2025.12.13
注文住宅は坪単価で比較すると失敗する|500万変わった実例と3つの理由
投稿日:2025.12.15 最終更新日:2025.12.15
「太陽光発電は元が取れない」という話を耳にして、設置を迷っていませんか?
売電価格が10年前の42円から15円へ下落し、初期費用は100万円以上。
さらにパワコンの交換費用もかかると聞けば、「損しないか?本当に得になるのか?」と不安になるのは当然です。
多くの場合、この不安は「売電価格が下がった」という話だけが強く印象に残っていることから生まれています。
しかし実際には、電気を買う価格は上がり続けており、初期費用も10年前の半額以下に。
さらに、自家消費なら売電の2倍以上お得になるため、条件は10年前よりむしろ有利になっています。
この記事では、エムズアソシエイツのOB施主様が実際に公開している売電・電気代データと、業界専門家による詳細な試算を基に、「なぜ今でも約10年で元が取れるのか」を数字で検証します。
感覚ではなく数字で判断したい方に、この記事が判断材料としてお役に立てば幸いです。

【プロフィール】
京都府京都市出身。株式会社エムズアソシエイツ取締役・設計責任者。
大学で建築を学び、卒業後はビルや施設などの現場管理業務に従事。その後、木造住宅の設計・現場管理を幅広く経験し、エムズアソシエイツに入社。
20年以上にわたり岐阜を拠点に住まいづくりに携わり、現在は注文住宅の設計を中心に、お客様一人ひとりの暮らしに寄り添った家づくりを行っている。
「人や世の中のためになる仕事」を大切にし、施主と近い距離で一緒に住まいをつくり上げることにやりがいを感じている。
自然を身近に感じられる住環境にも関心が深く、植栽や緑を取り入れた暮らしの提案を得意としている。
【保有資格・スキル】 BIS資格・福祉住環境コーディネーター2級・高気密・高断熱設計・パッシブデザイン設計
目次
まず最初に、結論をお伝えします。
「太陽光発電は元が取れない」という不安は、10年前の情報や部分的な知識に基づいていることが多く、
実際には今でも十分に元が取れます。

2025年現在、一般的な住宅用太陽光発電システム(5kW程度)の初期費用は、100〜150万円程度です。
この金額を聞くと「高い」と感じる方も多いでしょう。
しかし、毎月の電気代削減と売電収入を合わせると、年間で10〜15万円程度の経済効果が期待できます。
つまり、単純計算で約10年前後で初期費用を回収できるということです。
実際、エムズアソシエイツのOB施主様の中には、光熱費が月3万円から実質5,777円になった方や、年間で約4万円の黒字になっている方がいらっしゃいます。
詳しいデータはのちほど紹介しますが、どちらも一部の例外的なケースではなく、エムズアソシエイツのOB施主様に実際によく見られる水準です。

「パワコンの交換費用がかかるから、結局損するのでは?」という不安もよく耳にします。
たしかに、パワコン(パワーコンディショナー)は15年程度で交換が必要になり、その費用は15〜30万円程度かかります。
この出費を考えると、「本当に得なのか?」と心配になる気持ちは理解できます。
しかし、業界専門誌で発表された試算によると、控えめな前提条件で計算しても、25年間で233万円以上のプラスになるという結果が出ています。
具体的な計算条件や根拠については後ほど詳しく解説しますが、この試算にはパワコン交換費用も含まれています。
つまり、メンテナンス費用を差し引いても、長期的には大きなプラスになるということです。
初期費用の回収に10年、そこからさらに15年間、太陽光発電は家計に貢献し続けます。
「太陽光は元が取れないのでは?」という心配に対しては、ここまでの数字だけでも「きちんと元は取れる」と言えます。
では、なぜ「太陽光発電は元が取れない」という話が広まっているのでしょうか。
その背景には、太陽光発電のデメリットとして挙げられる4つの要素があります。
ただ、一つひとつの中身をきちんと見ていくと、「それだけで太陽光発電はやめたほうがいい」と言い切るほど強い理由ではないことが分かります。

太陽光発電を導入する際、最初に悩むのが初期費用の高さです。
一般的な5kW程度のシステムで、100〜150万円程度かかります。
もちろん、屋根の形状やパネルの種類によって金額は変わりますが、即決できる金額ではありません。
住宅購入という大きな支出の中で、さらに100万円以上の追加投資は、心理的なハードルが高いのは当然です。
ただ、初期費用が高いからといって、「元が取れない」ことにはなりません。
むしろ問題は、「いつ回収できるのか」「本当に回収できるのか」が自分でイメージしづらいことです。
だからこそ、「いくらかかって、どれくらい戻ってくるのか」を数字で一度整理してみることが大事になります。

「10年前は売電価格が42円だったのに、今は15円になった」と聞けば、「やっぱりもう遅いのかな……」と感じてしまう方も多いと思います。
実際、FIT(固定価格買取制度)の売電価格は年々下落しています。
2012年度には42円/kWhだった価格が、2024年度には16円/kWh(2025年度は15円/kWh見込み)まで下がりました。
約3分の1まで下がった売電価格を見れば、「もう太陽光で稼ぐ時代は終わった」と考えるのも無理はありません。
でも、ここで意識しておきたいのが、電気を「買う価格」も変化しているということです。
売電価格だけを見て「損か得か」を決めてしまうと、「電気をいくらで買っているか」というもう一つの大事な要素が抜け落ちてしまいます。
この点については、後半の「なぜ今でも『元が取れる』のか?」で、もう少し丁寧に説明していきます。

パワコン(パワーコンディショナー)は、太陽光パネルで発電した直流電力を、家庭で使える交流電力に変換する装置です。
この装置の寿命は15年程度とされており、交換費用は15〜30万円程度かかります。
「10年後にまた30万円近く出費がある」と聞くと、負担が大きいように感じられるかもしれません。
太陽光パネル本体は25年以上持つとされる一方で、パワコンはそこまで持たないため、「そのたびに利益が削られて、結局元が取れないのでは」と考えられることも多く、これが「元が取れない」と言われる理由の一つになっています。
ただ、この費用を織り込んだ上で計算しても、長期的にはプラスになります。
先ほど紹介した試算も、パワコン交換費用を含めた上で233万円以上のプラスという結果です。

太陽光パネルは経年劣化します。
一般的に、発電効率は年率0.5〜1%程度ずつ低下していくとされています。
つまり、設置から10年後には発電量が約5〜10%減り、20年後には10〜20%減るということです。
こうした「毎年少しずつ発電量が落ちていく」というイメージも、「太陽光は元が取れない」と言われる理由の一つです。
しかし実際には、この劣化は予測できるものであり、先ほどの試算にも織り込まれています。
また、この劣化も見込んだうえでの設計のポイントがあるので、のちほどご紹介します。
「売電価格は下がった」「初期費用は高い」「メンテナンス費用もかかる」——それでも、なぜ太陽光発電は今でも元が取れるのか。
太陽光発電のメリットは、売電価格だけでなく「買電価格」や「初期費用」の変化を含めた、全体像を見ることで分かります。

売電価格は42円から15円まで下がりました。
しかし同時に、電気を買う価格(買電価格)は逆に上がり続けています。
2012年頃の買電価格は20円台前半でしたが、2024年現在では30円を超える水準です。
地域や契約プランによっては、40円近くまで上がっているケースもあります。
つまり、「売電収入は減ったが、電気代の節約効果は増えた」ということです。
太陽光発電の経済効果は「売電収入だけ」ではないのです。
自分の家で発電した電気を自分で使えば、電力会社から買う必要がなくなります。
これが「自家消費」と呼ばれるもので、買電価格が高いほど、その節約効果は大きくなります。
実際、先ほどの試算でも上昇は見込んでいますが、それよりさらに有利な状況で上昇しています。

先ほど触れた「自家消費」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
現在の売電価格は15円/kWh程度です。
一方、電力会社から電気を買う価格(買電価格)は30円/kWh以上です。
つまり、発電した電気を売るよりも、自分で使った方が2倍以上お得だということです。
この差は、買電価格が上がれば上がるほど広がります。
電気代が高い今は、売るより自分で使うほど家計への効果が大きくなるというのがポイントです。

売電価格が下がった一方で、太陽光発電システムの初期費用も大きく下がりました。
10年前、5kWのシステムを導入するには200〜300万円程度かかっていました。
しかし現在では、100〜150万円程度で導入できます。
つまり、費用はほぼ半額になっているのです。
初期費用が下がった理由は、技術の進歩と普及による量産効果によるものです。
パネル自体の性能も向上しており、同じ面積でより多くの発電ができるようになっています。
売電価格が下がったのは事実ですが、初期費用も同じかそれ以上のペースで下がっています。
そのため、「回収期間」という観点で見れば、10年前と比べてそれほど不利になっていないのです。
むしろ、初期費用が下がったことで、ローンの負担が軽くなり、導入しやすくなったとも言えます。
ここまで、一般的な理由を説明してきました。
では、より専門的な視点ではどうなのか。
先ほどお伝えした、業界専門家による試算を詳しく見てみましょう。
業界専門誌『新建ハウジング』に掲載された、省エネ建築の第一人者・松尾和也氏による試算データがあります。
この試算は、楽観的な数字ではなく、かなり控えめな前提条件で行われています。
これらの条件は、「かなりうまくいったケース」ではなく、むしろ少し余裕を見た数字になっています。
そして、25年間の試算結果は以下の通りです

この試算には、パワコン交換費用もすでに含まれています。
つまり、メンテナンス費用を織り込んだ上で、この結果が出ているのです。
この試算のポイントは、「控えめな前提」で計算されているという点です。
たとえば、電気代上昇率を年率3%としていますが、実際には2022年以降、それ以上のペースで上がっています。
また、自家消費率50%という設定も、工夫次第でさらに高めることができます。
つまり、この試算は「最低限これくらいは期待できる」という数字であり、実際にはこれよりも有利になるケースが多いです。
エムズアソシエイツでは、お客様一人ひとりの生活スタイルや家の性能に合わせて、より正確なシミュレーションをご提案しています。
「なんとなく得そう」ではなく、「数字で見てもお得」という根拠を持っておすすめさせていただいています。

専門家の試算も説得力がありますが、やはり気になるのは「実際に設置した人はどうなのか」という点でしょう。
エムズアソシエイツで家を建てたOB施主様の、実際の電気代と売電収入のデータも紹介します。
太陽光発電を設置する前は、電気・給湯・空調などで月あたり約30,000円の光熱費がかかっていました。
設置後は、ある月の電気代が9,593円、売電収入が3,816円となり、実質負担は5,777円に。
旧居の約30,000円と比べると、1ヶ月あたりの差額は約24,000円、年間では約30万円近い負担減になっています。
4.05kWの太陽光パネルと4.2kWhの蓄電池を設置したご家庭の事例です。
このご家庭では、1年間の電気代が約69,000円(7万円未満)に抑えられ、同じ年の売電収入は109,018円でした。
トータルでは年間約40,000円のプラスとなっており、電気代のほとんどを太陽光と蓄電池でまかなえていることが分かります。
設置前は「売電価格が下がっている今から付けても遅いのでは」と迷っていたお施主様の声です。
導入後は「後悔は何もなく、むしろもっと早く設置すればよかった」と話され、今では太陽が出ている時間帯に布団乾燥機や食洗機を気兼ねなく使えるようになりました。
ここまで、太陽光発電が元を取れる理由と、実際のデータを紹介してきました。
では、確実に元を取るために、何を意識すべきでしょうか。
4つの実践的なポイントを紹介します。

太陽光発電の経済効果を最大化するもっとも確実な方法は、自家消費率を高めることです。
先ほど説明した通り、売電価格は15円/kWh程度ですが、買電価格は30円/kWh以上です。
つまり、発電した電気を売るよりも自分で使った方が、2倍以上お得になります。
では、どうすれば自家消費率を高められるのか。
答えはシンプルで、太陽が出ている日中に電気を使うことです。
具体的な工夫としては
エムズアソシエイツのOB施主様の中には、この工夫によって自家消費率を60%以上に高めている方もいらっしゃいます。

太陽光パネルの容量は、パワコン(パワーコンディショナー)の容量よりも多めに設置する「過積載」という方法があります。
たとえば、パワコンが5kWの場合、パネルは6kW以上載せるといった具合です。
なぜこれが良いのか。理由は2つあります。
パネルの定格出力は、理想的な条件下での数値です。
実際には、冬季や朝夕の弱い日差しや曇りの日、気温が高い日などは、定格通りの出力が出ません。
パネルを多めに載せておけば、こうした条件下でもパワコンをしっかり稼働させることができます。
パネルは年率0.5〜1%ずつ劣化していきます。たとえば10年で5〜10%、20年で10〜20%ほど出力が下がるイメージです。
最初からパネルを多めに載せておけば、この分の目減りを見込んでも、10年後・20年後にも必要な発電量をキープしやすくなります。
ただし、パネルを増やせば初期費用も上がるため、費用対効果のバランスを見ながら判断する必要があります。
また、メーカーによって許容される過積載率には上限がある点も注意です。

初期費用を少しでも抑えるために、補助金や減税制度の活用も検討しましょう。
2025年現在、太陽光発電に関する補助金は、国や自治体でさまざまなものが用意されています。
ただし、制度は年度ごとに変わるため、最新の情報を確認することが大切です。
また、住宅ローン減税との組み合わせも有効です。
省エネ性能の高い住宅として認定を受けることで、減税枠が拡大するケースもあります。
補助金の申請には期限や条件があり、申請のタイミングを逃すともらえなくなることもあります。
新築やリフォームを検討する段階で、早めに情報収集を始めることをおすすめします。
| 区分 | 主な制度 | 補助の考え方(住宅) | 補助金額の目安 | 2026年の見込み |
|---|---|---|---|---|
| 国 |
太陽光単体ではなくZEH化(断熱+省エネ+太陽光)で一括補助 |
– ZEH:55万円/戸 – ZEH+:90万円/戸 – 蓄電池:上限 20万円/台 |
概算要求ベースで継続予定。 ZEH:45〜55万円、ZEH+:80〜90万円案 |
|
| 岐阜県 | (県としては住宅用太陽光の補助なし・事業者向けのみ) | 住宅向けは各市町村が補助を実施(例:岐阜市) | 例:岐阜市 – 太陽光:7万円/kW(上限5kW=最大35万円) – 蓄電池:価格の1/3(上限5kWh=最大25.8万円) ※FIT制度を利用しない事が補助の条件 |
各市町村が年度ごとに予算化。 継続の可能性高いが市ごとに変動 |
| 愛知県 | 住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金 (市町村との協調補助) |
市町村補助に県が上乗せするスタイル。個人は市へ申請。 (例:一宮市) |
例:一宮市 |
2026年も協調補助の枠組みは継続見込み (県制度は毎年更新) |
「どの補助金が使えるのか分からない」「自分のケースで使える制度を知りたい」という方は、補助金のことも含めてお気軽にご相談ください。

最後に、太陽光発電と切り離せない大事なポイントが「家そのものの性能」です。
断熱や気密がしっかりした家は、もともとの冷暖房エネルギーが少なくて済むため、発電した電気を売電や他の用途に回せる余裕が生まれやすくなります。
一方で、断熱性能が十分でない家では、せっかくの発電分がほとんど冷暖房に消えてしまい、太陽光のメリットを感じにくくなってしまいます。
だからこそ、「まず家の断熱・気密性能を高め、そのうえで太陽光の容量や過積載、蓄電池の有無を検討する」という順番が、長い目で見て無理のない選び方になります。
エムズアソシエイツは、高気密高断熱を前提とした家づくりを行い、そのうえでお客様の暮らし方に合わせて、太陽光発電の載せ方や容量を一緒に考えていきます。
「家づくりで光熱費を抑えたい!」 「補助金や太陽光発電、ZEH制度をうまく活用したい」 新築やリフォームを考える多くの方が、こんな疑問や期待を抱いているのではないでしょうか。 近年、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)という言葉がすっかり定着し、「電気代を実質ゼロに」「補助金でお得に建てら
「太陽光発電は元が取れない」という不安は、多くの場合、売電価格の下落だけを切り取った情報から生まれています。
電気代の値上がりや初期費用の下落、自家消費のメリットまで含めて数字を整理すると、いまでも十分に元を取りやすい設備だと分かります。
太陽光発電の効果を最大限に生かすには、発電量だけでなく家全体の性能にあります。
エムズアソシエイツでは、高気密高断熱という家の基本性能をしっかり確保した上で、お客様一人ひとりの暮らし方に合わせた太陽光システムをご提案しています。
実際のOB施主様のデータや、あなたの生活スタイルに合わせたシミュレーションをもとに、数字で納得できる判断材料をご用意します。
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