにするのでした。

