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断熱リフォームの失敗、その原因は?効果が出ない理由を現場視点で解説

100万円かけて窓を高性能なものに変えたのに、冬になると床が冷たくて廊下が寒い。

結露は減ったけど、リビングとトイレの温度差は変わらない。

「断熱リフォームをしたのに、寒いままだった」という後悔の声は、実は少なくありません。

 

なぜこんなことが起きるのか。

原因は、壁や床の中に元々あった隙間を、そのままにしてしまうからです。

窓を変えても、床下の隙間から冷気が上がってくれば、寒さは変わりません。 断熱材を入れても、気密(隙間をなくす)施工が不十分なら、暖房した空気はどんどん逃げていきます。

リフォームは新築と違い、壁の中が見えません。

だからこそ、事前調査と施工中の確認、そして気密測定で「隙間が残っていないか」を数値で確かめることが大切です。

 

この記事では、断熱リフォームで失敗する典型パターンと、「断熱材の問題」「隙間の問題」「計画の問題」を切り分ける視点、そして優先順位と施工品質の確かめ方をまとめました。

この記事でわかること
  • リフォームで断熱工事が難しい3つの理由
  • 寒い・結露が起きる原因
  • どこから直すべきか?リフォームの優先順位
  • 気密測定を仕上げ前に実施する重要性
  • 業者選びで確認すべき3つのポイント
この記事を書いた人
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松原 保嗣

岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。 保有資格: 日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員

目次

なぜリフォームの断熱・気密工事は新築より難しいのか?

断熱リフォームで失敗が起きる”前提”を、まず押さえておきましょう。

同じ断熱工事でも、リフォーム・リノベでは新築とは条件が変わります。

既存の構造・施工スペース・劣化という3つの壁があり、ここを無視すると「やったのに寒い」になりやすいです。

古い家の構造そのものが、隙間を生みやすい

在来工法の古い家は、床や壁の作りが断熱・気密に向いていません。

まず、昔の床構造(根太組工法)は構造材の間に隙間ができやすい点が挙げられます。

現代工法(剛床工法)しか知らない施工者だと、こうした隠れた隙間に気付けません。

 

また土壁など厚みがある昔の壁も厄介です。

断熱性能が低い上に、断熱材を入れる邪魔になり、撤去するか活かすかで悩みます。

間取り変更でも、構造上必要な柱や耐力壁は動かせません。

新築のように自由に断熱層をつなげたり、空間を設計し直したりできない制約があるわけです。

 

既存住宅の断熱改修で肝になるのは、昔の工法特有の隠れた隙間をどう塞ぐか

現代の工法知識だけでは予測できず、ノウハウがないと性能は上がりません。

「断熱気密リノベできます」と言っていても、本当に経験があるか見極めてください。

断熱材を入れるスペースが足りない(壊さず施工か全解体か)

特に昭和〜平成初期の日本住宅では、壁や天井の厚みが薄く、断熱材を入れるスペースがありません。

土壁は調湿性など良い面もありますが、断熱性能はごくわずか。

壁内に新たな断熱材を入れるのも難しいです。

 

一方、家を壊さず外側から断熱材を重ね張りする「カバー工法」もあります。

既存の外壁や屋根を撤去せず、その上から断熱層で家全体を包み込むため、断熱性能を一気に高められる点がメリット

解体や廃材処分がほとんど不要で、工期短縮・コスト削減になり、住みながらの工事も可能です。

既存の断熱材や土壁を残して、その外に新しい断熱材を足せば、単純計算で性能が2倍以上になることも。

外部から家全体を覆うため熱橋が生じにくく、断熱材の切れ目や隙間(※断熱欠損といいます)も減らせます。

 

ただし注意点もあります。

カバー工法では、窓や屋根との兼ね合い等施工するうえで調整する箇所が多くなり、結果としてコストが高くなりがちです。

また、既存構造に重みが加わる(断熱材や二重外壁の重さ)ため、木造なら補強の確認も必要です。

柱や梁だけ残してすべて解体するスケルトンリフォームは、間取り変更の自由度が高い反面、時間と費用がかさみます。

建物ごとに状況が違うため、最適な手法を見極める必要があります。

壁を開けたら腐れや劣化が見つかる

リフォーム工事では「壁を剥がしたら柱が腐っていた」「断熱材が想像以上に劣化していた」など、想定外の劣化が見つかることも多いです。

こうしたリスクを減らすために、着工前に徹底した事前調査(インスペクション)があります。

具体的には、以下をチェックします。

  • 床下の状況、湿気やシロアリ被害の有無
  • 基礎の状況
  • 壁内の構造や断熱材の状態
  • 小屋裏(天井裏)の木部含水率や断熱材が施行できるかどうかのふところ深さの確認

インスペクションでは、床下は床下点検口から、床下点検口がない場合は畳をめくって、

天井裏は小屋裏点検口、点検口がない場合は、押し入れの枕棚等の天井をずらすなどして、カメラや計測器を入れて、劣化や隙間を調べます。

 

また、断熱リフォームをするなら、耐震診断・耐震補強も同時に検討するのがおすすめ。

壁や天井を開けるタイミングで耐震金物を追加したり構造用合板を張れば、後から耐震工事を別でやるよりコストを抑えられます。

国の補助制度(長期優良住宅化リフォームなど)でも、インスペクション+耐震性向上+断熱改修をセットで行うと補助額が手厚くなります。

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断熱リフォームの失敗で多いのは、この4つのパターン

断熱リフォームの「失敗」には、代表的な4つのパターンがあります。

  1. 断熱したのに寒いまま
  2. 結露・カビが減らない、むしろ悪化した
  3. 部屋によって温度差が大きくなった
  4. 夏に熱がこもって暑い

①断熱したのに寒いまま(気密性の不足が主な原因)

「断熱リフォームしたのに、冬の寒さや夏の暑さがあまり変わらない」。

これがもっとも多い失敗です。

原因の多くは気密性の不足にあります。

断熱材をたくさん入れても、ドアや窓や壁の隙間風がそのままでは効果は出ません。

②結露・カビが減らない、むしろ悪化した

「断熱改修したら以前より結露がひどくなり、カビまで生えた」ということもあり得ます。

これは断熱材の入れ方や換気計画に問題がある場合に起こります。

わずかな断熱材の切れ目や隙間(断熱欠損)があると、そこが熱橋(ヒートブリッジ)となって冷暖房の熱を通し、局所的に冷える面で結露が発生します。

対策としては、断熱材を継ぎ目なく隙間なく入れること、そして24時間換気で湿気を溜めないことです。

③部屋によって温度差が大きくなった(部分断熱の弊害)

居室だけ断熱した結果、廊下や玄関が以前より寒く感じる、というのもよくあります。

元々断熱されていない家は家中どこも同じくらい寒かったのが、部分断熱で「暖かい部屋」と「相変わらず寒い廊下」が生まれ、廊下の寒さが際立ってしまうのです。

これではヒートショックのリスクにもつながりますから、部分断熱の場合でも、できるだけ主生活の範囲(LDK・水回り・廊下・寝室)をカバーする断熱施工が理想的です。

④夏に熱がこもって暑い

冬だけでなく夏場の失敗例として、「断熱改修後の方が室内に熱がこもって暑く感じる」という声もあります。

断熱・気密性能を高めると外気温の影響を受けにくくなる一方、一度入った熱が逃げにくくなるためです。

対策として、庇やすだれ・遮光カーテンを利用し、計画換気で熱を排出する工夫が必要になります。

断熱リフォームでよくある4つの勘違い

失敗を招く「よくある勘違い」を潰しておきましょう。

以下の4つは、多くの人が陥りやすい思い込みです。

  1. 断熱材を入れれば必ず暖かくなる?
  2. 効果が高い窓だけ直せば家全体が変わる?
  3. 一部屋を断熱するだけでもかなり違う?
  4. UA値や過去事例だけを見ておけば安心!

①断熱材を入れれば必ず暖かくなる?

断熱材を増やすだけでは不十分です。

隙間をなくす気密施工がセットでないと効果は出ません

多くの人が「断熱材を厚く入れれば暖まる」と考えがちですが、実際には家中の小さな隙間から暖気が逃げてしまいます。

たとえばUA値(断熱性能)が優秀な断熱材を入れても、C値(隙間面積)が大きければ暖房効率は上がりません。

断熱性能(UA値)と気密性能(C値)は両輪

どちらか片方が欠けても快適な家にはなりません。

つまり、断熱材を入れる施工時には、並行して隙間を徹底的に塞ぐ施工・検査が必要なのです。

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②効果が高い窓だけ直せば家全体が変わる?

窓の断熱改修は効果が大きいものの、それだけでは不十分で、他の部分とのバランスが大切です。

住宅の熱損失の多く(国交省推計で約5割)は開口部に集中しており、窓の性能向上は断熱改修の最優先事項。

ただし「窓だけ対策すればOK」というわけではありません。

たとえば遮熱フィルムを窓に貼るだけでは、日射は遮げても室内の熱流出入は防げません。

部分的な改修がかえって、改修していない部位への負荷を増やしてしまいます。

内窓設置など窓全体を断熱強化しつつ、壁や天井・床など他の部分もバランスよく改修する総合的な計画を立てましょう。

③一部屋を断熱するだけでもかなり違う?

一部屋だけ断熱すると、家の中の温度ムラがかえって増えます。

改修していない場所の寒さ・暑さが目立つ結果に。

よくあるのが、高齢の親御さんの部屋だけ断熱リフォームするケース。

断熱した部屋と廊下や他の居室との温度差が大きくなり、廊下や脱衣所の寒さが以前にも増して「危険な寒さ」になることがあります。

これは部分断熱の弊害です。

したがって「この部屋だけやれば快適」という発想は誤解です。

寒さ対策は家全体を見る必要があります。

最低でも寝室と脱衣室・浴室など命に関わる場所はまとめて断熱するか、将来的に全体を改修する前提で優先順位を付けると良いでしょう。

④UA値や過去事例だけを見ておけば安心!

住宅の快適性はUA値や断熱材の種類など単一の数値だけでは決まりません。

気密性能や日射コントロール、間取り・生活スタイルなど多面的な要素に左右されます。

 

例えばUA値0.6(断熱等級5相当)の家でも、窓の配置や暖房の使い方によっては局所的に寒さを感じる場面があります。

逆にUA値が少し劣る家でも、南面の大きな窓で日射をうまく取り入れれば暖かく過ごせることも。

また同じUA値でも、使用する窓の性能や気密性の違いで体感温度は全く変わります。

逆にC値が良くてもUA値が悪ければエアコン代がかさむだけ。

スペックだけで住宅の性能を判断することはできません。

断熱リフォームの計画では数値上の性能だけでなく、家全体のバランスや住み方まで考慮した提案をしてくれる業者に依頼しましょう。

寒さや結露が改善しない3つの原因とは?

効果が出ない原因は、断熱欠損(穴・隙間)、気密不足(空気の出入り)、計画ミス(部分断熱や運用のズレ)に分けられます。

どれが主な原因かで、対策も優先順位も変わります。

断熱材を入れたのに寒いのは「穴」と「隙間」が残るから

断熱欠損とは、本来つながっているべき断熱材や気密層に途切れや空洞が生じている状態です。

施工不良で断熱材が一部入っていなかったり、隙間だらけの状態や気密層が断裂されていると、その部分から熱(外気)が出入りし、住宅全体の断熱性能が大きく低下します。

断熱気密層の欠損部分では本来の性能が発揮できず、局所的な冷えで結露やカビの原因にもなります。

断熱欠損は配管やダクトの貫通部まわり、コンセントボックス周囲、梁・柱と断熱材の取り合い部など特定箇所に起こりやすい。

実際、基礎断熱の現場でも配管まわりの断熱欠損が放置されていることがあります。

 

こうした部分では断熱材の細かなカット・充填や発泡ウレタン充填で隙間を埋める対応をしますが、手間がかかるため施工者の指示・管理不足で漏れることもあります。

わずかな断熱欠損でも体感温度に影響します。

たとえば床下断熱で配管まわりに直径数cmの欠損があると、その床上だけ明らかに冷気を感じます。

断熱欠損部は家の中に冷蔵庫があるようなもの。

その部分から常に冷気(または夏は熱気)が染み出してくる状態になります。

 

したがって、断熱リフォームでは配管や窓まわりも含め、隙間ゼロを目指した丁寧な施工が必要です。

「壊さず断熱」を選ぶ場合は、欠損をどう減らすかが鍵です。

気密性が低いと断熱の効果が逃げる(隙間風・湿気の流入)

気密性が低い住宅では、どれだけ高性能な断熱材を入れても効果が損なわれます。

隙間風で暖かい空気が逃げ、冷たい外気が入り込むからです。

例えば、UA値0.4W/㎡K(非常に優秀な断熱性能)の家でもC値が5.0cm²/㎡(隙間だらけ)だと、暖房した空気が漏れ出し「結局寒い家」になります。

 

一方、C値1.0未満の高気密住宅では暖房した空気が長く室内に留まり、外気の流出入を防ぐため、少ないエネルギーで快適性を維持できます。

また隙間が多い家では夏は湿気が侵入して壁内結露やカビの原因にもなります。

つまり、気密不足は「冬乾燥して寒く、夏はジメジメ」という不快さに直結します。

気密性能の指標であるC値は、数値が小さいほど隙間が少ないことを示します。

C値の目安 状態 快適性
5.0cm²/㎡前後 一般的な既存住宅 隙間が多く暖房効率が悪い
2.0cm²/㎡以下 リノベーションの目標値 隙間を大きく減らした状態
1.0cm²/㎡未満 新築高気密住宅の基準 暖房した空気が長く留まる

新築高気密住宅ではC値1.0を切るのが一つの基準。

リノベーションでも、施工によって可能な限り隙間を減らせばC値2.0以下を目指せます。

リノベーションは既存の隠れた隙間に後追いで対応する必要があるため非常に難しいですが、丁寧な気密処理と測定をすれば高い性能を達成できます。

 

私たちエムズアソシエイツでは、気密測定技能者の資格を保有し、リノベでも測定を実施

過去の実測データではC値=1.0未満を実現しています。

部分断熱で温度差が広がる/暮らし方に合わない計画で後悔する

一部屋だけ・一部分だけ断熱する計画は、家全体の温度バランスを崩しがちです。

一部屋だけの改修は温度ムラを生む

実際、「居室だけ断熱したら他の場所の寒さが余計気になるようになった」という失敗はよくあります。

計画段階で家全体をどう断熱するか考えずに部分施工すると、改修した部屋と廊下やトイレとの温度差が大きくなり、暖房していない場所が極端に寒く感じるようになる恐れがあります。

ヒートショック事故を防ぐ観点からも、改修範囲の優先順位は慎重に設計すべきです。

国土交通省のガイドラインでは「居室と非居室(廊下、トイレ、浴室など)との間で過度な温度差を生じさせない」よう改善すべきと明記されており、予算が許すなら非居室空間や床下、玄関まで含めた計画が望ましいとされています。

また、断熱改修箇所を増やすほど効果が大きくなるため、窓を最優先としつつ、可能であれば天井・壁・床下なども含めて断熱改修することが推奨されています。

夏の熱ごもり対策が不十分

また、断熱気密改修後に「夏場に熱がこもってしまった」のは、計画段階で日射遮蔽と通風・換気計画を考慮していなかったからです。

高性能な断熱住宅ほど、夏は外部からの熱が入らない代わりに、一旦入った熱が逃げにくくなります。

特に西日が差し込む窓がある部屋では、断熱性能が上がったぶん室内に入り込んだ日射熱が蓄積しやすくなります。

これを防ぐためには、南西向きの窓には庇を設ける、遮熱ガラスを採用する、通風経路を確保する、計画換気で排熱するなどがあります。

生活スタイルに合わない計画をしてしまう

さらに、家族の暮らし方にそぐわない断熱リフォームをしてしまう場合もあります。

例えば、「共働きで日中不在が多いのに蓄熱式床暖房を入れてしまい、うまく使えない」「来客が多いのにリビングだけ断熱したせいで廊下で寒がられる」など。

また、部屋干しをよくするのに気密性だけ上げて換気の計画をしなかったため湿度がこもり、カビ臭に悩まされた例もあります。

計画段階では、その家庭が実際にどう家を使っているかを考慮しなくては、本当の快適さは生まれません。

結露・カビで後悔しないために:温度差と湿気、どちらも対策が必要

結露・カビは、断熱だけでは解決しません。

温度差・湿気・換気・施工の組み合わせで起きるため、原因を誤ると対策が裏目に出ます。

結露が悪化する典型パターン:温度差と換気不足

高気密住宅は換気が命

室内結露は主に表面の温度差と空気中の湿度で発生します。

暖かく湿った室内空気が冷たい壁や窓ガラスに触れると、露点温度を下回ったところで空気中の水分が水滴となって現れます。

つまり、「室内の湿度が高く、かつ外気との温度差が大きい環境ほど結露しやすい」ということ。

冬場に加湿器を使った部屋で窓がびっしょり濡れるのはこのためです。

 

対策は、室内温度を上げて表面を冷やさない(断熱や二重窓で表面温度を上げる)ことと、湿度自体を下げる(換気や除湿で湿気を外に排出する)ことの両面が大切になります。

高気密住宅では計画換気を止めてしまうと、室内に湿気が急速に溜まります。

人間の生活だけで一日当たり数リットルもの水蒸気が発生します。

これを意図的に外に排出しないと、どんな高断熱・高気密の家でも内部から結露してしまいます。

したがって、断熱リフォーム後は24時間換気システムを適切に運転し、各部屋の換気経路を確保することがカビ防止の基本です。

壁内結露と夏の結露にも注意

窓の結露が減ると、壁の中で結露が始まる

窓の結露は目に見えるため対処されやすいですが、窓を断熱改修すると、今度は壁内など見えない部分で結露が発生し始めることがあります。

たとえば、窓を内窓化して性能を上げた結果、今度は相対的に断熱性の低い壁の一部(柱や梁の近くなど)で結露が発生したり、あるいは壁内部で湿気がたまって結露する場合です。

これは断熱材の切れ目や施工不良があると起きやすいので、先ほど話した断熱材の切れ目をなくすことと、十分な換気確保が壁内結露防止のポイントになります。

見落とされがちな「夏の結露」

高断熱化では「夏の結露」にも注意が必要です。

梅雨時など外気湿度が高い状況で壁体内に湿気が侵入し、冷房で冷えた室内側の表面で水滴となるケースです。

対策としては、壁内への湿気侵入を防ぐ外壁通気層の確保、防湿気密シートの施工、冷房時にも計画換気で壁内に湿気を滞留させないことです。

「窓・断熱・気密・換気」をセットで確認しよう!

断熱リフォームで失敗しないためには、窓断熱・断熱材施工・気密処理・換気計画をワンセットで捉えること

一つだけ対策しても他が不十分だと、効果を感じにくかったり副作用が出たりします。

住宅性能はボトルネックとなる弱点に引きずられます。

窓・壁・床など部位ごとの断熱性能バランスと、気密性、換気量の確保を総合的に計画してもらいましょう。

温度差(断熱)と湿気(換気)の両方を抑えてこそ結露しにくい家になります。

断熱改修では換気システムや計画換気経路の導入もセットで検討しましょう。

 

断熱リフォームを依頼する際には、以下のようなポイントを業者と確認してみてください。

  • 換気計画:24時間換気の種類、ダクト経路、メンテナンス方法
  • 気密処理:配管まわり・コンセント周りの隙間対策
  • 窓以外の部位:天井や壁、床の断熱計画
  • 生活習慣:室内干しや加湿器使用など湿度が上がる要因への対策
  • 将来の増改築:段階的施工の計画があるか

「断熱材+気密+換気」を一体の計画として提案してくれる業者を選ぶと、結露やカビで後悔するリスクを大きく減らせます。

失敗を減らす進め方:優先順位と確認方法で結果が変わる

断熱リフォームは、優先順位と確認方法で結果が変わります。

さらに補助金・業者選びまで含め、後悔しにくい進め方を整理しましょう。

どこから直すべきか?窓→天井→壁→床の優先順位

住宅の中で最も熱の出入りが激しい部位は窓(開口部)です。

国土交通省のデータでは「住宅で熱損失の多くは開口部(窓およびドア)」です。

古い住宅では冬季に全体の約50%の熱が窓から失われ、夏季は約74%の熱が窓から侵入します。

断熱リフォームの効果を最大化するには、熱が逃げやすい順に優先順位をつけて進めることが大切です。

優先順位1位:窓(開口部)

断熱リフォームの優先順位第1位は窓です。

熱損失が最大(約50%)で、かつ比較的短工期で大幅な性能向上が見込めます。

単板ガラスを複層ガラス+樹脂サッシに替えたり内窓を追加することで、効果を実感しやすい部位です。

優先順位2位:天井(屋根)

窓の次に優先すべきは天井(屋根)断熱です。

暖かい空気は上方にたまりやすく、天井断熱が不十分だとせっかく暖めた空気が屋根裏に逃げてしまいます。

また天井断熱工事は上階や小屋裏から断熱材を敷き込む非破壊工法が可能な場合が多く、住みながらでも施工しやすいメリットがあります。

優先順位3位:壁

続いて壁の断熱ですが、壁は面積が大きいものの柱や開口など複雑です。

効果と手間を秤にかけて順位は3番目になります。

優先順位4位:床

最後に床断熱です。

床からの熱損失自体は全体の一割程度ですが、足元の体感温度への影響が大きく、特に底冷え解消には役立ちます。

ただし床断熱は床材を全て剥がす等大きな工事になることもあり、他より後回しになりまます。(床材をはがさずに床断熱を施工できる場合もあります)

段階的な施工計画のポイント

まとめると、優先順位は以下の通りです。

  1. 窓(開口部):熱損失が最大(約50%)、比較的短工期で効果大
  2. 天井(屋根):暖気が逃げやすい、非破壊工法で施工しやすい
  3. 壁:面積は大きいが施工が複雑
  4. 床:体感への影響は大きいが、大規模な工事になりやすい

予算などの制約で一度にすべて断熱改修できない場合は、上記優先順位に従って段階的に施工を進めるのも手です。

窓改修だけでも一定の快適性向上は得られますし、天井断熱を追加すれば「上からの冷え」を減らせます。

ただし、先ほどお話ししたように、部分施工の間は非改修部分との温度差が生じる点に注意してください。

将来的に全体をカバーする計画であることを念頭に、長期計画を立てて優先順位に沿って進めると良いでしょう。

気密測定を仕上げ前に実施する

断熱リフォームを依頼する際は、「気密測定を実施してもらえるか」「仕上げ前のタイミングで測定するか」を確認してみてください。

理由は、完成後に問題が見つかっても修正が困難だからです。

気密測定(C値測定)は「隙間」を数値で見える化する手段で、仕上げ前に問題を特定できる手段です。

断熱材や気密シートを施工し終えた段階(石膏ボードを貼る前)で測定すれば、問題があればその場で補修して再測定できます。

 

新築では気密測定(C値測定)はだいぶ普及してきました。

しかしリノベーションや大型リフォーム案件で気密測定を標準的に行っている業者はまだまだ少ないのが現状です。

 

私たちエムズアソシエイツでは、気密測定事業者の登録と共に、社員の多くが気密測定技能者の資格を保有し、リノベ物件でも測定を行い数値で性能保証する体制を取っています。

リノベでも丁寧な気密処理と測定をすればC値1.0以下を達成できる事例が出てきています。

補助金は工事前に確認する

断熱リフォームには、国や自治体の補助金制度が用意されています。

ただし、補助金は工事着工前の申請が必須です。

「先進的窓リノベ事業」や「こどもエコすまい支援事業」など、工事後の申請は認められていません。

申請手続きは施工業者が代行してくれる場合がほとんどです。

相談時に「補助金は利用できますか?」と聞いてみてください。

補助金は期間限定・予算上限ありで、年度途中で受付終了となることもあります。

リフォーム計画が固まったら早めに情報収集し、タイミングを逃さないようにしましょう。

業者選びで確認すべき3つのポイント

断熱・気密改修は新築以上に難易度が高いため、その分野での豊富な実績と専門知識を持つ業者を選ぶことが肝心です。

具体的なチェックポイントは以下の3つです。

実績を数値で公開しているか

気密測定結果(C値)やUA値など、数値を公開している会社は信頼度が高いです。

施工事例で「断熱改修後に室温がどう改善したか」まで示している業者を選びましょう。

気密と換気まで提案してくれるか

「断熱材を入れれば大丈夫」だけでなく、気密施工の方法や換気計画まで説明してくれる業者を選んでください。

「気密測定でC値〇以下を目指します」と具体的に言及があるかを確認しましょう。

事前調査を丁寧に行っているか

床下や天井裏まで入って隙間や劣化をチェックし、調査報告書を写真付きで提示してくれる業者が理想です。

調査なしに即「断熱材何センチ入れましょう」と進める業者は避けた方が無難です。

エムズアソシエイツのリフォーム事例

私たちが手がけた平屋の断熱リノベーションでは、「結露ゼロ」「エアコン使用頻度激減」「子どもの喘息軽減」という声をいただきました。

また、鉄骨造築40余年の断熱リフォームでは、「冬は暖かく夏は涼しく、想像以上の快適な生活を送れるようになり、日常がまったく変わりました」という声をいただいています。

まとめ:断熱リフォームで失敗しないためには調査・確認・測定がカギ

今回は、断熱リフォームの失敗パターンと原因、そして失敗を減らす進め方を整理しました。

この記事のポイント
  • リフォームは壁の中が見えないため、新築より難しい
  • 寒い・結露の原因は「断熱材の不足」「隙間」「計画ミス」
  • 窓→天井→壁→床の順で進め、気密測定で確認する
  • 業者選びは実績と事前調査の丁寧さで判断する

新築とは違い、隠れた隙間や劣化、施工スペースの制約があるからこそ、事前調査・途中確認・気密測定がとても大切です。

そして原因を切り分ける視点(断熱欠損か、気密不足か、計画ミスか)を持つことで、無駄な対策を避けてふさわしい改善ができます。

 

私たちエムズアソシエイツでは、気密測定技能者の資格を保有し、リノベでもC値0.3〜0.5、UA値0.3〜0.46を実測で記録しています。

事前調査・ヒアリングで建物条件を確認し、現実的な優先順位と施工計画を立てることを大切にしています。

最長60年の長期保証、定期点検(1年目、5年目、10年目)で完成後もサポートします。

しつこい営業はしませんので、まずは現地調査・相談で「何が原因か」「どこからやるか」を確認してみてください。

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