注文住宅の初期費用、何にいくらかかる?削れる費用と削ってはいけない費用が分かる
投稿日:2026.03.25 最終更新日:2026.03.25
「見積もりを取ったら、思っていた金額より全然多くてびっくりした」
注文住宅の初回相談でよく聞く声です。
その理由は、家づくりのお金が建物本体だけで終わらないからです。
実際には、付帯工事費や諸費用もかかりますし、支払いのタイミングも契約時・着工時・引き渡し時などに分かれます。
さらに、費用を抑えたいと思っても、何を削ってよくて、何を削ると後悔しやすいのかは、初めてだとなかなか分からないですよね。
この記事では、注文住宅の初期費用について、何にお金がかかるのか、いつ支払いが発生するのか、どこでコスト調整しやすいのかを分かりやすく整理しました。
また、品質そのままでコストダウンする7つのコツも紹介します。
- 初期費用と諸費用の違い、そして目安として押さえておくべき数字
- 土地・建物・ローンで何にいくらかかるか、費目と支払い時期
- ローン実行前に現金が必要になる理由とタイミング
- 諸費用を抑えられる、手続き段階でできること
- 品質を落とさずコストを整える、設計段階の7つの工夫
- 断熱・気密・耐震を削ってはいけない、本当の理由

松原 保嗣
【プロフィール】
岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。
20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。
自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。
【保有資格】
日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員
目次
注文住宅の「初期費用」「諸費用」とは?実は違う?
まずは「家づくりのお金は3つに分かれる」と考えると分かりやすい
注文住宅を建てるとき、「初期費用」や「諸費用」という言葉をよく見かけます。
ただ、初めて家を建てる方にとっては、「何が違うの?」と分かりにくいですよね。
家づくりにかかるお金は、まず次の3つに分けて考えると全体像がつかみやすくなります。
- 本体工事費:家そのものを建てるお金
- 付帯工事費:家のまわりや土地の条件に応じて必要になるお金
- 諸費用:手続きやローン契約などにかかるお金
それぞれ、簡単にいうと次のようなイメージです。
- 本体工事費:柱・壁・屋根・断熱・キッチン・お風呂・内装など、建物そのものにかかる費用
- 付帯工事費:仮設工事、外構工事、上下水道の引き込み、地盤改良など、建物以外に必要な工事費用
- 諸費用:登記費用、税金、住宅ローンの手数料、保険料などの手続き関係の費用
ここでいう「諸費用」は、工事費とは別にかかる手続き系の費用を指します。
一方で「初期費用」は、もっと広い意味で使われることがあり、諸費用に加えて、契約時に払う手付金や頭金などを含めていう場合もあります。
つまり、ざっくりいうと、
- 諸費用=手続きにかかるお金
- 初期費用=家づくりの最初に必要になるお金全体
という理解で大丈夫です。
また、家づくりの費用は、次の3つの場面で発生します。
- 土地を買うとき
- 家を建てるとき
- 住宅ローンを組むとき
この3つに分けて考えると、「何にいくらかかるのか」が見えやすくなります。
ただし、どこまでを本体工事費や諸費用に含めるかは、会社によって少しずつ違います。
見積書をもらったら、名前だけで判断せず、「この費用は何のためのお金か」を一つひとつ確認しておくと安心です。
坪単価の計算方法や各区分の内訳は、こちらの記事で解説しています。
注文住宅は坪単価で比較すると失敗する|500万変わった実例と3つの理由
注文住宅を検討する際、各社から「坪単価○○万円です」と説明を受けたことはありませんか? 結論からいえば、坪単価はあくまで目安であり、絶対にそれだけで比較すべきでありません。 なぜなら、坪単価は「何を含めて計算するか」が会社によってまったく違い、単純比較できないからです。 実際、私たちエムズアソ
諸費用の目安は総額の5〜12%、多くは10%前後

「諸費用って、どれくらい見ておけばいいの?」
これは、家づくりを考え始めた方がよく気になるポイントです。
一般的な目安は、家づくりにかかる総額の5〜12%程度。
土地から購入する場合は、10%前後で考えられることが多いです。
たとえば、
- 総額2,500万円なら、諸費用の目安は約250万円
- 総額3,000万円なら、諸費用の目安は約300万円
というイメージです。
ただし、これはあくまで目安です。条件によって金額は変わります。
- すでに土地を持っている場合は、土地購入にかかる仲介手数料などがないため、低めになりやすい
- 土地を新しく買う場合は、仲介手数料や登記費用、税金がかかるため、高めになりやすい
- 地盤改良が必要な土地だと、さらに費用が増えることもある
そのため、最初の資金計画では、「総額の約8~10%」をひとつの目安にしておくと考えやすいです。
ただ、最終的な金額は土地の条件やローンの組み方でも変わるため、工務店や金融機関と一緒に確認しておきましょう。
土地・建物・住宅ローンで、それぞれ何にいくらかかるか
ここからは、「どの場面で、どんなお金がかかるのか」を、土地・建物・住宅ローンの3つに分けて見ていきます。
土地購入でかかる費用(仲介手数料・登記費用・不動産取得税など)

土地を新しく買う場合は、土地代そのもの以外にもいくつかの費用がかかります。
特に最初に確認しておきたいのが、仲介手数料です。
金額が大きくなりやすいため、資金計画に影響しやすい費目です。
※ここで紹介するのは、土地を新規購入する場合にかかる費用です。
| 費目 | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円+消費税(上限) | 売主直売の場合はかからない |
| 土地の登記費用(登録免許税+司法書士報酬) | 数十万円程度 | 土地の価格・筆数で変動 |
| 印紙税(売買契約書) | 数千円〜数万円 | 契約金額の区分で決まる |
| 不動産取得税 | 固定資産評価額×3%(軽減後) | 取得後に課税。軽減措置あり |
仲介手数料は、たとえば土地が1,500万円なら約56万円、2,000万円なら約73万円ほどが目安です。
土地代とは別にこれだけかかるので、初めて見ると意外に感じるかもしれません。
一方で、「仲介手数料なし」の売主直売物件なら、この費用はかかりません。
土地探しを工務店と一緒に進めると、建物との予算バランスも見ながら探しやすくなるうえ、こうした物件に出会えることもあります。
建物工事でかかる費用(地盤調査・確認申請・上下水道引込など)
家を建てるときは、建物本体の金額だけで終わるわけではありません。
実際には、建てるために必要な申請や調査、土地の状態に応じた工事費もかかります。
| 費目 | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 地盤調査費 | 5~8万円程度 | 調査結果次第で地盤改良が追加 |
| 地盤改良費 | 100〜150万円程度(必要な場合のみ) | 工法で費用が大きく変わる |
| 建築確認申請費用 | 数万円〜20万円程度 | 地域・申請先・床面積で変動 |
| 水道加入金・上下水道引込費 | 地域によって違う(岐阜市は加入金なし) | 敷地の状況で上振れあり |
| 地鎮祭・上棟式などの儀式費 | 3万円程度 | 施主の意向で省略可 |
| 建物の登記費用(表示登記+保存登記) | 10〜30万円程度(規模や借入金額による) | 司法書士・土地家屋調査士へ支払い |
この中で、特に気をつけたいのが地盤改良費です。
地盤改良とは、家を安全に支えられるように地面を補強する工事のこと。
これが必要かどうかは、地盤調査をしてみないと分からないことが多く、契約前には確定しないケースもあります。
そのため、資金計画では「もしかかるなら」と考えて、あらかじめ予備費を見ておくと安心です。
不要だったら、ラッキー。その分がそのまま手元に残ります。
住宅ローン関連でかかる費用(手数料・登記・火災保険など)
住宅ローンでは、借りること自体にも費用がかかります。
初めてだと見落としやすいのですが、金利以外にもいろいろなお金が必要です。
| 費目 | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 融資手数料(事務手数料) | 借入額×2.2%程度(定率型)または3〜5万円(定額型) | 金融機関によって仕組みが違う |
| 抵当権設定登記費用 | 数万円〜20万円程度 | 借入額・軽減措置で変動 |
| 印紙税(金銭消費貸借契約書) | 数千円〜数万円 | 借入額の区分で決まる |
| 火災保険・地震保険料 | 20~25万円程度(5年契約・建物総額2500~3000万程度) | 構造・補償範囲・水災リスクで大きく変動 |
たとえば、融資手数料は金融機関に払う事務手数料です。
借入額に対して一定割合で決まる場合もあれば、定額の場合もあります。
また、抵当権設定登記費用は、住宅ローンを借りるときに金融機関が家や土地に担保を設定するための費用です。
言葉だけだと難しく感じますが、「ローンを借りるための手続きに必要なお金」と考えると分かりやすいです。
なお、耐震等級3の住宅は地震保険料が50%割引になります。
地震保険は基本的にはずっと支払うことが多く、長く住むほど効いてくるので、これが地味に大きいんですよね。
エムズアソシエイツでは耐震等級3(第三者機関の性能証明書付)を標準仕様としているため、この割引を受けられます。
現金はいつ必要になる?住宅ローンが振り込まれる前に先に払うお金
住宅ローンはいつ振り込まれる?金融機関によって3つのパターンがある
「全部ローンで払えるなら、最初に現金はそんなにいらないのでは?」
そう思う方も多いのですが、実際はそうとは限りません。
「いくら必要か」と同じくらい大切なのが、「いつそのお金が必要になるか」という視点。
住宅ローンは、申し込んですぐに全額が振り込まれるわけではありません。実行のタイミングは金融機関によって違います。
大きく分けると、次の3つのパターンがあります。
- 建物完成時に一括で実行されるパターン(つなぎ融資が必要なケース)
- 着工前から融資が受けられるパターン
- 土地・着工・完成などの段階ごとに分けて実行されるパターン
ひとつ目は、建物が完成して引き渡すときに、ローンがまとめて実行されるタイプです。
この場合、完成前に必要になる土地代や着工金、中間金は、先に自己資金で払うか、つなぎ融資を使って立て替える必要があります。
つなぎ融資とは、本来の住宅ローンが実行される前に、一時的に必要なお金を借りる仕組みです。
通常の住宅ローン金利より高い金利が設定される場合が多いので、ここも要注意です。
つまり、家づくりでは「最終的にはローンで払う予定でも、その前に現金が必要になる場面がある」ということです。
この「融資実行のタイミングのズレ」が、現金不足の原因になりやすいんですよね。
一方で、着工前から融資を受けられるタイプや、土地代・着工時・完成時のように段階ごとに分けて実行できるタイプの金融機関もあります。
こちらはつなぎ融資なしで進められることがあります。
着工前から融資を受けられるケースは、建築事業者の信用力が高く、融資(銀行)側からの信頼があるケースで適応される場合が多いです。
(建設途中で倒産した場合を考えると、着工前に融資を実行するには貸す側にとってはリスクがあります)
「自分の場合、いつ現金が必要になるか」は利用する金融機関によって変わるため、工務店と一緒に早めに確認しておきましょう。
家づくりで発生する5つの支払いタイミング
では、実際にどの場面でお金が動くのでしょうか。
家づくりでは、大きく5つのタイミングで支払いが発生します。
| タイミング | 主な支払い内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 土地売買契約時 | 手付金・仲介手数料の一部 | 土地代の5〜10%程度(手付金) |
| 建物請負契約時 | 契約金など | 契約内容で変動 |
| 着工時 | 工事着工金 | 請負金額の一部(会社で異なる) |
| 上棟時 | 中間金 | 請負金額の一部(会社で異なる) |
| 引き渡し時 | 残金・諸費用の最終精算 | ローン実行と同日が一般的 |
たとえば土地を買うときは、契約時に手付金を払うのが一般的です。
これは「この土地を買います」という約束のために先に払うお金です。
その後、建物の請負契約、着工、上棟と進む中で、工事代金の一部を分けて支払う場合もあります。
着工金や中間金の有無や金額は、会社によってかなり違います。
そして、もうひとつ見落とされやすいのが引き渡し時の支払いです。
建物の残金は住宅ローンで精算できることが多いですが、登記費用、火災保険料、ローン手数料などの諸費用は、ローンに含まれず、現金で必要になる場合があります。
(ローンに含むことも可能ですが、それらにも利息がかかってきます)
つまり、引き渡しの日にも「まとまった現金」が必要になることがある、ということです。
そのため、ローン実行日に
- 何を払うのか
- いくら払うのか
- 現金が必要なのか、ローンに組み込めるのか
この3点は、事前に担当者へ確認しておくと安心です。
設計前に知っておきたい、手続き段階でできる諸費用の節約
家の設計を変えなくても、手続きや選択の仕方で諸費用を少し抑えられる場面があります。
次に紹介する「7つの設計的工夫」ほど節約幅は大きくないですが、頭の片隅に置いておいてほしい話です。
売主直売の土地を選べば仲介手数料が不要になる

「売主直売」の物件を選べれば、仲介手数料がかかりません。
仲介手数料は土地代金の3%+6万円(上限)ですので、3,000万円の土地であれば約96万円の差になります。
ただし、売主直売物件は市場に出てくる数が限られます。
「見つかれば嬉しい」くらいの気持ちで探しながら、無理に求めすぎないことも大切です。
既存建物があった場合、上下水道の引込工事費が必要無くなることも
もともと建物が建っていた土地、または建っているけど解体して更地にしてから販売する場合、上下水道がすでに引き込まれている場合は新たに引込工事をしなくてもよい場合が多く、引込工事費の60万~(地域や条件によって大きく変動します)の費用がひつようなくなります。
これは結構大きいです。ただし、あまり古い建物の場合には、水道管が鉛だとか口径が小さい等の理由で、別途引込直し等の費用が発生する場合がありますので、この点だけご注意ください。
地鎮祭・上棟式は省略できる(施主の意向次第)

地鎮祭や上棟式などの儀式費用は、個人的におすすめはしませんが、施主の意向で省略できます。
省略する場合は工務店と事前に確認を。
ご家族でよく話し合ってから決めてもらえればと思います。
融資手数料は定率型か定額型かで差が出ることがある

融資手数料(保証料)には、借入額に応じてかかる定率型と、金額が一定の定額型があります。
一般的な目安として、定率型は借入額の1〜2%程度、定額型は数万円台が多いですが、金融機関によっては定額型でも30万円前後の商品もあります。
たとえば3,000万円を借りる場合、定率型が2.2%なら約66万円。
けっこう大きい金額だと思いませんか?
定額型は金融機関によって数万円台のこともあれば30万円台になることもあります。
「定額型だから安い」とは限りません。
金利だけで金融機関を選んでいると、この手数料体系の差を見落としやすいです。
複数の金融機関で、手数料体系まで含めて見積もりを取るのが確実です。
電子契約(クラウドサイン等)を選べば印紙税がかからない
売買契約や請負契約を電子で完結できれば、紙の契約書にかかる印紙税がかかりません。
家づくりでは契約の回数が複数になりますから、積み上げると意外と大きな差になります。
工務店や金融機関が電子契約に対応しているかどうか、一度確認してみてください。
軽減制度と補助金は、期限と要件がある
登録免許税の軽減措置や住宅取得資金の贈与税非課税、子育てグリーン住宅支援事業など、使える制度はいくつかあります。
ただし、どれも「期限」と「要件」があります。
さらに、補助金の申請は、住宅の性能だけでなく、その制度に対応している事業者でないと手続きできない仕組みです。
後回しにしていると、期限や枠を逃してしまうことがあります。
気になる制度があれば、早めに工務店へ「これ、使えますか?」と聞いてみましょう。
品質を落とさず初期費用を抑えるには?設計段階の7つのテクニック
いよいよ本題です。
手続きや選び方で費用を抑えることもできますが、初期費用により大きく影響するのは、やはり家の設計やプランです。
ここでは、わたしたちがお伝えしている、質を下げずにコストダウンするためのコツやテクニックを7つ紹介します。
①廊下・ホールを減らし、床面積をコンパクトにする

家の費用は、基本的に床面積が増えるほど上がります。
そこで見直したいのが、廊下やホールなどの「通るための空間」です。
こうしたスペースを減らせると、その分だけ家全体をコンパクトにでき、費用も抑えやすくなります。
しかも、ただ小さくするだけではありません。
廊下を減らして動線を短くすると、移動しやすくなって、かえって暮らしやすくなることも多いです。
「小さい家は窮屈そう」と感じるかもしれませんが、間取りの工夫次第で、その心配は十分に減らせます。
必要以上に広くするのではなく、ちょうどいい大きさに整えることが、ムダのない家づくりにつながります
②個室を区切らずオープンにして建具の数を削る

個室を細かく区切らず、大きな空間を残しておくと、壁の量と建具の数を削れます。
最近は建具(ドア)の価格が上がってきました。
1本2本減らすだけでも、積み重ねると大きな差になります。
室内ドアを1本設置する費用は5~15万円程度が目安で、数本単位で削れればそれなりの違いが出ます。
また、最初からオープンな設計にしておき、将来必要になったときに間仕切りを追加するという手もあります。
子どもが小さいうちは広い空間として使い、成長に合わせて個室に仕切っていける設計です。
③凹凸のない長方形・総二階で外壁面積を最小限に

家の形が複雑になるほど、外壁や屋根、基礎の形も複雑になります。
すると、材料が増えたり、施工の手間が増えたりして、費用が上がりやすくなります。
そのため、長方形や正方形に近い、凹凸の少ない形はコストを抑えやすいです。
特に総二階(一階と二階が同じ形で壁の四面が垂直)は、費用を整えやすい形のひとつ。
さらに、家の形がシンプルだと、断熱や気密の性能も安定しやすくなります。
つまり、形をシンプルにすることは、費用だけでなく性能にもプラスに働くということです。
もちろん、シンプルな形だからといって、味気ない家になるわけではありません。
設計次第で、雰囲気はしっかり出せます。
④トイレを1つにすると設備費と掃除の手間が同時に減る

2階建てでは、「トイレは2つあった方が便利」と感じる方も多いと思います。
たしかに、家族の人数や生活時間が重なるご家庭では便利です。
ただ、必ずしも最初から2つ必要とは限りません。
トイレを1つにすると、便器や手洗い、ドアなどの設備費を抑えやすくなります。
あわせて、掃除する場所が1か所減るため、住んでからの手間も軽くなります。
今の暮らし方を考えて、1つで足りそうなら、無理に増やさないのも選択肢です。
将来必要になりそうなら、あとで増設しやすいように配管だけの工事をしておく等の準備をしておく方法もあります。
⑤ファミリークローゼット1か所にまとめて面積も節約

収納を各部屋に少しずつ分けると、一見使いやすそうに見えます。
ただ、あちこちに収納をつくると、その分だけ壁や扉が増え、面積も使います。
そこで、ファミリークローゼットのように収納を1か所にまとめると、家全体の面積を使いやすくなります。
収納を集約すると、どこに何があるか分かりやすくなり、片づけもしやすくなります。
つまり、収納は「多ければいい」ではなく、「どうまとめるか」で使いやすさもコストも変わるということです。
⑥窓を絞ることでコストが下がり断熱性能も保ちやすくなる

窓は、数が増えるほど、また大きくなるほど費用が上がります。
そのため、ただ何となく増やすのではなく、絞れるところは絞るのが正解です。
最近は、トイレやお風呂に窓を設けないことも増えています。
換気は換気設備で対応できますし、窓がない分、掃除もラクになります。
「窓を減らす=暗い家」というイメージがありますが、配置を工夫すれば、必要な明るさを確保しながら、窓の数を抑えることもできます。
加えて、窓(開口部)は、住宅の中でも熱の出入りが多い場所なので、窓が少なければ、断熱性能の面でも有利になります。
⑦水回り設備は標準グレードから始め、差額を断熱・構造に回す

キッチン・お風呂・洗面台などは、グレードを上げるほどコストが大きく上がります。
いくつか重なると、意外なほど費用が膨らみます。
ここで伝えたいのは、「設備機器はいつか必ず壊れる」ということです。
食洗機、換気扇、給湯器といった家電に近い設備は、10〜15年サイクルで交換が必要になります。
つまり、最初に高いグレードを入れても将来また買い替えるタイミングが来る。
それなら、最初から設備にお金をかけすぎるより、まずは標準グレードをベースに考えるのもひとつの方法です。
その分を、断熱や構造など、あとから変えにくい部分に回す。そちらの方が、長い目で見たときに満足できる家になると思っています。
設備は替えられますが、断熱・耐震の性能は建てた後から大幅に変えるのは難しいですからね。
なぜ初期費用だけで家を選んではいけないのか?

7つの工夫で初期費用を整理できたとしても、費用の判断軸を「初期費用だけ」に置くと、後で後悔しやすくなります。
削れる費用と、削ってはいけない費用は別物です。
断熱・気密・耐震を削ると、将来のランニングコストが増える
①〜⑦の工夫で削れるのは、設計次第で融通の利く費用です。
一方、断熱・気密・耐震にかかるコストは、ここでは削れません。
断熱・気密を削ると、冷暖房費が年々積み上がっていきます。
2025年4月、国土交通省が新築住宅への省エネ基準適合を義務化しました。
断熱性能は、今後の住宅では「当たり前の水準」になっていきます。
断熱性能等級はこう変わる!義務化によるこれからの地域別基準と性能アップの秘訣を解説
「断熱性能等級」という言葉、最近よく耳にするけど、実際どういうものかよくわからない…という方も多いのではないでしょうか。 新築を計画中の方や、今の住まいをより快適にしたい方にとって、断熱性能は見逃せないポイントです。 特に2025年以降は、断熱性能等級4以上が義務化される流れで、住宅の省エネ基準
耐震等級についても同様です。
等級3は建てた後から大幅に改修することが難しく、設計段階での判断が大切になります。
エムズアソシエイツでは、耐震等級3を標準仕様としています。
初期費用が安い家と、35年後にコストが低い家は別物
「初期費用が安い家」と「長期でコストが低い家」は、必ずしも一致しません。
ライフサイクルコスト(建設から解体までの総費用)という考え方がその典型です。
特に、外壁や屋根などの外装には注意が必要で、初期費用が安い外壁材や屋根材程、耐久性が低くメンテナンス費用が多くなるケースがあります。
■初期費用が2700万の家 35年間でかかるコスト(修繕費)800万 =3500万
■初期費用が3000万の家 35年間でかかるコスト(修繕費)400万 =3400万
これに加えて、断熱気密性能が違ってこれば、プラスエネルギー消費量も変わり、プラス数百万の違いが発生する可能性があります。
断熱・気密性能が低いと光熱費が膨らみ、質の低い材料は将来の修繕費用も増えていきます。
品質を落とさずコストを整える。この考え方は、ライフサイクルで見ても同じ方向を向いています。
関連記事でも詳しく触れています。
住宅のライフサイクルコストとは?試算でわかった安い家のほうが高くなる理由
住宅の費用を比較するとき、多くの方は建設費(初期費用)を中心に見ます。 しかし実は、建設費が生涯費用全体に占める割合は約32%。 残りの約68%は光熱費・修繕費・メンテナンス費として、建てた後から30年・50年かけて積み上がります。 「安い家を選んだのに、住んでからの費用が想定以上だった」とい
まとめ:注文住宅の初期費用、全体像と設計段階でできること
注文住宅のお金は、建物の本体価格だけでは決まりません。
実際には、本体工事費に加えて、付帯工事費や諸費用もかかります。
さらに、支払いの時期も一度ではなく、契約時・着工時・上棟時・引き渡し時などに分かれます。
そのため、家づくりでは「総額はいくらか」だけでなく、
- 何にお金がかかるのか
- いつ支払いがあるのか
- 現金が必要なのか、ローンに入れられるのか
この3つを最初に整理しておくことが大切です。
- 諸費用は総額の5〜12%、土地から購入なら8~10%前後が目安
- 費用は土地・建物工事・住宅ローンの3区分で発生する
- ローン実行前に着工金・中間金が現金で先行する
- 設計段階の7つの工夫で品質を保ちながらコストを整えられる
- 断熱・気密・耐震にかかる費用は、後から削れない
また、初期費用を抑えたいときは、設備や性能をむやみに削るのではなく、面積・間取り・家の形・窓・収納のつくり方など、設計で調整できる部分を見直すのが基本です。
一方で、断熱・気密・耐震のように、あとから大きく変えにくい部分は、安さだけを優先して削らない方がいいです。
つまり、家づくりで大切なのは、「安くすること」ではなく、「削っていい費用」と「削らない方がいい費用」を分けて考えること」です。
エムズアソシエイツでは、高気密・高断熱・耐震等級3を標準仕様としながら、設計の工夫でコストを整理するご提案をしています。
「何にどれくらいかかるのか、まだよく分からない」
その段階でも大丈夫です。
見学会やご相談の場で、一緒に順番に整理していきましょう。
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