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UA値はあくまで目安?地域ごとの基準値と断熱性能を“北海道並”にする6つの秘訣

UA値はあくまで目安?地域ごとの基準値と断熱性能を“北海道並”にする6つの秘訣 | 高気密・高断熱住宅

最近、『高気密高断熱』を謳う住宅会社が増えましたね。

でも実は、エムズアソシエイツが12年前に高気密高断熱の家づくりを始めた頃は、業界内でさえ、ほとんど知られていませんでした。

そんな状況でしたから、家づくりを検討されている方で、「UA値って何?」「自分の地域ではどのくらいの基準が必要なの?」と疑問に思う方も、まだまだたくさんいると思います。

しかし、高気密高断熱と一口に言っても性能はピンキリ。住宅会社によって、そのレベルは大きく異なります。

そこで重要になるのが、住宅の断熱性能を数値で表す『UA値』です。

UA値は、例えるなら車の燃費のようなもの。家の断熱性能が一目で分かります。

この記事では、UA値の基本的な定義から地域ごとの基準値、さらにUA値を改善する具体的な方法までをわかりやすく解説します。

 

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この記事を書いた人
UA値はあくまで目安?地域ごとの基準値と断熱性能を“北海道並”にする6つの秘訣 | 高気密・高断熱住宅
松原 保嗣

プロフィール:
岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。
保有資格:
日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員

UA値とは?住宅の断熱性能を示す数値!

UA値(外皮平均熱貫流率)て何?その役割は?

UA値の算出方法

UA値(外皮平均熱貫流率)は、住宅の断熱性能を評価する上で、とても大切な指標です。

この数値は、住宅の外皮、つまり外壁、屋根、窓、床など、建物全体を包む部分を通じて、どれだけの熱が出入りするかを示しています。

単位は「W/㎡・K」で表され、数値が小さければ小さいほど熱の出入りが少ない=断熱性能が高いことを意味します。

例えば、UA値が低い住宅では、冬に暖房で暖めた空気が外へ逃げにくく、夏には外の熱が室内に入りにくい、そんな快適な環境が作られるというわけです。

魔法瓶のような家といってもよいでしょうか。

C値・Q値との違いは?

UA値は、他の指標であるC値(相当隙間面積)やQ値(熱流率)とも関連性がありますが、それぞれが異なる役割を持っています。

C値は隙間総統面積といって、建物の気密性を評価する指標であり、隙間から漏れる空気の量を測定するものです。

一方、Q値は住宅全体を通して、どれだけの熱が入ったり出たりするかを表す指標です。

UA値と同様に断熱性能に関わるものですが、Q値は建物内部の仕切り(部屋と部屋の間の壁やドアなど)や換気の性能や能力も計算に含める点が異なります。

つまり、UA値が「外側からの熱の出入り」を重視しているのに対し、Q値は「内部の区画も考慮した、より家全体を俯瞰した熱のやり取り」を把握できるのです。

 

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UA値の目安は?地域ごとに基準がある

UA値(外皮平均熱貫流率)の基準値は地域ごとに異なります。この背景には、日本の気候が地域によって大きく異なることが関係しているのです。

たとえば、寒冷地である北海道や東北地方では、厳しい寒さをしのぐために高い断熱性能が求められます。

一方で、比較的温暖な九州地方では、そこまでの断熱性能は必要とされないため、基準値が緩やかに設定されています。

このように、地域区分に応じたUA値基準が設定されているというわけです。

全国の地域区分ごとの基準値一覧

UA値には国が努力目標として定めた基準値があります。

これを、「省エネ基準」と呼びます。

なお、新築住宅において、この「省エネ基準」は、2025年4月から義務化されます。

具体的には、建築物省エネ法に基づき、日本は8つの地域区分に分けられており、それぞれに適したUA値の基準が定められています。

UA値の基準値の地域区分

出典:断熱性能 | ラベル項目の解説(国土交通省)

たとえば、北海道の一部地域ではUA値基準が0.46W/㎡・Kとされる一方で、九州地方では0.87W/㎡・Kといったように、大きな幅がありますね。

この数値の違いは、地域ごとに必要な断熱性能を反映したものと言えるでしょう。

以下に、国が定めたUA値の努力目標を示します。

地域区分 主な地域 UA値基準(W/㎡・K)
1地域 北海道(旭川市、釧路市、帯広市など) 0.46
2地域 北海道(札幌市、函館市、室蘭市など) 0.46
3地域 青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、長野県の一部地域 0.56
4地域 宮城県、秋田県、新潟県、山梨県、長野県、岐阜県の一部地域 0.75
5地域 関東、中部、近畿、中国、四国、九州の大部分 0.87
6地域 九州南部、沖縄県の一部地域 0.87
7地域 沖縄県の一部地域 0.87
8地域 沖縄県の一部地域 設定なし

出典:地域区分新旧表(国土交通省)

2025年4月から義務化

岐阜県内の地域区分ごとの基準値一覧

岐阜県はどうかというと、実は岐阜県内でも地域の気候条件に応じてUA値の基準が異なります

岐阜県は北と南で気候が全く異なるため、地域ごとに異なる断熱性能基準が設定されています。

以下に、岐阜県内の地域区分とそれぞれのUA値基準をまとめました。

地域区分 該当市町村 UA値基準(W/㎡・K)
3地域 飛騨市、郡上市(旧高鷲村に限る。)、下呂市 (旧小坂町、旧馬瀬村に限る。)、白川村 0.56
4地域 高山市、中津川市(旧長野県木曽郡山口村、旧坂 下町、旧川上村、旧加子母村、旧付知町、旧福 岡町、旧蛭川村に限る。)、本巣市(旧根尾村に 限る。)、郡上市(旧八幡町、旧大和町、旧白鳥 町、旧明宝村、旧和良村に限る。)、下呂市(旧 萩原町、旧下呂町、旧金山町に限る。)、東白川 村 0.75
5地域 大垣市(旧上石津町に限る。)、中津川市(旧中津 川市に限る。)、美濃市、瑞浪市、恵那市、郡上 市(旧美並村に限る。)、土岐市、関ケ原町、坂 祝町、富加町、川辺町、七宗町、八百津町、白 川町、御嵩町 0.87
6地域 岐阜市、大垣市(旧大垣市、旧墨俣町に限 る。)、多治見市、関市、羽島市、美濃加茂市、 各務原市、可児市、山県市、瑞穂市、本巣市 (旧本巣町、旧真正町、旧糸貫町に限る。)、 海津市、岐南町、笠松町、養老町、垂井町、神 戸町、輪之内町、安八町、揖斐川町、大野町、 池田町、北方町 0.87

出典:地域区分新旧表(国土交通省)

※令和2年7月時点

※地域区分の詳細は、国土交通省の資料をご参照ください。

エムズアソシエイツの平均値は0.3から0.35!

エムズアソシエイツのUA値は、おおよそUA値0.3から0.35ぐらいの値のため、岐阜市がある6地域の基準値よりかなり下回っています。基準で言うと、北海道レベルの基準を維持していることになります。
過去には、UA値=0.22の事例もありました。

ZEHやHEAT20などの制度もUA値が基準・目安に

また、省エネ性能をさらに重視する住宅では、ZEH(ゼロエネルギーハウス)やHEAT20(エネルギー効率の高い住宅)といった基準があります。

これらの基準は、断熱等級と呼ばれる指標で区分されています。

これらの制度でも、UA値が基準・目安にされています。

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実は、UA値だけでは本当の住み心地は見えてこない!

UA値やC値といった数値指標は、住宅の性能を客観的に把握する上では、とても便利だと思います。

しかし、私たちはこれらの数値に頼りすぎないことも大切だと考えています。

なぜなら、建物の形や、何階建てか、日当たりの具合など、実際に住んでみての心地よさを決めるポイントはたくさんあり、単純に数字を比べるだけでは、「本当に良い家かどうか」を判断しきれない場合があるからです。

たとえば、同じ工法・同じ断熱材・同じ窓を使ったとしても、平屋と2階建てでは数値の結果が変わってしまうことがあります。

一般的には平屋の方がUA値などの指標が良い結果になりやすいのです。

しかし、実際に暮らしてみると2階建ての1階は、上の階が日差しをさえぎってくれたり、外気に触れる部分も少ないおかげで、2階建ての方が夏は涼しく、冬は暖かく過ごせたりと、より快適なケースもあるのです。

UA値やC値は確かに大切ですが、あくまでも目安の一つ。

実際に暮らしてみての心地よさは、建物の形や構造、周りの環境、日当たりや風通し、そして何より、ご家族のライフスタイルや好みを総合的に見て判断するのが大切ではないでしょうか。

エムズアソシエイツでは、この数値を基準にしつつも、現場での経験や実際の暮らし方まで踏まえたトータルな検討が、本当に満足できる住まいづくりにつながると考えています。

UA値を下げる(断熱性能を上げる)には?6つの断熱性アップポイント

UA値を下げる(断熱性能を上げる)には、家まるごとでバランスのとれた対策が求められます。

ここでは、私たちエムズアソシエイツが断熱性能を高めるために意識している6つのこだわりポイントを、わかりやすくご紹介します。

前提:高断熱と高気密はセットで考える

断熱材の性能を十分に発揮させるためには、施工時の隙間を徹底的に排除することが必要です。

つまり、気密性能の向上です。

断熱材の隙間があると、そこから熱が逃げてしまい、UA値が上がる(性能が下がる)原因となります。

①足元から伝わる冷えに注意

冬場に感じる「足元が冷たい」という不快感は、断熱性能を左右する大切なサインです。

たとえば、基礎や床下からの冷えが室内に伝わりにくいような工夫を行うことで、暖房の効きや光熱費が変わってきます。

基礎断熱や断熱材選びなど、足元の断熱に配慮することで、家全体の快適さが一段とアップします。

一般的な家づくりでは、床に断熱材を入れる「床断熱」が多いですが、私たちは「基礎断熱」を採用しています。

②金属部品や隙間は「熱の抜け道」

梁(はり)をつなぐボルトや、ちょっとした隙間は、外からの冷えや熱が入り込みやすい「抜け道」になりがちです。

こうした小さな部分でも、断熱材やシーリング材、気密テープなどでの対策を丁寧に行うと、トータルで見ると驚くほど快適性が変わります。

たかが隙間、されど隙間」という意識が重要です。

③壁内部の湿度コントロール

壁の中に湿気が溜まると、断熱材が本来の性能を発揮しにくくなるほか、カビや劣化の原因にもつながります。

壁内通気や防湿シートなどを使って、湿度をコントロールする設計・材料選びが大切です。

これは、季節を問わず「壁の中」を良い状態に保つ鍵となります。

④断熱層を重ねる発想も

寒さの厳しい地域や、より快適な室内環境を目指す方は、断熱材を1層だけでなく「もうひと工夫」加えることを考えてみましょう。

セーターの上からダウンジャケットを着るように、付加断熱という考え方で断熱層を増やすと、外気温に左右されにくい暮らしやすさが手に入ります。

⑤窓は断熱の「要」

家の中で、もっとも熱が出入りするのは窓です。

だからこそ、窓サッシやガラスは特に気を配るべきポイントです。

樹脂サッシやLow-Eガラス、ガス封入など、多彩な選択肢の中からライフスタイルや地域の気候に合った組み合わせを選ぶことで、室内の温度環境がグッと安定します。

⑥それぞれに特徴がある断熱材選び

当然ながら、断熱材選びも重要になります。

ところが、この断熱材選びに迷っている方も多いんじゃないでしょうか。

プロでさえ様々な断熱材がありすぎて困るほどですから、一般のお客様がマイホームでどの断熱材を選ぶか迷うのは当然かもしれません。

断熱材には、グラスウールや発泡ウレタン、セルロースファイバーなど、さまざまな種類があります。

それぞれの断熱材にはメリット・デメリットがあり、一長一短です。

 

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新築やリフォームを検討する際、断熱材選びは家の快適性や省エネ性能を大きく左右する重要なポイントです。 しかし、断熱材には様々な種類があり、それぞれにメリット・デメリットが謳われ、情報が溢れています。 「断熱材は、結局どれが本当に良いの?」 という疑問はよくいただく質問です。 そこでこの記事で

まとめ:「UA値」だけにとらわれず、トータルでの検討が本当に満足の鍵!

ここまで説明してきたように、UA値は家の「どれくらい熱を逃がさないか」を示す指標です。

この数字を小さくすればするほど、夏は涼しく冬は暖かい、快適でエコな家を実現できます。

まずは地域ごとの基準値を理解し、どの水準を目指すかを考えた上で、窓性能の改善、断熱材の選定と施工、そして気密性能の向上といった様々方法を実践することで、UA値を効果的に下げることができます。

今でこそ高気密・高断熱が当たり前になってきていますが、エムズアソシエイツはそれらが一般化する12年前から高気密・高断熱にこだわった家づくりをしてきました。

 

高気密高断熱だけを作り続けて250棟。

 

高気密高断熱な住宅を実現するには、高度な知識と技術が必要とされます。

エムズアソシエイツは、長年の経験と実績に裏打ちされた家づくりで、断熱性能に優れた住宅設計をしています。断熱にこだわりのある方は、ぜひ当社までご相談ください。

 

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