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床下エアコンはリフォーム・リノベーションでも設置は可能か?
床下エアコンという言葉を聞いて、リフォームやリノベーションでも設置ができるのかどうか?
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
実際に、そんな質問が幾度かありましたので、こちらで解説をしていきます。
これからリフォームやリノベーションをお考えの方は是非参考にしてください。
まずは、床下エアコンのメリットデメリットについては
を是非、ご参考にしてください。
ここでは、リフォームやリノベーションの場合に特化して解説をしていきます。
松原 保嗣
岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。 保有資格: 日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員
1. まずは結論から:リフォームやリノベーションの場合は、不可能ではないですが、いくつかの制約が出てきます。
制約-1 基礎断熱であること、または基礎断熱に変更することが第一条件です。
通常のお住まいでは、岐阜や愛知の東海圏では、まだまだ床断熱仕様が多数を占めていると思われます。
床下エアコンの場合は、読んで字のごとく、床下にエアコンの風を送るため、床下に部屋と同等の気密断熱性能を担保しなければいけません。
そうしなければ、当然ながら、床下に送ったエアコンの冷気や暖気は、外に逃げていき快適な室内空間を確保することはできません。
また、床断熱の場合には、床下は「外」の扱いとなり、外気を取り入れて換気をするため、床下にエアコンを設置するわけにはいきません。



床断熱仕様、または無断熱仕様のお住まいを基礎断熱化しようとすると、換気口を塞ぎ、床に換気ガラリを設置し、基礎に断熱施工をしなければいけませんので
かなりの手間とコストが発生します。

制約-2 住宅全体の性能値が一定の性能を満たす必要があります。
具体的には、UA値≒0.46以下 実測C値1.0未満 程度の性能を満たすことができないと床下エアコンの効きが悪くなり、結果として導入する意味がありません。
床下エアコンは、基本的に設置階(主に1階部分)全体を冷暖房できる全館空調に近いものになりますので、性能の悪いお住まいでは快適に過ごすことができなくなります。
性能値が一定以上満たすことができない場合には、各部屋にエアコンを設置して、ダイレクトに冷暖房できる機器を選択するほうが有効です。
制約-3 床下エアコン本体(内機)を設置するスペースが必要です。

ここはそれほど支障がないケースになるかと思われますが、間取り上、床下エアコンの設置スペースを確保しなければなりません。
階段下や、造作家具のデッドスペース等、床に開口(エアコン用の穴)を空けてエアコンの送風を床下に送り込む場所が必要になります。
また、ほこりの溜まり場になる収納スペース等に設置する場合には、フィルター掃除をこまめに行うなどの注意も必要になってきます。
制約-4 通常の防蟻処理ができません。
基礎断熱では、基礎空間(床下空間)と居室空間が通気されます。
その為、土台・大引など床下空間の木構造に薬剤を使用した一般的な防腐・防蟻剤は使用できません。
防腐・防蟻については
- エコボロン:ホウ酸を使用した防腐・防蟻剤で、人体に悪影響を及ぼす心配がありません。
- タームガードシステム:室内に薬剤が流入しない建物の外周で防蟻を行います。
※1.2とも弊社で扱いがありますので、詳しくは担当者までお問い合わせください。 - 防腐・防蟻の不要な木材:桧・ヒバなど薬剤処理の必要のない木材で土台・大引をお使いください。

これらの制約が出てくるため、既存の床断熱仕様のお住まいに床下エアコンを設置することはハードルが高いと思われます。
ただし、絶対に不可能というわけではなく、外壁や屋根も全てリニューアルするフルリノベーションの場合であれば、
床断熱を基礎断熱化することは、コストはそれなりにかかりますが、それほど難しくありません。(基礎の状態によります)
補足事項:床断熱の注意点として
床断熱では、水道や排水の配管の立ち上がり部分の床の断熱材に穴を明ける必要があります。
一般的な住宅では、その数はおよそ6~7か所に及びます。
その部分で断熱欠損が起こりますので、そこから冬場であれば冷気、夏場であれば湿気や暖気が居室に入ってくる可能性が高くなります。

さらに言えば、床断熱の場合には、床の骨組みの間に断熱材をはめ込むため、どうしても軽微な隙間が多数にわたり発生します。

上図のように、軽微な隙間が線状に発生し、1階の延床15坪程度のお住まいであれば約42mの長さの隙間(断熱欠損部分)ができますので、足元が寒くなるはずです。
その点、基礎断熱では、気密も断熱も隙間なく施工できるので、足元の寒さは感じられなくなり、エアコンの効きも全くちがうものになります。
いかがでしたでしょうか?
リフォームやリノベーションの場合で床下エアコンの設置を希望される場合には、基礎と骨組みだけ残して行う、フルリノベーションを行う場合に限定されると考えていいでしょう。
ただし、ゾーンリノベーションの場合でも、部分基礎断熱が施行できる場合には、限定的ですが可能な場合もあります。
床下エアコンに関してのご相談は、床下エアコン実績が豊富なエムズアソシエイツへお気軽にお問い合わせください。
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