断熱材について 断熱材のメリットデメリットあれこれ
こんにちは 松原です。
秋ですね~
気持ちいいですね~
でも、高気密高断熱要らない季節ですね~
そんな季節は、おもいっきり大きな窓を開け放って、ソトとつながり楽しく
そして快適に暮らしたいですね!
さてさて、今回は断熱材のお話を。
近年は、住宅メーカーさんによってさまざまな断熱材が使われています。
いろいろ種類が増えて、何がよいのか悪いのかさっぱりわからなくなる!
なんて声もよく耳にします。
各社製造メーカーさんは、
売るために「うちのが一番!」
と当然ながら謡います。
本当にどれが最適なのか?ベストなのか?
各会社さんの考え方は方針によって各種各様。
逆に言えば、一般のお施主様にとっては、
「断熱材って、本当にどれがよいわけ????」
ってなりますよね?
そこで、今回は、エムズがどんな断熱材を採用するかを判断した
経緯を踏まえて、
断熱材の「メリットとデメリット」
をお伝えしようと思います。
まずは種類から
① 吹付ウレタンフォーム(現場吹付施工)
② セルロースファイバー(古新聞紙等のリサイクル製品)
③ 石油・発泡プラスチックパネル系 ポリエチレンフォーム系(外断熱によく使用される)
④ グラスウール・袋入り汎用品(ガラス繊維)
⑤ 高性能グラスウール(ガラス繊維)
近年、主に使われていると思われるものは上記5つだと考えられます。
ではそれぞれのメリットデメリットを紹介していきます。
① 吹付ウレタンフォーム
【メリット】
1.発泡するウレタンが膨らんですき間を埋めてくれるので、同時に気密が取れる。
2.丸投げ施工(お金を払えば特別管理監督しなくても、断熱工事全てを外注職人さんがやってくれる)
できるので、建築会社にとってはとても楽。
【デメリット】
1.現場にて、化学反応で膨らませるため、厚みの均一化が難しい。
⇒そのため、常に多めに吹き付けて出っ張りをカットしていくため多量の廃棄物が出る。
2.火災の際に有毒ガスが出る。
3.水を通さないので、雨漏れの発見がとても難しくなる。
(室内に雨のシミが出てこないため)
湿気(水蒸気)が透過しにくい。
4.内部のガスが抜けるため、性能の低下の可能性がある。
★5.製品の性質上、将来の劣化リスクが考えられる。
将来ボロボロにならないか不安が残る。
★6.断熱施工後の配線やコンセント、スウィッチのやり替えができない。(これは痛いです)
配線をして、その上から断熱材を吹き付けるため、この後一切の
コンセントやスウィッチの位置変更や配線変更はできません。(´;ω;`)ウゥゥ
7.地震時の変形・破損リスクがある。
★8.余談
発泡ウレタン協会に所属していた発泡ウレタンを知り尽くしているある社長さんの建築会社は、
発泡ウレタンを使わず、高性能グラスウールを採用しているという事実。
② セルロースファイバー
【メリット】
1.古新聞紙をリサイクルできるので、エコの観点からは◎。
2.それ自体に調湿作用があるので、防湿層(防湿シート施工)が不要。
⇒ただし、防湿シート施工をしない場合は高い気密性能は確保できない。(中気密程度)
3.防音効果がある。
【デメリット】
1.新聞紙の細かなものを吹きこんで施工するため、将来のリフォームがとてもやりづらくなる。
2.防湿シートを施工しない場合が多いため、気密性能が低くなりがち。
きちんと気密シートを施工すれば、気密性能は向上できますが、多くの場合、
シート施工の手間を省くためにこちらを採用するケースが多い。
★3.断熱施工後の配線やコンセント、スウィッチのやり替えができない。(これは痛いです)
こちらも同じく、配線をしてから断熱材を吹き込むので、この後一切の
コンセントやスウィッチの位置変更や配線変更はできません。(´;ω;`)ウゥゥ
ここはとっても重要だと思いますが、
施工中に、コンセントやスウィッチの位置を変えたい、または増やしたいという
ケースは大いにあり得ます。
実際、エムズではそういった対応をしておりますが、断熱材によっては
そういった対応できないってことになります。
対応できても、断熱材をめくりあげ、再度配線を行うためコストがかかりますよね。
(建築会社側に立てば、変更ができないことが良いことかもしれません。苦笑)
4.地震時のシートの破損リスクがある。
⇒シートの内部に細かな紙状のものを吹き込んで充填させるため、このシートが破れれば
内部の断熱材が外に飛び出してしまう。
③ プラスチックパネル系
【メリット】
1.同じ厚みであれば、断熱性能に最も優れている。
⇒ただし、厚みを変えれば断熱性能は変えられます。
2.カットしやすく施工性がよい。
3.水や湿気に強い。
【デメリット】
1.何といっても、外壁の外断熱に使用する場合、現在問題になっている火災時のリスク。
イギリスで起こったグレンフェル・タワー火災事故が証明したように、
火災が発生した場合燃焼スピードがすさまじく早く、さらに有毒ガスが出る。
2.水を通さないので、雨漏れの発見がとても難しくなる。
(室内に雨のシミが出てこないため)
⇒湿気(水蒸気)がほとんど透過しないため、湿度の高い日本では不向き。
室内の防湿気密シートが破損した場合の壁内の結露リスクがとても大きい。
(実際に事故の例あり)
3.コストが高くつく。
4.製造・廃棄の両面ともに環境にやさしくない。
5.地震時の破損リスクがある。
本当のところ、耐久性がどれだけあるのかがわからないのが怖いところです。
化学製品のプラスチック系ですから、将来ボロボロにならないかな?
④ グラスウール・袋入り汎用品(ガラス繊維)
【メリット】
1.ガラスの繊維なので、火災に強い。
(国交省の不燃材料に認定されている)
2.素材がガラス(無機物)なので、耐久性が圧倒的に高い。
プラスチック系や化学製品(ウレタン含む)のように、劣化するリスクが低い。
3.コストを抑えられる。
4.透湿性能が高い。(湿気を通す)
5.吸音性が高い。
6.防湿の袋に入っているので、施工が楽。(ただし、反面リスクが多い)
*リサイクルガラスが原料のため、環境配慮あり。
【デメリット】
1.施工精度が低い・施工知識がないと将来のリスクが高くなる。
⇒管理監督・品質管理を徹底しないといけないので手間がかかる。
2.水に弱い。
3.袋をカットした際、きちんと防湿できるようにテープ処理をしなければならない。
★袋に入ったグラスウールは、ここが大きな問題で、ほとんど袋を破ったところの
テープ処理がされていない。
4.繊維の密度が低いため、断熱性能が低い。
⑤ 高性能グラスウール (エムズ採用品)
【メリット】
1.ガラスの繊維なので、火災に強い。
(国交省の不燃材料に認定されている)
2.素材がガラス(無機物)なので、耐久性が圧倒的に高い。
プラスチック系や化学製品(ウレタン含む)のように、劣化するリスクが低い。
3.コストを抑えられる。
4.透湿性能が高い。(湿気を通す)
5.吸音性が高い。
6.繊維の密度が高く、断熱性能が高い。
7.復元性(柔軟性)が高い。(地震には最も有利)
*リサイクルガラスが原料のため、環境配慮あり。
【デメリット】
1.施工精度が低い・施工知識がないと将来のリスクが高くなる。
⇒管理監督・品質管理を徹底しないといけないので手間がかかる。
2.水に弱い。
3.袋に入っていないので、別で防湿気密シートを施工しなければなならず、
工期と共に手間・コストが増える。
補足
⑥ロックウール
グラスウールと似た繊維質系の断熱材。
グラスウールとの違いは
1. 鉱物の繊維でできている。(グラスウールはガラス)
2. 水に強い。
3. グラスウールに比べコストが高い。
4. グラスウールに比べ復元性(柔軟性)が低い。
5. 外断熱を検討の際には、石油パネル系 ポリエチレンフォーム系よりも有利。
(不燃性に加え、透湿性能が高いため)
ロックウールもよい断熱材のひとつですね。
正直、それぞれメリットデメリットがあります。
ただし、大事なポイントだけは押さえて正しい選択そしておかなければ
必ず後で後悔することになる可能性が残ります。
(上記のマトリクスでの
「施工性」と「管理度合」の項目は、完全に我々建築会社にとって
有利か不利かを判断するための項目ですので、皆さんはここは
無視していただいてもよいかなと思います。)
エムズでは、様々な側面からこうしたメリットデメリットを洗い出していき、
本当にどれがベストなのかを絞り込んでいきました。
選択するにあたり、大事なポイントとしては
① 耐久性(過去の実績や、構成される物質特性を踏まえて)
⇒これは無機質物がベスト。ウレタンやパネル系は、本当に何十年もつのかが不明確です。
② 透湿性
⇒日本という湿度の高い国では、ヨーロッパや欧米諸国と同じ考え方ではダメ。
きちんと湿気(水蒸気)を透過させる素材でないと、壁内への湿気の滞留リスクが高まります。
③ 可変性 リフォームのしやすさ
⇒最低35年 ~ 50年という長期スパンで見ると、可変性は大切ですね。
家族構成や暮らし方が変われば、間取りや配線・窓の位置の可変性も大切です。
④ 白蟻リスク
⇒こちらも白蟻の多い地域では考えなければいけない問題です。
⑤ 地震時の形状復元性・柔軟性・追従性
⇒これは皆さん見逃しがちだと思いますが、震度5~7程度の地震が起こった際
見えない壁の内部の断熱材は大丈夫でしょうか?
住めたとしても、断熱材の破損や欠損により、断熱性能が低下することは考えられませんか?
硬い断熱材・固まってしまう断熱材では、建物の変形により破損するリスクは大きくなります。
以下をご覧ください。
高性能グラスウールでの高い復元性の実証
① 平常時
②地震変形時
③復元時
⇒一旦は変形してしまいますが、簡単に元通りの姿に戻ります。
ウレタン系やボード系のものだとこうはいかないですよね。
おそらく破損するか、変形したままの姿になります。
特に木造では地震で揺れた際に、構造がある程度変形します。
RCの建物や基礎部分等、変形しにくいものにはパネル系等を使用しても
よいかと思いますが、木造軸組みの場合には「地震時には揺れて変形する」
ものだという認識が重要ではないでしょうか。
⑥ 工務店側、建築会社側に有利なものを選択しない、させないこと。
施工が簡単、管理が楽、リスクやクレームが少ない 等など、
正直に言って、近年は建築会社の商売上有利なものがあふれています。
それって、本当にお施主様のためになるものなの?
ここが大事だと思います。
さらに、施工管理が大変だという建築会社側にとってのデメリットは、
裏を返せば、きちんと品質管理をし適切に施工さえすれば問題がない話。
そこは無視して、本当に長期的に見てよいと思えるものを提供すべきですね。
クロス(壁紙)だってそうですよね。
人の健康性よりも、施工効率やコストを優先した結果、
つまり建築会社側にメリットが多い家づくりを大量にしてしまった結果
シックハウス症候群という悲しい病気が発症したわけです。
安さや効率ばかりを追うと、どこかで弊害が必ず出てきます。
「使い捨て」の時代は終わり「サスティナブル」な考え方でモノづくりをしたいですね。
判断基準は本当にたくさんありますが、上記のことを踏まえると、
1. 無機物(高耐久材)で構成され、
2. 湿気をきちんと透過させ(繊維系)、
3. 柔軟性(復元性)のある材料
これが長期的(35年スパン)には最善の選択ではないかと思います。
いろいろ頭が混乱して、判断が難しくなった時には、
本質だけをシンプルに考えるようにしてます。
ここからは個人的な見解になりますが、私がとても危惧していることは、
現在目新しい断熱材や工法が世に出回っていますが、本当に大丈夫!?
ってなものがたくさんあります。
自分なりに調べたり推測したりするわけですが、30年後に大きな問題に
なっている断熱材があるのではないかと。
アスベストが社会問題になったように・・・・・怖怖怖
あくまで推測です。
メーカーさんは、いろいろな新しいものを開発して世に送り出してきますが、
50年後の結果は誰にもわかりません。
長期的な視野に立つと、実績や実証事例がない新しいものや素材には
常に将来リスクが伴います。
それが、失敗しても取り返しがつくような簡単なものやことならよいですが、
住まいという耐久消費財でものすごく高価な商品の場合はいかがなものでしょうか。
皆さんも最終的には自己判断になりますが、建築会社任せにせずに、
自分なりに調べて、納得できるものを手に入れて欲しいと願います。
とにかく、一生で一度のこと。
ローンが終わったころに後悔がないようにだけはしておきたいですね。
最後の余談
グラスウールにもこんな違いが。
高性能グラスウールと普通のグラスウールの大きな違い。
断熱性能はもちろんですが・・・
見てわかる通り、まず繊維の密度が全くちがいますね。
白い袋入りの「普通のグラスウール」はフニャフニャです。
片や、ピンクの高性能グラスウールはシャキッとしています。
フニャフニャ過ぎて、自立できません。笑
だから、袋についている耳の部分をタッカー(ホチキスの大きい針)で
ずり落ちないように打ち留めて施工するわけです。
地震でタッカーの針が外れたり、袋の耳がやぶれたらずり落ちます!
これが「高性能グラスウール」との大きな違いでした。
このブログのつづきはこちらです。
―–株式会社エムズアソシエイツは、注文住宅 高気密高断熱の専門工務店 です。—–
断熱気密リフォーム・リノベーションもお任せください。
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