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Column

新築だけじゃない!リノベーションでもC値(隙間相当面積)の測定は重要!

新築では当たり前になりつつある、気密測定。

まだまだリノベーションや大型リフォーム案件では、気密測定を標準的に行っている建築リフォーム事業者様は少ないのではないでしょうか?

「リノベやリフォームを考えているけど、気密測定ってやったほうがいいのかな?」

「部分リノベの場合、どうやって測定するんだろう?」

そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

この記事では、気密測定の基本から、リノベの場合の気密測定のメリット・デメリット、費用感、測定方法まで、有益な情報を解説していきたいと思います。

高気密高断熱へのリノベーションを検討する上で欠かせない知識を、わかりやすく解説します。

まずは気密測定について、基礎的なことは以下の動画をご覧ください。

 

ご不明点やご質問、ご相談も無料で実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人
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松原 保嗣

岐阜市拠点の株式会社エムズアソシエイツ代表取締役。20年以上、注文住宅の設計施工に携わり、高気密・高断熱住宅やパッシブデザインを取り入れた設計を通して、圧倒的な快適住空間を提供。自社ブログや年間100回以上のセミナー登壇を通じ、延べ500名以上の施主の家づくりを支援し、施主啓発にも努める。 保有資格: 日本エネルギーパス診断士、省エネ建築診断士、気密測定技能者、地盤インスペクター、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員

気密測定の基本的な知識

気密測定の機械2

気密測定とは、家全体の「隙間の大きさ」を数値で表すものです。

隙間相当面積は「C値」という指標で示されます。このC値がその家の隙間を知ることにつながり、つまりは快適性能を知ることにつながります。

新築では測定しやすいですが、リフォームやリノベーション時に気密測定をすることはほとんどないのではないでしょうか?

理由は単純で、リノベやリフォームにおいて、お住まいの高気密化をすることは非常に難しく、高度なノウハウと経験値が必要だからです。

気密測定は、住宅の「隙間相当面積を知る」ためのもの

気密測定とは、お住まい全体の隙間がどれくらいあるのかを測定し、隙間の面積を数値化(可視化)するもの。

 

気密測定の最大の目的は、住まいの冷暖房効率や防音性、夏の湿気の流入、つまりは快適さに大きく影響する「空気の出入りする隙間」がどのくらいあるのかを客観的な数値で表すこと。

そう考えると、新築に限らず、リノベーションやリフォームにおいても、高気密高断熱化を図るのであれば、気密測定によってC値の数値を把握することは、とても重要です。

C値とは、相当隙間面積とも呼ばれ、住まいの改定期性能(気密性能)を表す大切な指標なのです。

■エアコンの効率が良くなる

■隙間風が入らない

■夏の湿気の流入が少ない

■防音性が高まる

■換気効率が高まる

■カビや結露を防ぐ

では次に、C値で表す隙間を、視覚的にわかるよう図を使って実際の大きさで見ていきます。
 上記図では、視覚的にわかりやすく、実際のC値での隙間の大きさを黒い■で表しています。

 上記はエムズアソシエイツでの新築の過去の実測C値の平均値 C値=0.25 となっております。

 隙間の大きさの違いが一目でわかりますよね。

 しかもこれは家の床面積1㎡当たりの隙間の大きさです。

 約30坪のお住まい全体で考えると、上記の黒い■(隙間)が×約100個存在することになります。

 次世代省エネ基準の参考C値と比べても、とても大きな差が出ることになります。

日本でもようやく2025年4月より、断熱性能(UA値)の計算が義務化されましたが、残念ながら気密測定においては義務化されておらず、一般的な目安だけが存在しております。

C値2.0㎠/㎡以下が一つの目安とされていますが、とても快適に過ごせる数値とは言えません。

エムズアソシエイツの新築のお住まいでは、実測C値は0.06~0.4程度となっており、隙間がほとんどないお住まいを提供しております。

リノベーションにおいても、C値を1.0を切るような気密工事を行います。

手抜き工事のリスクを抑えるためにも気密測定は必須

気密測定を行うと、施工の品質が数値で見えるようになるため、手抜き工事を未然に防ぐ効果が期待できます。

特にリフォームやリノベーションにおいては、新築工事に比べて手抜き工事や不適切な施工が多く見られます。

既存の建物の内部構造や仕様によって左右されがちな隙間は、目に見えない部分なので、住み始めてからでないと、施工の良し悪しがわかりにくいという問題があります。

住んでみたら、なんだか部屋の隅のほうだけ寒かったり冷気が滞留したり、気密漏れを起こし外気の流入がおこってしまうこともあります。

 

エムズアソシエイツでは、「気密施工」に強いこだわりを持ち、高い技術力で隙間のない住まいを新築・リノベーション共に実現しています。

これらは、気密測定によって効果が証明され、間違いなく住まいの品質向上につながります。

【ここが重要】 リノベ・リフォームにおいては、建築途中で気密測定は必須! 

気密測定を建築途中の段階で行うことで、問題を早い段階で見つけ、修正できるという大きなメリットもあります。

リノベーションやリフォームにおいては、もし気密性能に問題がある場合、完成後では壁をはがしたりしなければならないため、修正が難しかったり、大掛かりな工事が必要になったりする可能性があります。

新築では、経験値によってある程度予測できるC値も、リフォームやリノベーションでは、工事毎に建物の構造や仕様が異なるため、仕上げ工事に入る前の気密測定をお勧めします。

万が一、完成後に気密性能が予測を下回った場合、壁や天井を壊して、再度気密工事をやり直すなんてことはできません。

しかし、建築途中で測定を行えば、問題のある場所を特定し、すぐに直し、再度気密測定を行えます。これを繰り返せば、必ず目標C値の担保ができます。

私たちエムズアソシエイツでは、新築だけでなく、リノベーションの場合でも、自社の有資格者である気密測定技能者によって気密測定を実施しています。

そして、断熱気密施工が完了した後、仕上げ工事に入る前のタイミングで測定を行っています。
(ゾーンリノベや部分断熱工事の場合は、気密測定ができない場合もあります)

このタイミングで測ることがとっても重要なのです!

気密測定のデメリットや注意点

一方で、いくつかのデメリットも存在します。 

ここでは、気密測定を行う際に発生する可能性のある3つのデメリットについて見ていきましょう。

1.測定するたびにコストが発生する

気密測定を実施するには、一回当たり2~3時間ほどの時間を要しますので当然ながら人件費がかかります。

一般的な相場では、気密測定の費用は5万円から10万円とされています。

ただし、より大きな住まいや、複数回の測定を希望する場合は、費用が高くなるでしょう。

また、測定費用には、測定機器の使用料、技術者の人件費、報告書の作成費用などがかかってきます。

これらの費用は事業者により異なるため、事前に確認することをお勧めします。

2.事業者を選択するむつかしさ

気密測定の結果は、使用する測定機器の精度や、測定を行う技術者の知識・スキルに左右されがちです。

信頼できる測定結果を得るためには、経験値と実績が豊富な事業者に依頼することが重要です。

私たちエムズアソシエイツのように、新築で全棟自社気密測定を実施し、豊富な経験と実績を持つ業者であれば、安心してお任せいただけます。

3.モデルハウスや過去事例のC値ではなく、実際の改修後の家で気密測定をしてもらう!

気密測定を依頼する事業者を選定する際には、注意していただきたいことがあります。

それは、「モデルハウスで測定したC値」や「過去の事例で測定したC値」を、そのまま引用することです。

あたかも、それがどんな現場やどんな建物でもできるかのように。

ここには注意が必要で、実際にリノベやリフォームするお住まいとモデルハウスでは、建物の大きさや形、大工さんや職人さんが異なり、当然C値も違ってくることが多いからです。

加えて最大の違いは、「新築工事」と「リノベーション・リフォーム(改修工事)」です。

新築においては、全てを新たにゼロから作り上げていくので、気密施工や断熱施工は非常に単純です。

しかし、既存建物の状況を把握する必要がある改修工事においては、毎回、断熱や気密の施工方法を状況に応じて施工しなければいけません。

また、改修時の気密施工に関しては、大工さん、水道屋さん、電気屋さん、設備屋さん等、多くの職人さんたちのリフォームやリノベにおける気密工事に関する知識と経験値が必要です。

そのため、モデルハウスや新築の事例でどんなに良い数値が出ていても、実際に改修するお住まいにおいて、新築と同じ性能が保証されるとは限らないのです。

重要なことは、「実際にリフォーム・リノベーションをした家」を測定してもらうことです。

 

これは、住宅会社が提示する性能値に惑わされず、本当に高性能な住まいへ生まれ変わるために欠かせないポイントです。

新築に限らず、断熱気密を伴うリノベーションやリフォームにおいては、一棟一棟しっかりと性能を確認している会社を選びましょう。

気密測定のタイミングは? それは「気密施工が完了後すぐ」

ここは新築と同様になりますが、気密測定は、「気密施工後」と「完成後」のどちらか、のしくは両方で実施する場合と各社様々ですが、「気密施工後」の1回が最も重要です。

なぜ完成時ではなく気密施工後に実施するかを解説しますね。

なぜ「完成後」ではなく「気密施工後」が重要なのか?

気密施工後(工事途中)の測定は、具体的には内装仕上げ工事が始まる前に行います。

このタイミングで測定を行う最大の目的・メリットは、万が一の問題点(隙間)を仕上げ前に発見し、手直しできることです。

完成してからの検査では、予期せぬ悪い数値が出た場合、しっかりと修復することが非常に難しくなってしまいます。

特に、リフォームやリノベーションにおいての断熱気密施工は、新築と違って複雑な施工を必要とする場合が多いので気を付けたいところです。

例えば、気密テープの施工不良や、配管周りの隙間などが見つかったとします。内装仕上げ前であれば、すぐに適切な手直しが可能ですね。

エムズアソシエイツでは、必ず断熱気密施工が完了した仕上げ工事に入る前に気密測定と気密の検査を行っています。

リノベや断熱リフォームの場合のタイミングは?

リノベやリフォームの場合、基本的には新築と同様、断熱・気密施工完了後の「中間時」1回の測定で問題ありません。

ただし、部分リノベや部分断熱リフォームの場合は、工事の内容によっては気密測定自体が難しい場合があります。

例えば、2階建ての1階部分だけを断熱気密化する場合、家全体の気密性能を測定するためには、2階への階段部分(吹き抜け状態)を密閉する必要があります。

ただし、階段部分(吹き抜け状態)に気密性のあるドアを取り付けることで、1階部分だけのリノベでも気密性を確保することが可能です。

しかし、LDKのみの部分的な断熱気密工事を行った場合は、気密測定の数値の精度が出ない場合もあります。

過去の事例でも、1階だけの断熱リノベーションをした際C値を実測しました。(1-2階へ上がる階段の吹き抜け部分は塞いで測定しました。)
今後も、部分的なリノベーションや断熱リフォームでは通常行わない気密測定を積極的に実施していきます。

リノベーションや断熱リフォームにおいても、より精度の高い気密性能を目指し、快適な住環境を提供していきます。

  • 大規模なリノベーションや断熱リフォームで、断熱・気密工事をしっかり行う場合
    新築と同様に、断熱・気密施工完了後(中間)の測定が有効です。
  • 部分的なリフォームの場合
    測定の制度に問題が生じる場合が多いため実施されないことが一般的です。
    ただし、エムズアソシエイツでは部分的な目張りをして測定したり、気密性の把握ができる方法を考え実行しています。

※弊社では、リノベーションや部分断熱リフォーム、一階だけリノベにおいてもC値1.0㎠/㎡を切る数値を出しており、またC値1.0㎠/㎡を切ることを保証しております。

 

C値の基準値はどれくらい?

住宅の気密性能の基準値は、お住まいの地域によって異なります。

以下の記事では、地域別の基準値について解説しているほか、C値の計算方法についても詳しくご説明しています。

「自分の住んでいる地域では、どのくらいのC値を目指せばいいの?」と気になった方は、ぜひご覧ください。

岐阜県の基準値についても解説していますので、岐阜県や近隣で建築を検討されている方にとっても参考になるはずです。

あわせて読みたい

万が一、気密測定をして結果が悪い場合の対処法は?

気密測定の結果が万が一、保証数値に届かなかった場合には、漏気のある部位を時間をかけて特定していき、適切な方法で順番に塞いでいきます。

 ここでは、具体的な手直しの方法について見ていきましょう。

気密性を高めるための手直し

気密測定で見つかった隙間を塞ぐためには、その場所や大きさに合った適切な材料と方法が用いられます。

例えば、窓枠やドア枠と壁のつなぎ目、配管や配線が気密層を貫通する部分は、特に隙間ができやすい場所です。

窓枠やドア枠の周りには、ウレタンやシーリング材を充填し、気密テープを併用することで、隙間を効果的に防ぎます。

発泡ウレタンは、細かい隙間にも入り込みやすく、固まった後は高い気密性を発揮しますので部分的に使用するにはとても重宝します。

シーリング材は、柔軟性があり、建物の動きや木の収縮にも追従していくため、将来にわたって隙間のリスクを減らせます。

配管や配線の周りには、特殊な専用の気密部材も積極的に使っていきます。 

改善後の再測定で数値を再確認

隙間を塞ぐ手直し工事が終わったら、もう一度気密測定を行い、数値が改善されたことを確認します。

再測定によって、最初の測定結果と比べ、C値が改善されていることを確認できれば、手直し工事が有効だったと判断できます。

測定の結果、目標のC値に達していない場合は、再度、隙間を埋める作業と測定を数値をクリアするまで繰り返しますが、長年の経験により、だいたい隙間ができる箇所というものを把握していますので、再測定をすることも最近はありません。

高気密へのあくなき探求心

岐阜にあるエムズアソシエイツが一番はじめに気密測定を実施したのは、かれこれ10数年以上前になります。

まだ、業界内でも「高気密高断熱」という言葉が認知されていない時代でした。

実は、その時のC値は1.28㎠/㎡で、現在の基準から見ると、決して高い数値とは言えませんでした。

しかし、私たちはそこから、一棟一棟、現場で周りがあきれるほど、測定と検証を繰り返し、改善を積み重ね、新築に限らず、リフォームやリノベーションのノウハウと施工技術を向上してきました。

新築での実績は、実測値「0.06㎠/㎡」をマーク

新築の場合となりますが、過去の平均実績をご紹介します。

過去50棟の平均実績値:UA値=0.335、実測C値=0.245

過去150棟の平均実績値:UA値=0.339、実測C値=0.323

こうした新築においての高気密施工が、リノベーションやリフォーム時にも応用されているため、リフォームやリノベーションにおいても高気密化が可能なのです。

まとめ:気密測定は、リノベーションでも必須に!

気密測定は、新築だけのものではありません。

性能向上を行ったのであれば、どのくらいの性能が確保されたのかを数値で見える化することが重要です。

車を購入する際、何㎞/1ℓ 走行可能か?燃費を確認しない人はいないと思います。

それと同様、自分のお住まいの性能がどれくらいなのか、UA値はもちろんですが、C値も把握できるとより住まいの価値が向上します。

大きな資産であるお住まいに対する性能を具体的な数値で表すことはとても重要ですね。

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