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セルロースファイバー断熱材は本当に良い?プロがデメリットと注意点を徹底解説

セルロースファイバー断熱材は本当に良い?プロがデメリットと注意点を徹底解説 | 高気密・高断熱住宅

数ある断熱材の中の一つとして「セルロースファイバー」がありますが、初めて聞いた、または、聞いたことはあるけれど詳しくは知らない、という方もいるかもしれません。

新聞紙などをリサイクルして作られた、環境に優しい断熱材として知られていますが、実際のところはどうなのでしょうか?

セルロースファイバーには、メリットだけでなく、事前に知っておくべきデメリットも存在します。

こんなお悩みについて解決します。
  • セルロースファイバーってどんな断熱材?
  • 断熱性能は高いの?
  • セルロースファイバーのメリット・デメリットは?
  • 他の断熱材と比較してどうなの?
  • 結局、ウチにはどの断熱材が良いの?

この記事では、セルロースファイバー断熱材のメリット・デメリットを、具体的な根拠とともに徹底解説します。

さらに、超高気密高断熱を実現しているエムズアソシエイツが標準採用する高性能グラスウールとの比較も交え、どの断熱材がご家庭にベストなのか考えてみましょう。

エムズアソシエイツの実績
  • 過去50棟平均実績値 UA値=0.335 実測C値=0.245
  • 過去150棟平均実績値 UA値=0.339 実測C値=0.323

(全て実際の引き渡し物件での統計)

断熱材の比較をまだ読んでいない方は、こちらからどうぞ。

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この記事を書いた人
セルロースファイバー断熱材は本当に良い?プロがデメリットと注意点を徹底解説 | 高気密・高断熱住宅
松原 保嗣

プロフィール:
岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。
保有資格:
日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員

セルロースファイバー断熱材とは?

 

セルロースファイバー断熱材は、リサイクル新聞紙や段ボールなどの再生紙をベースに作られるエコな断熱材です。

環境負荷を抑え、人体に有害な物質を含まないため、健康面や省エネ面でも注目されています。

製造方法

古新聞や段ボールを細かく裁断し、繊維状に加工した再生紙に、ホウ酸塩などを加えて難燃・防虫・防カビ効果を付けます。

こうしてできた繊維が絡み合い、細かな空気層を作り出すことで、しっかりと断熱します。

シンプルな工程でエネルギー消費も抑えられるのが魅力です。

施工方法

現場では、まず壁内部に透湿シートや不織布ネットを設置し、専用ブロワーで断熱材を一気に吹き込みます。

これにより、狭い場所や複雑な形状にもムラなく充填でき、断熱性と防音性がしっかり確保されます。

熟練の技術が求められますが、丁寧に施工すれば高い効果が得られます。

セルロースファイバー断熱材のメリット

それでは、セルロースファイバー断熱材のメリットを詳しく見ていきましょう。

  • 高い断熱性能
  • 自然な調湿性で結露・カビを防ぐ
  • 優れた防音性で静かな空間に
  • 環境に優しい
  • 断熱材の中で唯一の防虫・防カビ性能

高い断熱性能

セルロースファイバーは、充填時に隙間なく壁内部に詰め込むことができるため、空気が通りにくくなります。

内部にたくさんの小さな気泡ができ、熱が逃げるのをしっかり防いでくれので、断熱性能が高いです。

具体的には、熱伝導率は約0.040W/(m・K)とされています。

なお、熱伝導率は数値が低いほど断熱性能が高いことを意味します。

以下の表は、セルロースファイバーを他の代表的な断熱材と比較したものです。

断熱材 熱伝導率 (W/m・K)
発泡ウレタンフォーム 約0.024~0.028
高性能グラスウール 約0.035~0.038
セルロースファイバー 約0.040
ロックウール 約0.040~0.045
袋入りグラスウール 約0.045~0.050

出典:
主な特性 | 硬質ポリウレタンフォーム(ウレタンフォーム工業会)
断熱材の区分と熱伝導率(橿原市公式サイト)

また、熱をしっかりと蓄える力があり、夏は外の熱が室内に入るのをゆっくりにし、冬は室内の暖かさを長く保ちます。

自然な調湿性で結露・カビを防ぐ

セルロースファイバーは木質の特性を持っており、湿気を自然に吸収し、必要に応じて放出する働きがあります。

これにより、部屋の湿度が自然に調整され、結露やカビの発生を防ぐ効果が期待できます。

特に梅雨時や冬場、外気温と室内温度の差が大きい時期には、結露によるカビや腐食のリスクを大幅に軽減できるのは大きな利点です。

優れた防音性で静かな空間に

密に詰め込まれたセルロースファイバーは、繊維同士がしっかりと絡み合っており、音の伝わりを効果的に遮断します。

そのため、防音性・吸音性が高く、防音室や音楽室にもよく使われます

環境に優しい

再生紙を利用しているため、資源の有効活用とCO2排出削減に貢献しています。化学物質を使わないため、室内空気も安全で、エコな住まいづくりにぴったりです。

断熱材の中で唯一の防虫・防カビ性能

セルロースファイバーは、ホウ酸塩で処理されているため、シロアリなどの害虫から断熱材自体を守る効果があります。

実験でも害虫が標的にならないことが確認されています。

さらに、セルロースファイバーは断熱材の中で唯一、素材自体に防虫性能を備えているとされており、この点は大きな強みです。

また、ホウ酸の防カビ作用と内部の微細な気泡構造が湿度を調整し、カビの発生を効果的に抑えます。

結果として、セルロースファイバーは断熱材としての防虫性能が非常に高く、白蟻対策も含めて、安心して使用できる素材と言えます。

  • JIS A 9523 吹込み用繊維質断熱材に関する解説ページ
    セルロースファイバー断熱材の各性能(防カビ性、吸放湿性など)が日本工業規格に基づいて評価されている点が説明されています。
    参考:JIS A 9523 吹込み用繊維質断熱材(解説ページ)
  • TOXICOLOGICAL REVIEW OF BORON AND COMPOUNDS (EPA IRIS)
    EPAが発行しているホウ酸およびその化合物の毒性評価レポートです。ホウ酸の安全性と長期間にわたる防虫効果について詳細な評価が示されています。
    参考:EPA TOXICOLOGICAL REVIEW OF BORON AND COMPOUNDS
  • Summary Document from the Health Advisory for Boron (EPA)
    ホウ酸の健康への影響や防虫効果がまとめられており、ホウ酸が長期間その効果を維持する理由が説明されています。
    参考:Summary Document from the Health Advisory for Boron

セルロースファイバー断熱材のデメリット

当然ながら、いくつか注意すべき点もあります。セルロースファイバー断熱材のデメリットについて詳しく見ていきましょう。

  • 施工後の配線変更の難しさ
  • 経年で性能低下の可能性
  • 高気密化が難しい
  • 地震時のシート破損リスク

施工後の配線変更の難しさ

一度充填すると、壁内部の配線変更が困難です。

たとえば、後からコンセントの位置を変更したり、追加の配線を行う必要が出てきた場合、充填された断熱材を一度取り除いてから再施工する必要があります。

そのため、吹き付けウレタンと同様に、電気配線を先に済ませておく必要があります。

また、吹付ウレタンフォームと同じく、リフォーム時の電気配線の変更が難しいため、コンセントの位置の変更や照明器具の移設などの際にはいろいろな方策を考えなければならない点には注意が必要です。

経年で性能低下の可能性

年月が経つとセルロースファイバーが徐々に自重で圧縮・沈下、上部に隙間ができる事例も報告されています。
最近では、吹込み圧を上げて、沈下しないと言われていますが、物理的に考えると沈下することが全くないとは言い切れません。

断熱材に少しでも隙間ができると、そこから熱が出入りし、断熱効果が低下します。

高気密化が難しい

セルロースファイバー自体は、気密性に乏しい素材です。
セルロースファイバーの保持シートは気密シートではありませんので、気密性を高めることができません。

そのため、断熱材単体では住宅全体の気密性を高めることができず、気密シートの併用が必須となります。

しかし、多くの場合気密シートを別で施工することはまれであり、結果として家全体の気密性が中程度にとどまってしまいます。

地震時のシート破損リスク

セルロースファイバーは、シートの内部に細かい紙状のセルロースファイバーを吹き込んで充填されます。

もし地震などでこのシートが破損すると、内部の断熱材が外に飛び出してしまう恐れがあります。
シートが破損しても大丈夫な方法を考える必要性があります。

エムズアソシエイツは高性能グラスウールを推奨

エムズアソシエイツでは、各断熱材の特性を総合的に評価した結果、全体のバランスが優れている高性能グラスウールを採用しています。

たとえば、セルロースファイバー断熱材は環境面や調湿性能で優れているものの、施工後の改修の難しさや気密性の面で課題があることが分かっています。

一方、グラスウールは無機質で経年劣化がほとんどなく、火災時の安全性も高いなど、住まい全体の耐久性や安全性、さらには施工のしやすさにおいて優れています。

これらの理由から、エムズアソシエイツでは、長期的なメンテナンス性や改修の柔軟性、トータルでのコストパフォーマンスを考慮して、高性能グラスウール断熱材が最適であると判断しています。

分かりやすく、両断熱材の特徴を5段階評価で比較しました。

項目 セルロースファイバー断熱材 高性能グラスウール断熱材
断熱性能 〇(充填ムラがなければ十分な効果を発揮) ◎(低熱伝導率で、さらに高い断熱性能を実現)
気密性 △(気密性は中程度) ◎(気密シート施工でしっかりとした気密性を確保)
調湿性能 ◎(吸放湿性が高く、結露やカビの発生を防ぐ) △(素材自体の調湿効果は乏しく、外部対策が必要)
防音性能 ◎(密充填によって十分な防音効果が得られる) 〇(施工状況によって効果にばらつきがある)
防火性能 〇(ホウ酸処理により難燃性を確保) ◎(不燃性素材で、火災時の安全性が非常に高い)
防虫・防カビ性能 ◎(特別な処理で虫やカビのリスクをほぼ排除)

◎(無機質ゆえ虫やカビの影響は少ないが、水分を含むと
性能が著しく低下することに注意が必要)

環境性能 ◎(再生紙利用で、資源の有効活用と環境負荷低減に貢献) 〇(製造過程でのエネルギー消費が多いため、環境面での評価はやや低い)
耐久性 〇(適切な施工が行われれば長期間使用可能) ◎(無機質で経年劣化がほぼなく、安定した性能が長持ちする)
改修のしやすさ ×(一度充填されると、改修作業が非常に困難) ◎(部分的な交換や改修が比較的容易に行える)

※評価記号は「◎:非常に優れている」「〇:標準的」「△:改善の余地あり」「×:大幅な課題あり」を示します。

 

高性能グラスウールを推奨する理由について、他断熱材との比較や、メリット・デメリットなど、ここではお伝えしきれない詳細情報は、以下の記事で徹底解説しています。

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今回は、これまで解説してきた数ある断熱材の中でも、超高気密高断熱を実現しているエムズアソシエイツが自信を持って推奨する「高性能グラスウール」について紹介します。 グラスウールの性能ってどうなの? グラスウールは気密性が高くないって本当? グラスウールはあまり使わない方がいい断熱材

まとめ:セルロースファイバーで不安や疑問があれば、ご相談を!

ここまで、セルロースファイバー断熱材のメリット・デメリット、そして高性能グラスウールとの比較について解説してきました。

環境に優しく調湿性も高いセルロースファイバーですが、施工や耐久性の面で注意が必要なこともご理解いただけたかと思います。

一方、エムズアソシエイツが推奨する高性能グラスウールは、断熱性能はもちろん、耐久性、安全性、そして施工性においても優れた断熱材です。

もちろん、高性能グラスウールにもデメリットは存在しますが、長年の経験と実績に基づいた確かな施工技術で、その弱点をカバーし、高性能グラスウールの持つメリットを最大限に引き出します。

「高性能グラスウールについてもっと詳しく知りたい」「我が家の場合、どちらが良いか相談したい」と思われた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

下記の記事でも解説しているので、あわせてご覧くださいね。

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